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紫紺の夢魔 ―レオーネ―

 夢の中に生き、執着するものはただ自分だけ、そんな自己愛に生きる夢魔の一族に生まれた私は生まれた時から孤独だった。

 きっと、自分の感情の赴くまま、自分が一番輝けるからという理由だけで誰とも交わるような感覚が理解できないからこそそう思っていたのかもしれないけれど。




 

 自分を生んだ母は時折気まぐれな優しさを見せるも、あくまでそれは自分自身への愛の延長線上であって、母親を演じている方がその時の自分にとって都合の良いものだったからに過ぎなかった。


 自分の父が誰かは教えて貰えず……いや、生んだ本人すらも覚えておらず、母と呼んでもいいのかわからないような存在と、頻繁に変わるつがいだけと繋がりを持ち続ける。


 当然、まともではない私達の一族と仲良くなるようなものがまともなはずもなく……愛の無い家族の中でただただ自分の身を擦り切らし、悔しくて涙を流す日々を送った。



 だから、私は時たま彼女が調子に乗って口にする家族なんてものを信じなくなったし、その言葉すら憎悪するほどになった。

 

 そして、同時に思ったのだ。自分を愛してくれる世界は、どこにもない。

 

 ならば、自分で作ろうと。

 

 ついででもいい、私以外の人が、私をちゃんと愛してくれる世界を。




 






 幸い、力はあった。

 直接的な戦いから避け、頭を使えば、なんとか夢に近づいていけるかもしれないと思うような回りくどい力が。

 

 そして、私が自分の体を武器にし、汚し、自己嫌悪しながら、泥を啜ってでも前に進み続け、ようやく夢が形になりつつあった時、一人の男を知った。



 強大な力を持ち、周辺の魔族に畏怖されながらも世迷言のような優しさを口走る変な男。

 切り捨てればいいはずの弱者をも取り込もうとする甘い男。

 

 調べれば調べるほどに、全てを持ち、誰にも愛されるようなその男に、私は少しの興味と大きな嫉妬を覚えて、近づいてみることにした。

 

 最初はただ試すつもりだった。あわよくば私のスキルで魅了しようとさえ思っていた。



 だけど、彼は私なんかで抑え込めるような存在では無くて、私が思っていた以上に変な男だったのだ。

 何故か私までもその背中に抱え込み、自分の命をかけてまで歩み始めるほどに。


 


  




◆◆◆◆◆








 彼の庇護下に入った後は、従順なふりをしつつも気取られぬよう慎重に情報を集めていった。

 どういった思惑で、私に何を求めているのかを探るために。

 そして、少しでも弱みを握り、うまく立ち回るために。


 

 だが、彼は拍子抜けなほどに真っ直ぐで、私に何も求めず、その上自分の弱みに繋がるようなことでも、自分から話してくるような愚かな男だった。

 

 それに、あえて誤解されるに身を任せている私を色々なところでかばい、私が美味しいといった彼の故郷の料理を自ら作っては時たま渡しに来る。


 

 本当に、変な男だと思う。


 何度もそんなことを繰り返しているうちに、気づけば、私の方が根負けしてしまうほどに。









 だけど、私は知っている。


 彼は、決して強くは無い。

 闇と光、その両方を持つ彼の内面はとても歪で、見た目ほど綺麗なものではない。

 

 自己愛のみしかなかった私の一族とは真逆なほどに、ある種強迫観念に駆られたように自分を犠牲にして人のために生きている。



 そして、それを見ているうちに何となく思ってしまったのだ。

 この人なら、きっと私のことに対してもそうで、確かな愛を向けてくれるのだろうと。

 たとえどんな時でも、たとえ自分のことを差し置いてでも手を差し伸べてくれるのだろうと。

 




 だから、私はこの臆病で、お人よしで、どこか抜けている仕方のない私の王様が、この先も歩き続けられるよう彼の分まで彼を愛してあげようと考えた。

 

 私に支払われるものが愛ならば、私も彼にそれを返すのも悪くない。


 これは、取引だ。対等で、だからこそ裏切られない深い繋がり。


 まだ、家族というものを無条件に信じることはできないけれど、この関係ならきっと私でも信じられると思うから。


 

正直に言うと、レオーネが一番キャラとしては定まって無いんですよね。設定も拗らせすぎて自分でも掴めていない(笑)

ただ、一番好きなのも実はこのキャラだったりします。

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