表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/25

最果ての修道院②

 不思議に思ったパナピーアはアクアを見る。

 すると彼女は後ろめたそうにパナピーアをチラッと見てすぐ目を逸らした。


「もう決まっている事ですから……避けるのは無理だと思いますわよ?」

「決まってる? でもゲームそのままのことが起こるわけじゃ無いんだし、今度はあたしがフラグ折っちゃえば良いんじゃないの?」

「それが……」


 言い淀むアクアを不思議そうに見るパナピーア。

 そして見兼ねたフィリンティアが話し出す。


「あの……今度は据え置きのゲームじゃないの」

「え? もしかしてPC(パソコン)?」


 アクアとフィリンティアが首を横に振る。


「じゃあ、携帯型ゲーム?」

「きっとスマホなんじゃない?」


 メロディーが口を挟んだ。

 すると、アクアが言いづらそうに……。


「漫画化されましたの。空前の大ヒットでしたのよ? ですからストーリーの分岐もありませんし、本人が話を捻じ曲げる事も難しいと思いますわ」

「はい⁉︎」


 予想外の展開に声がうわずった。


「以前この修道院にいらした女性で、漫画の主人公という方が……」

「そ、その子、どう成ったの?」

(わたくし)たちのように、何かを選ぶ自由はほとんど無かったそうですわ。それに変えられる所が少なく、やっと変えても結局元に戻るとおっしゃってましたし……」

「その人、パナピーアと入れ違いで、第二章のお話のためにお迎えが来て、連れていかれちゃったわよ?」

「ううう、嘘でしょう?」


 あっけらかんと言われ、パナピーアは開いた口が塞がらない。

 そこへフィリンティアが追い討ちをかける。


「あの人、ここでもフラグ折りまくってたのにダメだったんだから、きっと無理なのよ。諦めたほうが良いんじゃない?」

「いやぁ〜! 嘘って言ってぇ〜!」

「お察ししますわ……」

「パナピーア、かわいそう。──でも私じゃなくて良かった」


 どうにもならないと聞き、ポジティブなパナピーアもさすがにしょんぼり項垂(うなだ)れる横で、メロディーが思わず本音を漏らす。

 パナピーアは本当にもう主人公は懲りごりだったのに……。


「あ、でも。ほら、漫画ならハッピーエンドだし、頑張れば幸せになれるんだから大丈夫じゃない? 私ならラッキーって思うかも?」

「そうよ大丈夫。わたし、漫画も読んだの。あの話はハッピーエンドよ? だから今度は幸せになれるわ。わたしが断言する」

「本当?」


 必死に励ますメロディーとフィリンティアに、ほんの少し気分の上がったパナピーア。

 二人が、パナピーアはチョロくて良かったと思った時、アクアが最後を締めようとするかのように口を開いた。


「きっと後から、楽しい思い出になると思いますわよ? 何しろ全五十二巻の大作ですもの……」

「へ? 何巻?」

「だから、番外編含めて全五十二巻ですわ」


 パナピーアの目がこれ以上ないほど見開かれる。


「ごごご、五十二巻〜⁉︎」


 あまりの長さに呆然とするパナピーア。


「お話的には第四章まであったけど……パナピーアなら大丈夫。頑張れるわ、わたし信じてる!」


 フィリンティアのはなむけの言葉が耳を吹き抜け、さっきの言葉が脳裏を()ぎる。


 戦闘でてんこ盛りが事故って暗殺のハプニング⁉︎


 パナピーアは完全にパニクっていた……。


 むり無理ムリ!

 あたし耐えらんない!

 これからはここで慎ましくも自由に生きられると思ってたのに……。

 なんてこと!


 パナピーアは涙目だ。


「私、あなたの活躍を楽しみにしてるわ」

「わたしたちは応援しか出来ないけど、頑張ってね? パナピーア」

(わたくし)も何かできるなら協力いたしますから、お手紙くださいましね? ……なるべく詳しくお願いしますわ」


 瞳を(きら)めかせるメロディーと、口許をヒクつかせるフィリンティア。

 そして慈愛と見せかけた黒い笑みで優しく声をかけるアクア。


「みんな……ありがとう?」


 パナピーアの困難はまだ始まってもいなかったらしい。 

この作品を見つけて、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。

少しでも楽しかった、面白かった、と思ってもらえていたら嬉しいのですが……。

また、他にも作品を掲載しておりますので、ご興味があれば読みに来ていただけると嬉しいかぎりです。

 最後に、読んで頂いたみな様に厚く感謝いたします。ありがとうございました。


★お願い★

面白いと思って頂けたら【いいね】や【ブックマーク】、下の【⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎】で評価して頂けると励みになります。


紗奈(*ᴗ͈ˬᴗ͈)⁾⁾⁾

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 内容を知ってるハズなのに知らないところでバキバキに折られていくフラグw [一言] アデリアーナさんが素直過ぎて可愛い。近い場所でどんどんフラグが折られて行ってるのに気づかないところとかにも…
[一言] 彼女(ハナピーア)さん、辛い人生ですね。
[良い点] 修道院がほぼほぼ控室状態で笑うw こうやって仲間を集めて対抗するのか。 合言葉は『運命に負けるな!?』かな(;´∀`)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ