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この先も
サッカー部をやめようとおもう。今から部長のもとへ行く。きっと周りからは同情を向けられるだろう。お前が簡単にレギュラーを取ったとは言わないが、お前の才能が今は少し恨めしい。
いつのころからか俺はいつもお前の後ろだった。
『拓!PKやろうぜ!!』
『おう!やろう!』
いつか、いつか追いつけると思ってたんだ。
世の中の人間はお前のことを天才と呼ぶだろう。でも、俺は知ってる。お前の努力を。だからわかってしまったんだ。追いつけないと。努力に勝る才能はない。
こんな日は一人でいたい。俺の中で何も解決できてないから。
俺はまだサッカーがしたい。
「拓己っ!!一緒行こうぜ!」
遠くから声がした。
あぁ、どうしてお前は…
俺の決意はこいつの笑顔一つで消えてしまった。
――この先も俺はお前に勝てない