決意を見ず、寝耳に水
続きました。対戦よろしくお願いします。
「さ、入って」
「お、お邪魔しま~す」
「ふふ、いらっしゃい麗羽ちゃん」
わぁ玄関広いなぁ...
あ、なんか高そうな絵画だぁ。
文乃さんの家へ招待された私はバカでかい門を抜け、噴水と庭園を通りやっとの思いで玄関に辿り着いた。ほんとに別世界の人間だということを思い知らされたね。
「好きなところに座っててね、飲み物持ってくるよ。紅茶で大丈夫?」
「う、うん。お構いなく...」
パタパタとキッチンへ向かう文乃さん。
リビングも広い。ソファなんてうちとは比べものにならない程ふっっかふかだし。
あぁ、このソファでお昼寝したい...
「麗羽ちゃん、起きて」
「んぇ~?」
「起きてってば」
ハッとした私はすぐさま飛び起きる。
いつの間にか寝ちゃってたんだ、ってそういえばここって...状況を思い出した私はえへへと笑いながら声の主に顔を向ける。
「ご、ごめんね」
そこには文乃さんの可愛らしくも冷たさを感じる微笑みがあった。流石に不味かったかな...
「麗羽ちゃん、もうとっくに紅茶冷めちゃったよ?」
「うぅ...ご、ごめん」
「ほんとにそう思ってる? 」
「思ってる...ます」
私がそう言った後、彼女は何か閃いたような表情をした。
「じゃあ、許してあげる。けどその代わりに私のお願い聞いて欲しいな」
えっ、なんだろう。めんどくさいことだっ...ひっ...な、何でもないです!!聞きます!
首をぶんぶんと縦に振る。
「あ...で、でも本当に無理だと思ったら断ってもいいからね...?」
うん、分かってるよ。それに文乃さんはそういう人が嫌がるようなことを頼む人じゃないと思うし。部活やろうとかだったら無理だけどね。
「よかった。でもここじゃあなんだから、私の部屋に行こっか」
というか起こしてくれればよかったのに...
「起こしたよ!」
あ、はい。ごめんなさい。
そんなやり取りの中、彼女の顔が赤くなっていたこと、何かを決意したような目をしていたことに私はまったく気が付かなかった。
「可愛い部屋だね」
「そ、そうかな?」
「うん、女の子って感じ」
彼女の部屋は桜色に包まれていた。
置いてある家具や小物もそれに合わせてあり、柔らかい雰囲気が部屋全体に広がっている。彼女の印象ぴったりだ。
「それでお願いって?」
「うん、それなんだけどね。その、えっと...」
あ、ベッド大きいなー。さっきのソファも良かったけどこっちも相当な寝心地なんだろうなぁ、掛け布団も軽そう。この枕とか予約殺到で入荷待ち三年とかのやつじゃなかったかな?
彼女はまだ下を向きモジモジしている。
お願いって一体なんだろう。皆目検討もつかないんだけど。やりたいことが出来たから一緒にやろうとか?
「えっとね、その...付き合って欲しいの...」
「私でよければ全然構わないけど」
「え!? いいの?」
「それで? 何がしたいの?」
「えっとじゃあキ、キスとか...!!」
わーお、私はどうやら思い違いをしていたようです。