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NEW・アルカディア!  作者: 祝 冴八
[DAY7] 決意を信じよ
51/64

7-B 暗転。スポットライトは一つだけ


『私のところにおいで』


 きっかけはその言葉だった。


 小鳥が歌う。


 涙にまぎれて、記憶が流れた。


     *


『気味が悪い』

『この家に居ないでちょうだい』


 そう連れてこられたのは大きな家。同じ背丈の人、私より小さい人。数十人の子どもが住んでいた。


『おまえなんでうでないの?』

『おこられてばっかりでたのしい?』

『だれがなまえをつけたの?』


 みんなは質問してくるけど、答えられない。だって知らないんだもの。

 家の中をずっとうろうろしていた。とくに興味があるものはない。


 暗い角で唄ってばかりだった。透明色のなにかが浮かぶから。

 だからノートに書いた。私の嫌なこと。好きなこと。


 一番書いてあるのは、人から怒られたことだ。

 睨まれると汗が降る。怒鳴られると心臓が揺れる。

 何故怒られたかはわからないが、その人たちの言葉はいつも私に向けられていた。


『同じ失敗するな』

『何度言えばわかるんだ』


 いつのまにか、ノートは叱責で埋め尽くされた。



 次は失敗しないように。


 次は、怒られないように。


 私が笑っていられるように。



 私はノートに書いた。

 いつか神様が来るのを祈って。


     *


 ある訪れた転機のいい日。


 小鳥は飛び立った。


 歌声は天へ登る。



 指先が、動いた。

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