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悪戯は、君に魅せられて。

「sin60°…√3/2だから…cos₂θ+sin₂θ=1…んーと…」

ある昼下がり、部活はなかったが課題をしに学校へと来ていた。家には勉強の宿敵(妹たち)がいるので何かと学校のコワーキングスペースで勉強した方が効率が良いのだ。放課後はかなり人が密集しているが今日は疎らにしか人が居ない。お陰でサクサクと三角関係の単元を進めることが出来た。中学校までには存在しなかった概念なのできちんと復

「ゆーうとくん。」

「あ、未橋先輩…お疲れ様です。自主練ですか?」

「んーん。数列の範囲の宿題終わんなくてさ、集中したいからここ来ちゃった。隣いい?」

「あ、はい。もちろん。」

「ありがと。んっしょ…と。」

…心なしか、未橋先輩が大人っぽく見えるようになった。多分気のせいだろうが…

「夕透くんは何してたの?」

「僕も数学です。三角関数の復習を…。」

「ぎゃー…私そこらへん全然理解してなかったからなぁ…これからが心配だよ…。」

「…反面教師にして頑張ります。」


「んー…!!疲れたぁ…ねぇねぇ、ちょっと休憩しない?」

「あ、僕はまだ大丈夫です。ありがとうございます。1/2r(a+b+c)...ヘロンの公式使うのか?いやsが奇数になるしな…」

「…ねぇねぇ。(つんつん)」

「…はい?」

「女の子の『休憩しない?』は一緒に休憩しようって意味なんだよ?」

「…そうなんですか?」

「うん。だから…さ?」

「…ここの大問まで解いても良いですか?キリ悪くて…」

「…ふーん、そういうことするんだ夕透くん。」

「いやあと代入して変形するだけなんで…!」

「…………」

「3辺が…違う、ここは含まれなくて…」


「…すーき。」


「…え?」

「ん?どしたの?」

「いや、今…」

「ほら早く解いてよ夕透くん。」

「…はい。」


「…すーき、だいすき、ちゅーき。」


「…応援してるのか邪魔してるのかはっきりしてもらいたいんですけど…」

「んふふ、かまちょしてるだけー。」

「………はぁ。」

「…ねね。」


「…今日の私…どこが違うでしょうか。」


「……………。」

…三角関係とか比にならない難問が出てきてしまった。公式も定理もない。信じられるのは己の記憶力と観察力のみ…

…でもそういえば、最近妙に未橋先輩が大人びて見えてるよな…


じーっ…

「…あ、あの、夕透くんっ、ちょ、ちかっ…///」


口元も肌も匂いも普段の未橋先輩と同じとしか思えない。

「ね、ねぇってばぁ…っ…///恥ずかしいからっ、ね…?」

「…あ、ごめんなさい、ついつい熱狂しちゃって…」

「あっ、や、やめちゃうの…?」

「いや、先輩が嫌なことはすぐにやめるべきですし…」

「べ、別に嫌だなんか…思ってないし…むしろ…」

「…勉強再開しません?」

「あ、うん…そうだね。」


「……最悪…。」

最近あいつと会っていない。そう思ったのは昨日のこと。なので会える確証もないのに何んとなく居そうという理由で髪も巻いてアイプチもして…ちょっとだけ口紅を塗って、学校へ向かった。


…予想通り、あいつは学校に居た…のだが。隣には未橋先輩が居た。別に私とあいつは恋仲なんかではないし、二人を引き離す道理もない。見なかったことにしてさっさと帰ればいい…のに。瞳が彼から離れようとしない。それは長い間抑え込んでいた気持ち…そう、独占欲がまた形になって現れ始めた何よりの証拠だった。別に未橋先輩は悪くない。私だって現にあいつに会いに学校に来たわけだし。かといって…あいつが悪いわけでもない。あいつはそういうの断れない性分なのはあいつと出会ってからのこの1ヶ月半で把握している。なのに、何故こんなに許せないのだろうか。


こんな気持ち、表には出したくない。ましてや、あいつにバレるなんか尚更だ。本当は重い女子だと思われたら…拒絶されたら…私は耐えられない。でもそう考えていくうちにどんどん彼への執着は増していく。離れたくない。嫌われたくない。彼なしの生活なんて、もう…



ある夜、全然寝付けなかった。日々の疲れや考え事が層を成した故の出来事なのかもしれないが…正直、大半はあいつのことをずっと考えていた。脳内から追い払っても、雑草のように際限なく浮き出てくる。そんなことが最近続くようになり、あいつとも最近会えていない。なので…その…色々と溜まっていたのだ。そんな状態で彼を見つけたにも関わらず、隣には尊敬する先輩。いくら恋敵だとはいえ、先輩と仲違いになるのは避けたい。でも…やっぱりこの想いは我慢出来そうにない。今すぐ発散しないと…私も何をしでかすかわからない。とりあえず一旦この場から離れて落ち着いて考え

「あれ、深凉さん?そんなとこで何してるんですか?」

「あ、え…?」

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