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熱中症


(暑い暑い暑い暑い暑い暑い、あつーーっい!!)


真夏の太陽は容赦なく降り注ぐ。

目の前にはプールに入る友人。


(何なんだ!!)


時間は正午を少しばかり回ったばかり。

日陰なんてない。


(クッソ…なんで今日に限って忘れんだよ!!)


勝手に天気予報を見て今日の体育は室内だ、なんて思った自分が恨めしい。

天気予報は、あくまで予報…。見事に晴れてしまった。


しかしながらこんな暑さでは思考もおかしくなる


(あーー、真面目に気持ち悪い…)


先ほどから何度か目の前がかすむ。

本格的に危なくなってきた。


(座るか…)


――――バタっ!!


頬に感じるかすかな痛み


(あれ…、体…、うごかねぇ)


「――――…と!…ことっ!!」


呼ばれているのはわかるのに返事ができない。


―――――――――――


「びっくりしたんだよ~」

「こいつさー」


意識が浮上する。

目は閉じたままだが、周りのざわめきは耳に入ってくる。


(正樹…、と智哉…?か…)


ゆっくりと瞼を上げる。


(う…まぶし)


長い間閉じられていた瞳はすぐには大量の光に対応できず、なかなか開けられない。

それでもゆっくり、ゆっくり開ける。


「あ。」

「ん?…あ、起きた」


椅子に座った二人が両サイドから見下ろすように座っていた。


(だから、あんなにうるさかったのか…)


「気分どう?」


乾いていた喉は安易に言葉を発せず、何度か唾を飲み下す


「普通」


あんまりさえない頭で言葉を返す


―――ッサァ―――


「たく、も―――!!!ふつー、じゃないよ!!」


勢いよく入ってきたのは保険医。

ダイナミックなボディと荒い言葉使いは「肝っ玉母さん」という印象を受ける。


「ほんっっとにもう!あんたがこいつらに担がれて来たときゃ、驚いたよ!!あんたはぐったりしてるし、この二人は海ぱんいっちょだし!」


やっぱり倒れたのか俺…。

初めての経験だが、倒れた時のことをあまり覚えていないというのは本当みたいだ。


(…、というか、なんか引っかかるものを聞いたような…)


「っ!海ぱんいっちょっ」


プールからここまではグラウンドを横切らなければならない。そして、グラウンドはどこの教室からも丸見えだ。途中まで想像して、笑いが込み上げる。


「ふ、ふぅ、っっっっふ」


―――バシッ


頭に軽い衝撃(ん?軽くなかった気もする…)


「ま・こ・と、君?意識のない人間がどれほど重いかわかってる??」


「焦った先生はガンガンゆすろうとしてるし?プールから急いで出て?裸足で暑いグラウンドの上を?運んできた人間に向かって?それはないんじゃないかなぁ?」


(え、笑顔が怖い…)


まぁ、確かに冷静に考えてみればその通りだ。


「ん、ま、その…、あんがと」


言うのと同時に布団の中に隠れる


(は、ハズかし)


「…。」

「…。」


何とも言えない空気…


(((気まず!!!)))


「あ、あんたたちあたし職員会議で居なくなるから適当に還んなよ!」


な、ナイスタイミング!!

ありがとう先生


「あ~じゃあ、俺お前らの鞄とってくるよ。」


「お~わりぃな~」

「サンキュ」



先生と智哉の二人がいなくなると再びの気まずい空気。

よ、よし!ここは俺が!


「さぁ~て、起きるか」


そういいつつ体を置きあがらせる。


「っメタ!!」


急に感じる冷たさ。犯人はすぐにわかった。首と脇と足の付け根につけられた保冷剤だった

熱中症だったのでつけられたのであろう。タオルにまかれたそれはなかなかのつめたさだったので、足の付け根についていたそれは軽い凍傷のようになっていた。


「いた…」


冷たさを通り越して痛さまで感じる。


「ん?どーした?」


聞いてきた正樹に足を開いて見せる。短パンの裾を少しめくると凍ったようなうちモモが見える。


「…―――。痛そうだな」


(?今の間はなんだ??)


すると、感覚のないそこへ正樹の右手が伸びてきた


「本当に冷たいな」


そこをもむように何度も手が上下する


「っ正樹!!」


何の羞恥プレイだ!やめてくれ…。

倒れたせいか、寝ていたせいか体はなかなか力が入らない。

しばらくその状態が続いた後正樹の手がやっと離れた


(あっぶねー!!あれ以上やられてたら…)


そんな思いにふけっていると先ほどより温かいものがそこに触れた。驚き目を向けると俺の股間に(正確にはうちモモに)顔もうずめる正樹。顔が上下しているのも見ると、この生暖かい湿ったものは…、


(舌ぁ!!)


今度こそ驚きで固まる。


「っあ、…―--ん」


意識とは反対に男と性というものはとことん快感を求めていく


「ふ、はっ」

生理的な涙がうかんでくると正樹の顔が俺を捕えた。何も言うのか、回らない頭で考える。


「温まった?」


首をななめ45度に傾けながら問う正樹にかわいさのかけらはない。

もう、何が何だかわからない。


「――――っ!」


顔に熱が集まっているのがわかる


俺は本日二度目の熱中症(?)で倒れた



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