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衣鳩麗羽の羽休め  作者: あおひとぐさ
休日急にちゅー
13/36

きらいなところ、浮つく心

続きました。


「んぅ~、よく寝た」


 今日は運が良い。なぜなら午前中に起きれたからだ。二度寝の誘惑も来ない。しかし、やることがない。暇だ。


 ピロリン


 枕元にあるスマホをとる、やはり文乃さんからだ。基本的に私は家族くらいとしか連絡をとらない、そもそもとる相手がいなかった。文乃さんと付き合うまでは。


『おはよう麗羽ちゃん! まだ寝てるかな? 突然だけどよかったらこの後、デート(キャッ///)でもしない?』


『おはよ、起きてるよ。デートね、いいよ。何時にどこ?』


『やった! 十時に駅前でどうかな? 』


 そんなやり取りを終え、朝食を食べる為にリビングへ向かう。


「あ、うーちゃんおはよう! こんな時間に起きてるなんて珍しいね!」


「はいはい、おはよーさん。でも一言多いっ」


「いてっ」


 要らんこと言う美羽にチョップして隣に座る。テーブルに置いてあるシリアルを手に取り、器に入れて牛乳を注ぐ。いただきます。


「うーちゃん、今日暇でしょー? 映画みにいこーよ」


「今日はうーちゃん予定ありまーす、また今度ね」


「え!? 嘘! めんどくさいからって嘘ついてるんでしょ!」


「む、嘘じゃないよ」


「嘘じゃないなら証拠みせて!」


「はいはい、後でね」




 シリアルを食べ終えた私は唸る美羽を置いて自室に戻り、支度を済ませて姿見で最終チェック。


「...こんなことなら雑誌でも読んで勉強しておくんだった。後ろちょっと跳ねてるし...」







 あーでもないこーでもないと身だしなみを整える。気付いた時には、集合時間にギリギリ間に合わないくらいの時間になってしまった。


「い、行ってきまーすっ」


 玄関を足早に駆け抜け、駅まで早足で向かう。走りたいけど走ったら今までの苦労が水の泡に...うぅ...


 なんとか待ち合わせの場所に着いた私は、先に着いてるであろう文乃さんを探す。ちらりと時間を見ると五分ほど遅れていた。辺りを見渡し、目印のプラチナブロンドを探す。いくら人が多くてもあれほど綺麗な金髪はそうそういない。見つけるのは簡単なはずだ。


「文乃さんどこ...?」


「わっ!」


「っ... 」


 背中に軽い衝撃を与えた人物に振り返る。そこには私が探し求めていた美少女がいた。


「ごめんなさい文乃さん、遅れちゃった...」


「大丈夫、私も今来たとこ...なんてね! 具合悪い訳じゃないよね? そうなら無理しなくて大丈夫だからね?」


「うん、大丈夫。その...」


 理由を口にしようとして固まる。

 あなたと会うための服装で悩んでて遅れました、なんて恥ずかしくて言えるわけない。顔が熱くなってきた。


「どうしたの麗羽ちゃん? 顔が赤いよ? ほんとに大丈夫?」


「っ...うん。平気、ただその、ど、どうかな...?」


「?」


 鈍感。なんでこういうのは気付かないの。


「よく分からないけど、今日も可愛いね。その服も麗羽ちゃんによく似合ってるよ。とっても素敵!」


「あっ、もしかしてそれで遅れたの? ふーん、へぇ、そーなんだぁ」


 何かを察してニヤニヤする文乃さん...ほんとにこの人はっ。そういうとこほんときらいっ。ばか。あほ。へんたい。


「し、知らないっ。はやく行こ!」


「ま、待って~! 麗羽ちゃ~ん」


 さらに顔が熱くなった私は、それを誤魔化すように彼女を置いて歩き出す。


 今日はいったいどんな一日になるんだろう。


 彼女への態度とは裏腹に、私の心は今にでもスキップをしそうなほどに浮ついていた。



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