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臆病な紫 ―レオーネ―

 眼を凝らしながら案内役に従って歩く。


 全ての者から限りなく薄くではあるが、魔力の流れを感じる。どうやら、魔術的なものが関係しているようだ。


 なら、対策の打ちようはある。


 そして、相手に害意があるようなら、動く。そうでないならば話し合う。そう方針を決めた。


 




 だが、その後も大きな動きは無く、案内されるままに城に入ると、こちらに都合の良いように話は進んでいく。



 全面的な降伏に、今後の惜しみない協力。この上ないほどの成果に文官達は上機嫌そうだ。


 

 さらには、夜には豪勢な食事と酒、加えて綺麗な女性たちが歓待してくれる。

 

 夢のような時間が流れる中、俺はずっと考えこんでいた。




「どうかされましたか?」




 気づくと、紫の髪に褐色の肌、黒い翼を持つ絶世の美女が隣に座っていた。




「すまない、ちょっと考え事をしていただけだ」

 

 

「いいえ。それよりも、何か悩み事ですか?」



 聖女のような清く慈愛に満ちた表情と、それとは対照的に瞳の下にある亡き黒子が色気を醸し出している。


 

「いや、すぐに片付くから大丈夫だ。そういえば、話は変わるんだが、君はこの国をどう思う?」



「この国ですか?そうですね。誰もが笑顔で、争いが無く、豊かな国、理想的な国だと思いますが。聞けば、王様の理想もそうなのでしょう?」



「確かに、それに近い。優しく、人が手を取り合えるような世界を作る。それが俺の夢。だが、ここはそれとは少し違う」



「……違う?それはどう意味でしょう」



「ここには心が無い。まるで張りぼてのように俺には見える。だから、ここは俺の理想では無い」



 その言葉を聞き、相手は不機嫌になったようだ。作られた笑顔が外れ、怒りが顔を見せている。



「はっきりとおっしゃられますね。貴方は、本当は戦争がしたいのですか?」



「いや、違う。ただ、腹を割って話し合いたいだけだ。この国を治める君と」



「……話し合う相手が違うのでは?」



「違わないさ。君の魔力はそう言っている」



 彼女の魔力が桁違いで、その色は街にある色と同じだった。だからこそ、話がしたかった。


 恐らく、彼女が裏で糸を引いていると思ったから。



「っ!流石ね。でも、迂闊な言葉は身を滅ぼすわよ?」



 相手の雰囲気が変わると同時に相手側が武器を構える。


 そして、それに気づいたこちらの護衛が、同じく武器を構えようとして、崩れる。どうやら、痺れ薬でも盛られたようだ。

 



「そうかもしれないな。だが、俺は、君と話し合いたいんだ」



「……焦らないの?敵地で罠に嵌っているようなものなのよ?」



 彼女は怪訝そうな顔でこちらを見る。だが、俺は違和感は感じながらも、危機感は感じていなかった。


 なぜなら、ここまで嘘はあっても、害意を感じることは一切無かったから。




「君は、別にこちらを傷つけるつもりは無いんだろう?だったら、焦る必要は無い。それに俺も、君と戦いたいわけじゃない。確かめたいだけだ、その理由を」



「…………噂通り、甘いわね。まあ、その甘さを知っているからこそ行動なのだけれど。正面からやり合って勝てる相手じゃないしね」



「話し合いで終わればそれが一番いいだろ?」



「それには同意ね。戦争なんて下らないもの。でも、私にも譲れないものがある。だから、勝負しない?私のスキルを破れれば、あなたの勝ち、できなければ、あなたの負け、どう?」



「どんなスキルだ?」



「私のスキルは、幸せな夢を見せる、ただそれだけ。でも、それを人は拒めない。誰だって辛い現実なんかに戻りたくないんだから」



 確かにそうだろう。だが、夢の中で生き続けることが本当に幸せなのだろうか。



「夢を見ている間は、どうなる?」



「夢をその人が見たいと思っている間は、夢と現実の境に自我はあり続ける。そして、スキルの副次効果で抱いた幸福感は私への好意に直結するわ。だからこそ、彼らは私の指示に喜んで従う」



 空虚な笑顔、空虚な言葉。それは当然だろう。


 だって、そこに彼らはいないのだから。ただ、夢の中に、あり続ける。



「なるほどな。でも、君は何故それをする?それだけ最後に聞かせてくれ」



「私はね、醜い感情なんか全て無くして、いつも笑顔でいて欲しいの。そしたら、もっといい世界になるでしょ?そして、そのついでで良い。私を愛して欲しいのよ」



 彼女の本音は最後の部分にこそあるように思える。その言葉はここまでの強気な口調とは裏腹に臆病にも見えた。


 だが、それで向けられる愛は、愛と呼べるのだろうか。


 自分の答えが絶対に正しいわけでは無いのは分かっている。だが、彼女の答えを、俺は受け入れることができなかった。




「それで、どうするの?やるのか、やらないのか」



「やるさ。もし逃げれば、君は俺を認めないだろう?」



「それはそうよ。だって、貴方の夢は、その程度のものなんだと認めたってことでしょ。だったら、私は、私の理想を叶えるわ」



 彼女にも譲れないものがある。ならば、それと正面からぶつかるだけだ。


 それに、彼女は悪人ではないと思う。だから、話し合う機会を無くしたくない。


 きっと分かり合える、そんな確信が不思議とあるから。




とりあえずここらへんの章に早く入りたくてペース早めてました。ここまで誤字脱字、変な文章とかある可能性は高いですがキリのいいとこ行ったらまた直します。

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