佐藤パート11 金髪の少女の正体
すいません毎日投稿の予定でしたが現在、新人賞に投稿するための長編を別に書いているため、こちらは不定期更新にさせていただきます。
「ぜ、絶滅って」
「これは確かな情報ですよ。うちのボスが直に経験した話なのですから」
佐藤に再び聞き捨てならない情報が泉から飛び込んだ。
「え? ちょ、ちょっと待って下さい! 経験したって、何千万年も前の話ですよね?」
「はい、そうですが?」
さも当たり前のように答える泉。
「おかしいですよね!? そんな長い時間、人間が生きられるわけないでしょう? まさか時間を移動出来る魔法が使えるなんて言いませんよね?」
「いくら我々のボスでも使えないでしょう」
「じゃあ……どうして?」
考えるのをやめて答えを求める。
「圭君が最初に言った通りですよ。何千万年前に生きていたんです。ただし、私たちのボスは人間ではなく--魔族ですが」
意外なような予想出来たような答えより佐藤の興味はそれでも同じ所に向く。
「だとしても、何千万年前は……」
「圭君、貴方はまだ自分が踏み入れた世界を分かっていないみたいですね」
佐藤の欺瞞を遮り泉が話す。
「まだ覚悟が足りていません。いいです? 常識なんて糞くらえ--です」
泉にしては汚い言葉遣いである。
「私は生まれた時からこの世界に身を置いているので貴方の気持ちは解りませんが、有り得ないはないのです--この世界では」
そう泉は強く言い切る。
「……わかりました」
佐藤は頷くしかなかった。
「ボスすら出来ない時間の移動も可能かもしれません。特に貴方が抱えている『それ』ならば」
「この子が--ですか?」
魔族であるのは聞いたが、さらに特別な存在だという話は初耳であった。
「……何者なんです?」
「まだ断言出来る段階ではないのですが……そうですね、魔族の存在自体が世界にとって都市伝説的なのですが、その魔族の中でも都市伝説があるのです」
「都市伝説ですか」
「スーパーサイヤ人の中のスーパーサイヤ人ゴッドみたいなものです」
「本当にお好きですね……」
要は異端中の異端という事だろうか。
「いつからか知らないのですがこんな噂が流れだのですよ。魔族同士の闘争を勝ち続け何億年も生き延びているーー最強の魔族が存在すると」
「最強の魔族……」
「私たちはその存在を『エイン』と呼んでいますが、本気でそんな存在がいるなんて信じていませんでしたーー昨日までは」
昨日ーー東京の上空に人影が現れた日。
「何もない所から急に現れたんですよ。何をしたのかまだ分かっていませんが空間の超越なんてデタラメを私は聞いた事がないです。そんな事が出来る魔族なんてそれこそーー最強魔族のエインしかいないのですよ」