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⑷『闇に帰らざるべきか』
⑷『闇に帰らざるべきか』
㈠
矛盾し、逆位した、俺の生活と言う生活は、まさに、闇に帰らざるべきか、の形相を以てして、俺の眼前に佇んでいる。とにもかくにも、俺には、生活があって、そこに、どういう起点として、小説と言うものの位置を確保するか、と言う問題がある。
㈡
何かから抜け出して、新しい世界へと入場する時に、或る本末転倒な事態が起こることだけは、避けたいというのが、本音なのだ。ただ、芸術至上主義とは、人間の生命を顧みるに、本末転倒と言う言葉が、いかにも、似つかわしいのである。
㈢
今度は、光に焦点を当てて書く、にしてもだ。、それにしても、闇は必要になる。そもそもが、太古の昔は、光や闇とは、一体どういう風に現象していたのだろう。分からないが、現在の俺は、太古の昔に思いを馳せる時間もないくらいに、闇に帰らざるべきか、と言う苦悩に、疲弊している。