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扉の先

浮気というのは男の性だと誰かが言っていた。


「んっあ、ぁぁん―――あ」


うすうすは感づいていた。もしかしたらって。でも、実際目にして何かが覚めていった。


「ぁう、も・・・・っとぉぉ」


今まさに繋がろうとしている俺の彼氏と女。そして、それを冷静に見る俺。悲しさも苦しさもない。今来た道を引き返し、玄関へ向かう。ケツのポケットに入れていたキーケースを取り出す。ごちゃごちゃとついている中、ここのカギを抜く。


――カチャ


玄関横に置かれた鍵は気づかれるだろうか。扉を開ける。


「…」


この扉を閉めたらすべてが終わる気がした。扉から出て手を放す。


残り15センチ


「…っざけんなよ」


残り5センチ


――ガチャ


ぽたりと足元にしずくが落ちた。

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