悪戯は、昼想夜夢の待ち合わせ。
「…中学生の時に一人で電車に乗ってたんです。その時に…。」
「…ごめんなさい、嫌なことを思い出させちゃいましたね。」
「良いの、だって…結宮くんが助けてくれたから。」
「…え?」
「…覚えてないよね。ううん、別に怒ったりなんかしないから安心して。」
「…はい。」
「…あの時、私ほんと嬉しくて…助かったの。周りの人はみんな見て見ぬふりでさ。そんな中で…君だけが臆さずに助けてくれた。」
「…そういえば、そんな事あった気も…。」
「…あやふやだよね、でもそれで良いんだよ。」
「…だから、抱き着いてたんですね。」
「ごめんね、まだひとりで乗るのは怖くて…だから、結宮くんが居てくれてよかった。」
「…あの、遠野さん。」
「…?」
「…その、手…。」
「…えっ、?」
何故か手をぎゅっと遠野さんに握られていた。
「…!?」
「む、無意識でした、?」
「……///」
「…と、遠野さん…?」
「…結宮くんは…」
「…私のこと…もう1回助けてくれないの…?」
「…それは…どういう…?」
「…私、待ってるから…結宮くんが…私の事…救いあげてくれるの…ね、?」
「……そ、それはそうと、遠野さんはお出かけでもしてたんですか?」
「あ、うん、楽器のお手入れ用品買いに行ってたの、結宮くんは?」
「僕は本屋に…ってか、今から行く所ですけど。」
「…わ、私も行っていいかな、?」
「え?まぁ良いですけど…遠野さんも本の虫ですか?」
「あ、いや、別にそう言う訳でもないしなんならちょっと苦手…」
「…なのに本屋に…?」
「う、うるさいなぁ…ふんっ、別に小説だけが本じゃないもんね。」
「…そうですね。」
「…うわ、まだ初版だ、ラッキー…ん、?」
「………。」
「…と、遠野さん…大丈夫?」
「…頭くらくらしてきた、」
「えちょ、なんでもっと早く言わないんですかそんな大切なことを…ってちょ、!!」
(どさっ)
「ぁ、ご、ごめん…」
「大丈夫ですか…?」
「ちょっと、頭ずきずきする、」
「い、一旦どっかに座りま」
ぎゅっ
「…このままでいい。」
「…で、でも…」
「……いいよね、」
(…いい匂いするな、結宮くん…)
「…すんっ、すんすんっ…。」
「…なんで匂い嗅いでるんですか。」
「えっ、あ、いや、これは…その……。」
「…結宮くんが悪いもん、結宮くんが…。」
「…よくそんなに小さい字読めるよね、見てらんないよ…」
「遠野さんが本の面白さを理解するのはまだ先かもですね、ははは…」
「…今バカにした、?」
「…してませんよ、はい。」
「笑ってるじゃん、!」
「ごめんなさいごめんなさい!なんか可愛くてつい…」
「…え、かわ、え…?」
「どうしました?」
「い、今か、可愛いって…」
「あはい、本読めないのがちょっと可愛くて。」
「……。(ぎゅっ)」
「え、と、遠野さん…?また体調悪くなりました…!?」
「…そういうの、私以外に言ったら怒りますから…。」
「ご、ごめんなさい…?」
「……ばか。」




