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セドリックとエドウィン

 そして現実のセドリックはというと……。


「セドリック、どこへ行くの?」

「開始時間までまだ少しあるので、外の空気をと……」

「早くお戻りなさいよ?」

「はい」

「そうか、ではワシも少し……」


 公爵は嬉々として立ちあがろうとしたが、その腕に夫人の手が置かれた。


「あなたはここに居てくださいね?」

「いや、少しくらいは……」

「そうやってアデリアーナの所へ行くつもりでしょう?」


 妻に見抜かれてバツが悪そうに視線を泳がせている所を見るに、図星だったのだろう。


「娘が可愛いのも、心配なのも分かりますが……あなたが行けば目立ってしまいますわ」

「そ、そうか……」


 公爵は娘に会えるチャンスと思ったのだがあっさり却下されてしょんぼりした。


「ボクもすぐ戻りますよ」


 セドリックはほんの少しの優越感を味わいつつ、意気揚々とその場を後にした。

 そして外に出ると気分転換する事なく、エドウィンの使っている楽屋へ足を向ける。

 時間的にもうアデリアーナがいるだろうと予想して……。


 エドウィンが居る楽屋の前には護衛が立っていたが、セドリックは慣れた様子で取り次ぎを頼んだ。


「やあ、セドリック。どうした? ……まさか、また何かあったわけじゃ無いだろうな?」

「……どういう意味ですか? もしかして……義姉上(あねうえ)に何かあったのですか?」

「そうか、連絡が行き違ったみたいだな。公爵には今ごろ連絡が届いたころだろう。実は廊下で人とぶつかった。念のため医務室に行ったら、ヒザにアザができていたと報告が来ている」


 セドリックはここで初めてアデリアーナに異変が起きた事を知った。


「アザが? かわいそうに……。ではボクはそっちに──」

「待てまて。医師に付き添わせて、もうホールに向かっているころだ。時間も無いし、式の前に会うのは無理だろう」


 ──私だって会いに行けないのに行かせるわけ無いに決まっている。


「殿下。いま何かしょうもない事考えませんでした?」

「いや、何も?」


 二人は互いに目を合わせ微笑む。


「それから。例の件だが……あの内容とほぼ一致している」

「やっぱり……それならボク、もう行きます」

「しかしタイミングが……」

「ボクは大丈夫だと思います。いえ、絶対です」

「そうか……そうだな。では予定とちょっと違うが……午後にもう一度集合しよう」

「了解です」


 セドリックは悪い笑顔でそう返すと来た道をできる限り早く戻って行った。


「さて、私も負けてられないな。見事証明してみせる」


 エドウィンはセドリックの出ていった扉を見詰め呟いた。

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