上陸開始
2022年 4月24日 20:00
佐世保の第二護衛艦隊群の援護を受け、
水陸機動団が宮古島、多良間島、両島に上陸を
開始した。
だが、本格的な戦闘はありえないということが
既に判明している。
というのも、両島に上陸した中国軍は
どちらもわずか200人程度。
装備も地対空ミサイルを除けば、
携SAMハンドアロー程度であり、
装甲車や対空自走砲すらない、いわば
時間稼ぎの部隊だった。
その地対空ミサイルもしなの所属のF35らによって
すべて破壊されている。
そのため、作戦開始3時間前の17:00、
中国軍強襲揚陸艦長白山が彼ら計400人を
収用し、尖閣諸島方面へ引き上げてしまったのだ。
自衛隊はこれを攻撃することなく、黙殺した。
そのため、上陸作戦といってもそれぞれ100人ほど、
警備隊程度で済んだ。
だが、それは同時に尖閣諸島の基地化が
確実に進んでいることを表していた。
・・・・・・・
ただし、与那国の中国軍は先の2島とは
まったく異なる。
空挺戦車に装甲車、対地戦闘ヘリまで有する
完全武装連隊なのだ。
この制圧に当たるのが陸上自衛隊の特殊作戦群。
そのほとんどが謎に包まれた存在である。
特殊作戦群二個中隊200人は
しなのファルコン隊5機に護衛されたC2輸送機2機で
与那国島へと接近。
20:10、パラシュート降下を開始した。
「小隊ごとに集合!」
降下後速やかに物資を回収し、集合、
点呼する。
「よし、欠員はいないな。」
「牧原隊長!お待ちしておりました。」
ひとりの男が物陰から現れる。
隊員たちがじろりとにらむ。
その男はSSの武藤。
上層部の命で与那国島でのスパイ活動を行っており、
住民と共に小学校に収容されていたが、半日前に
脱走。先程島南東にある中国軍の監視所を
ひとりで制圧したところだった。
「武藤か。話は聞いている。ご苦労だった。」
「住民は小学校の体育館や公民館、市民会館に
分散収容されており、それぞれに中国兵40人が
付いています。」
住民に被害が及ぶことだけはなんとかして
避けねばならない。
となれば、
「まず先に沿岸監視隊200人を解放しよう。」
「ですが、あそこの周囲は空挺戦車や戦闘ヘリが
固めています。今の装備では自殺行為です。」
上陸に成功した自衛隊。
だが、それは地獄の始まりに過ぎなかった…。