悪戯は、足元を掬う為に。
「んぁぁ〜...」
土曜なのに朝早く目が覚めてしまった。課題は一通り終わらせてあるので心地よい温もりと共に二度寝しようとした、その時。
ピンポーン
...絶望の音階が聞こえた気がした。
「あ、おはよう夕透君!」
「...おはようございます。」
「今日も吹奏の体験、行くよね!?」
「...はい?」
「あ"ぁぁぁぁさむいさむい、カーディガン着てても寒い...」
「ぶつぶつ言わないの〜!!!休みに何もしないのは勿体ないよ!!!」
「あーはいはい、分かりました。」
「...適当に返事してる?」
「いえ、粗雑に扱ってるだけです。」
「それを適当って言うんだよ!!!もう…そういえばさ、夕透君、好きな食べ物ある?」
「ん…しょっぱい物ですね。」
「好みが大人だなぁ…逆に私甘いの大好きなんだよね!!シュークリームには目が無くてね…あとね!ミルクティーとかプリンとか…ミルクティーにもこだわりあってね!茶葉は私アールグレイ派なんだよね〜…ダージリンもいいんだけどさ!何か花が開くみたいな華麗な匂いと味がして…聞いてる?」
「あはい。今日水曜日ですよね。」
「何の話!?」
「きゃははは!!ゆいちウケるんですけど〜w」
「なんでよ〜!!w...あ、昨日の2人だ!」
「碧先輩だ!おはようございます!」
「ふわぁぁぁっ...」
「君は眠そうだねぇ...」
「本来寝てるはずだったんですけどねぇ。」
「まぁいいじゃん。さっ、今日はどの楽器やる?深涼ちゃんはクラリネットやりたいって言ってたよね?」
「はい!途月先輩のクラリネット吹いてる姿がカッコよくて!」
「なんだよぉ嬉しいこと言うじゃんかこのこの〜!!!」
「それで...君は?どうする?」
「あ〜...いや、俺はなんでも 」
「その子はホルンが頂くよぉ〜ん?」
「あれなっちゃん、来てたんだおはよう。」
「部長!おはようございます!」
「おはよう深涼ちゃん。君もおはよう。」
「おはじゃす。」
「そういや名前聞いてなかったくない?お名前なんて言うの?」
「結宮夕透って言います。」
「結宮かぁ...モテそうな名前だねぇ...」
「ちゃんとモテそうなだけで終わると思うんで合ってますね。」
「...君女子の扱い方普通に上手くない?」
「どちら様ですか?」
「2年の碧だよ。」
「碧先輩ですか、よろしくお願いします。」
「こちらこそよろしく。」
「女子はまぁ...別に適当に話してるだけですけど。」
「.........あ、そう。」
「...じゃ、じゃあ、人も集まってきたしそろそろ始めよっか!」
実際に自分の先輩に碧先輩が居たんですよね。もちろん苗字が碧。かっけぇですよね。1文字苗字の存在感ってすごいね。