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水面下ならば潜ろうか  作者: 森羅秋
瞬とカンゴウムシ事件と夏休み
10/56

いるわいるわ

文字数1000くらい。短めです。


 瞬は自室にあるカンゴウムシ図鑑を片手に、その週の土・日をはさんで調査を開始。

 手ごろな場所で多くの種類が発見されているのは城野山だ。閉鎖されてしばらく人の手が入っていないので、増えている可能性がある。まずはそこから調べてようと山へ侵入してみた。

 そして、予想以上に山の中は異様だった。

「いや、なによこの数……、信じられない」

探せば探すほど、変わった形態のカンゴウムシが出てくるわ出てくるわ。

 こんな大量に狭い範囲にいることは今まで見たことが無かった。

 見つけたカンゴウムシを全部捕獲したかったが、沢山居すぎて面倒になり、途中から写真を撮り終わった後に始末へと切り替えた。

 爆発的に増える恐れがあるので、毒のないカンゴウムシは見つけたら処分するべきモノだ。瞬は成れているので毒があっても平気で処分している。

「うーん、やっぱりこの虫は、見た事がないし載っていないんだけど」

 十を超える虫かご全てに、カンゴウムシがこれでもかと密集している。網の目から脚がわきわき出てカサカサと蠢く。脚が出たり入ったりして、早くここから出せとアピールをしているようだ。

 種類ごとに籠に入れるつもりだったが、載っていないのでどう分類しようか。と迷い、結局かごに適当に突っ込んだ。

「二十種も。載っていないってどーいうこと? ……おかしいなぁ。もう新種なんて出るはずないのに……」


『カンゴウムシ』は空気中の毒素が生命をもち、動き始めたと言い伝えられている。

 昆虫類や甲殻類の型に似ている為にこの名がついた。

 大きさは様々。体長1メートル以上もいれば、1センチ弱もいる。

 性質は大人しかったり荒く凶暴だったりと幅広い。種族によっても性格や作用が違っている。

 全体の九十%以上のカンゴウムシが毒性を持つ。無害な毒から死に到る猛毒まで範囲も広い。

 生息域は『水淸の孤島・泉都市の山の中』で、ほぼ島全域に広がっている。

 退治方法は女神の作る分解酵素『不浄を浄化する水』略して『浄化水』のみ。殺虫剤は効かないため、増え始めるとあっという間に島全体に広がる。

 そんな生息域が広いカンゴウムシだが、山以外の場所では滅多に見ることは無い。

 特に浄化水を多く含む水、川、女神がいる深淵都市では生息できないとされている。もし本当に深淵都市のホープで見つかったとなると、途方もないほど大量に発生しているということだ。多すぎて追い出されてしまって仕方なくホープに降りてきた。という解釈ができる。


 瞬は一つの籠を持ち上げて、ガサガサしているカンゴウムシの腹部を凝視する。

「あと。なんか卵持ってるの多いし、これ全部孵化したら相当な数が蔓延るわ。従来のカンゴウムシに取って代わるかも」

 二日間という短期間で調べただけでは結論が出ないが、記録にある繁殖スピードが速い気がする。

 住宅地に囲まれている城野山は地下に浄化水が流れている上、定期的に調査と駆除が行われているからカンゴウムシの数は少ないはずだ。なのにこの新種の数は異常としかいえない。これでは地下水が乏しい島の端側の森では倍いる可能性がある。

「もー。どーいうこと? ううむ。これは匠に相談する方がいいかも」

 とりあえず、新種と思われるカンゴウムシは生きたまま専用の容器に入れて、月曜日は学校を休んでアルの元へ持っていくことにした。




花の女子高生がなにをやってんだか。

趣味は人それぞれ。

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