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悪戯は、危機一髪に陥る。

…もう嫉妬はしないようにしようとあの一件以来考えていた…のだが。どうにも心と体はそう簡単には仲良くできないらしい。どうしても…もやもやが止められない。ただ友達とあいつが一緒に掃除をしているだけなのに、どうしようもなくやるせない。『そいつは私のなの!!!』と、大声で叫びたい。独占したい。言いふらしたい。だが…それをすればあいつが困る、何より自分が困るのは前回の過ちでもう学んだ。でも…嫉妬してしまう。抑えなければいけないと分かっているのに。あいつが依澄のお願いを聞き入れた時…涙が浮かびかけた。すんでの所で抑え込んだが、心の中はびしょびしょだった。

「…はぁ…。」

最近、あいつの事を思う度に心がぐちゃぐちゃになってしまう。毎回こんな様子では心が持たない。別に私だけのあいつでは無い。それは百も承知だ。でも何故かあいつを独り占めしたい、それは…やっぱり…

「……?」

そういえば、さっきから妙に身体が火照っている。あいつのことを考えすぎてしまったのだろうか。日陰に行って休もうにも、何故か体が動かない。金縛りに遭ったようで、びくともしない。そして瞼が開かなくなり、だんだん意識が遠のき、身体が沈み━━━━━。

「…ず…ん……すずさ…!」


「深涼さん!!!」



「……………っ…?」

…目が覚めたら、ひんやりとした無機質な空間に横たわって居た。…直ぐに保健室だと理解した。だが、何故…思い出せない。

「…あっ、起きた、先生!深涼起きました!」

「……ぃす、み…?」

「良かったぁ…ずーっと日向に居て声かけしても反応無いし…そしたら急に倒れたんだから…もう、あの子がいて良かったね。」

「…あの…子…?」

「夕透くんだよ。もうちょっと遅かったらあんた頭打ってどうなるか分かんなかったんだから…夕透くんが地面に着くギリギリであんたの下に滑り込んで助けてくれたんだから…後でちゃんとお礼言うんだよ?」

「…分かった。」

「起きたのね、良かった…。まぁ軽い熱中症みたいなものね。5月だからって油断しちゃダメよ。ちゃんと太陽の下に居る時は水分補給と適度な休憩、忘れずにね。」

「…すみません。」

こんなにも優しい友人をあいつと仲良くしているからと言って恨んで、妬んで…なのに、依澄は私のことを心配してくれて…。

「……。」

また自分のことが嫌いになってしまった。すぐ人を疑って僻んで羨ましがって…いい加減に治したい。そう思ってもう3年ぐらい経つだろうか。


「…………謝んなきゃ…。」

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