27:後悔と誤解
花が走り去ってしまったのを見て、凪は心の底から動揺した。
自分が原因であることはわかりきっているが、彼女を前にすると冷静ではいられない。
今までにはなかった、情けない自分の姿が浮き彫りになる。
(こんなはずではなかった)
凪は今になって激しく後悔し始めた。
昨夜、花を怖がらせてしまったため、彼女に落ち着いて過ごしてもらうために敢えて距離をとろうと思った。
なのに花は職場にやってくるわ、友人に口説かれているわで頭が真っ白になり、彼女に対して大人げない態度をとってしまった。
普段ではありえないくらい苛ついていたのは、きっと絢斗に嫉妬していたせいだ。
元来自分は恋愛において器用な性格ではない。
だから、花と普通に話していた絢斗が眩しく思えたのだ。
(気を遣って職場にまで来なくていいから気にするな……と言うつもりが、あのようなことに)
花は自分に突き放されたと思って落ち込んでいるかもしれない。それを思うと憂鬱だった。
「私は間違っていたのか?」
考えれば考えるほど答えは遠ざかり、混乱するばかりである。
凪は未だ居座っている絢斗に恨めしげな視線を向けた。
「あのさ、凪君。俺が言うのもアレだけど……花ちゃん、早く追いかけた方がいいんじゃない?」
「追いかける?」
「うん。君が本気なのはよくわかったから、誤解を早く解いたほうがいい。あの子、不思議なくらい自分に自信がないみたい。きっと思い詰めているんじゃないかな」
「……」
まだ仕事は残っているが、急ぐような内容のものはない。
小さく深呼吸した凪は仕事部屋を出て、そのまま花を追うことにした。




