悪戯は、日常を取り戻す。
「はぁ…」
「あれ、もう帰ったんだ。早かったね。」
「あぁ璃夜…ただいま。」
「何でそんな疲れてるのさ。そんなにお相手わからず屋さんだったの?」
「勉強苦手なことをわからず屋って言うなよ…予定が変わったんだよ。」
「…そ。お昼どうする?どっか食べに行く?」
「いや、自分でなんか作って食うよ。璃夜と…あれ、宵は?」
「今日クラス会だってさ。…あれ、付き添い参加とかないの?」
「あそっか今日か…いや、一応学校には保護者不在ですって電話させてもらったんだけど…今何時?」
「まだ10時。開始10時半からだし間に合うんじゃない?宵も喜ぶでしょ。」
「そうだな。ちょっと行ってくる。留守番頼んでいいか?」
「うん。行ってらっしゃい。」
「おう。あぁ、あと今日…三回忌だから。軽ーくでいいから仏壇周り掃除しといてくれ。」
「分かった。病院には行く?」
「あぁ…母さんも大変だろうし、もし何かあれば病院から電話掛かってくるだろうから、その時は俺に連絡入れといてくれ。」
「了解。気を付けてね。」
「えっと…あ、今日宵ちゃんは1人で来たの?」
「うん。家族みんな大変らしいから…」
「そっか…じゃあ、先生と一緒に今日はやろっか。」
「…うん。」
「宵ちゃんのご家庭、大変らしいわね。お父さんが亡くなってお母さんは育児の最中に体調を崩して長期入院されたらしくて…」
「え、じゃあ今は誰が育ててるの?」
「高校一年生のお兄ちゃんが居るらしいわよ。そんな年で学校行って面倒見て…大変よねほんと。」
「私たちも体調には気を付けなきゃね…。でも自分の子の同級生がそんな大変な状況だなんて考えても見なかったわ。」
「そうね…あ、あれ!噂してたお兄ちゃんじゃないの?」
「すみません、結宮です。」
「あ、宵ちゃんの!今日は付き添い不在って連絡をいただいていたと思うんですけど…。」
「急遽予定が変わりまして…今からでも参加しても大丈夫ですか?」
「あ、もちろんですよ!宵ちゃんも喜ぶと思います!」
「良かったです。じゃあお言葉に甘えて。」
「…あっ!お兄ちゃん!!!」
「ごめんね宵、いい子にしてたか?」
「うん!いい子で待ってたよ!」
「あれ、夕透?」
「あぁ、釉暖か。大輝くんの付き添い?」
「うん。本当にヤンチャすぎて手に負えないよ。宵ちゃんはお淑やかな女の子で羨ましいよほんと。」
「おいおい、自分と宵が真反対だからって僻むなよ。」
「うるさい!!私だっておとなしい女の子だし!」
「…ぶふっ」
「おいこら!!笑うな!!」
「…矢掛さんの娘さんとあの子、仲良いわよね…恋人なのかしら。」