友達とお出掛け2
写真撮影を終え、私達はお店を出た。
「は、恥ずかしかったです……」
涙目で私を睨んでくる源さん。
「ごめん……ちょっと、はしゃぎすぎた」
あれから、暴走気味の私は、源さんに様々なポーズの要求をして、色々なコスプレをさせた。少し反省はしている。
「本当は、私が先輩にするはずだったのに……!」
「……そうだったんだ」
そんな狙いがあったなんて……。さっきまで抱えていた罪悪感が和らいだ。
「……お詫びに奢るから……何か食べよう」
「食べ物程度で、私の機嫌が直ると思ったら大間違いです」
「……じゃあ、どうすれば良い?」
「ラブホテルに行きましょう」
「だ、ダメ……! 私達未成年だし……それに」
「冗談です。ギュッと抱きしめてください」
源さんは両手を広げ、ニコリと笑った。
え? こんな人がたくさんいるところで抱きしめろと……? 無理、絶対無理……!
「先輩」
目が段々と虚ろになっていく源さん。
仕方がない……それで源さんが機嫌を直してくれるなら……と、源さんを抱きしめた。
良い匂いがした。それから温かい体温。緊張していたが、今は心地よかった。
ふと、視線を降ろすとサラサラとした黒髪が目に入った。
「源さん」
「な、なんですかっ!?」
どうして、そんなに動揺しているのだろう?
「髪、触っても良い?」
「えっ!? 髪ですか………………良いですよ、先輩は特別ですので」
「ありがとう」
源さんの髪に手を伸ばす。サラサラとした心地良い触り心地、ふわりと良い匂いがした。
そうか、髪て良い匂いするんだ……。
私は優しく髪を手に取ると、匂いを嗅いだ。
「せ、先輩!? な、何してるんですかっ!?」
「うん? 匂いを嗅いで……」
そこで、気づいた。あれ? これって、ものすごい変態的な行為じゃない? それに私ってば何て大胆なことを……!
「ご、ごめん……つい、出来心というか、欲求に流されたというか……」
言い訳を並べ、源さんに謝る。源さんはそんな私を見てクスクスと笑った。
「恥ずかしかったですけど……嬉しかったです。だって、そういうことするってことは、私の事を厭らしい目で見てくれているてことですよね?」
「な……!」
源さんの言う通りであった。
最初の頃は友達として見ていたが……いや、最初から友達として見れていなかった。
源さんを意識して、いつのまにその魅力に魅了されてきていた。
「でも、次やる時は人がいないところでしてくださいね……流石に、人前は緊張しますので」
「っ!?」
慌てて私は周りを見回す。休日ということもあり、ショッピングモールには人がたくさんいて、何人かと目が合うと逸らされた。
そうだった……人たくさんいたんだった……源さんに夢中で忘れてしまった。
恥ずかしさのあまり、手で顔を隠し、座り込んだ。
「先輩!? 大丈夫ですか!?」
「大丈夫……? はは、大丈夫、だよ……。だからしばらくそっとしておいて」
***
数分後、どうにか立ち直った私は、源さんに手を引かれていた。
「さあ、着きましたよ!」
「ん?」
虚ろな目で見ると、そこには猫、猫、猫。
色々な猫のグッズが売っていた……!
「元気出ましたか?」
「うん……! ここはどこ?」
「ここは、期間限定でやっている猫の専門店です。全国各地を回っていて、猫好きからは人気なんですよ」
と、説明してくれる源さん。
「先輩は猫大好きですよね。よく、学校帰りとか猫と遊んでますし」
「え? どうして……」
そう言えば、源さんはストーカーだった。
「さあ、行きましょう」
「う、うん」
早速店内に入る。
まず目に入ったのは、猫の写真だ。
ソファの上で丸くなる白猫。猫じゃらしを掴もうとしている毛がもふもふしている猫。テーブルの上に顔を乗せ、つぶらな瞳で見つめる猫。などなど。
ここは天国か……!
「見てください先輩! ジャーン!」
「ん……! そ、それは……!?」
源さんが手にしたもの、もとい頭に着けていたものは猫耳だった。
「にゃーん。なんちゃって……えへへ」
猫の手で小首を傾げる源さん。
私は源さんの肩をがっしりと掴む。
「源さん」
「な、何ですかっ!? め、目が怖いですよ……!」
「触って、良いかな……大丈夫、変なことしないから……!」
「だ、ダメです……こ、こんなところで……あっ」
それから先、私の記憶はなかった。