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毘円賞選評に代えて  作者: 毘円泣
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毘円賞選評に代えて:1

 ありがたいことに、300を超える応募があった。受賞者には私が〈楽園〉に保有する土地の約半分を譲渡する、という発表をしたからであろうか。未だに日本語を使った創作を続けている同志が沢山いるということに、少し寂しい感銘を受けた。私は昨年末に〈高次元量子演算機(アストラブレイン)〉に脳機能を移植して以来、生活するのにほとんどスペースを必要としなくなった。演算機を搭載する機体は、二十パーセントが生体組織、八十パーセントがキネティックフレームやサイバネフィットといった有機適応組織で構成される通称〈素体20〉をベースにしているので、食事や排泄はほとんど必要としない。感覚器は元の身体のものを99パーセント再現しているので、今まで通りに料理の味を楽しんだり、手足を用いてスポーツを楽しんだ後に、肌を撫でる涼風を感じながらチルすることだって可能だ。今まで以上に動く身体を手に入れたとはいえ、私の興味のあるところは専ら〈ことば〉であった。〈楽園〉は独立国家の体を取っているが、主要な大国の図書や芸術作品の保存されるデジタル空間に容易にアクセスできるので、精神的活動にあたって非常に快適さを感じている。ここは居心地がいい。涼しいし、暖かくもなる。スポーツなどの肉体的感覚を重視する活動に強いこだわりがないのなら、創作者はもれなく移住してしまうことをお勧めする。譲渡する〈楽園〉に置いてある家具や家電は環境設定を除いて初期化されているので、新しく使用される方は各自同期して頂きたい。


さて、本題に入ろう。募集要項に「自分が若手だと感じていれば応募してよい」と記載したので、若くて荒々しい短歌集であったり、情景描写と官能表現にまみれた全然若くない純文学小説、言葉を使ったその場限りのインタレーションなど、沢山の作品を楽しむことができた。本選評では、私が特段興味深いと感じた作品を五つ取り上げる。

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