攻撃
2022年 4月22日 09:30
自衛隊の作戦は多方面で進行している。
沖縄には輸送艦おおすみら2隻に
佐世保から護衛の第二護衛艦隊が派遣されており、
水陸機動団が与那国島奪回に向けて
命令を待っていた。
また、那覇基地にはF2に変わる
国産ステルス戦闘爆撃機FーXが
20機、集められており、
既に発進準備を完了していた。
・・・・・・
同刻 総理官邸
平沼は決断を迫られていた。
たった今、しなの艦隊が中国戦闘機の
攻撃を受け、これを撃退したとの報告を受けたのである。
「総理。中国は引く気配をみせません。
中国の侵略を食い止めるためには
彼らの精神的支柱であり、同時に今回の作戦の
最重要兵器である空母の撃破が不可欠です!
那覇基地のFーXに遼寧への攻撃命令を!」
防衛大臣が迫った。
防衛省の計算の結果、空母を撃破しない限り
中国は尖閣をあきらめないとの結論に達した。
だが、平沼は危惧する。
(もし空母を沈めたら中国は報復として
日本に核を撃ち込むのではないか?
局地戦ならまだしも全面戦争になったら
日本はなにもできずに壊滅する!
それだけはなんとしても避けねばならん!)
その時だった。
「失礼いたします!
防衛省から入った確かな情報です!
『中国海軍東海艦隊並びに南海艦隊に動きなし!
同様に陸軍にも作戦準備的行動は見られない』とのことです!」
それは和也の同期、SSメンバーからの情報だった。
東海艦隊は中国海軍の中でも本国防衛を担当する
共産党直轄の艦隊である。
それが動かないということはつまり、
『今度の侵略行為は北洋艦隊の独断』
ということである。
理由はわからないが、北洋艦隊の司令部が
共産党指導部から離反し、独断で尖閣諸島に
侵攻した。
そして共産党指導部はその失態を世に知られたくないが
ためにこれを黙認したのだ。
「仕方あるまい。国民と領土を守るのが
我々の使命である。那覇基地の航空自衛隊に
中国空母遼寧への攻撃命令を!」
「は!」
22日 10:10
田中健太郎三佐率いる
FーX心神20機は、翼下に対艦ミサイルを
抱えて、中国空母目指し、飛び立った。