隊長会議
仕事は基本午前中に行い、午後は会議を行った方が効率がいいらしい。という、何の根拠があるのかわからないがこの国の会議も午後から行われることが多い。
その会議は第一隊長から第十隊長までの最大10人で行う定期会議。中には遠征に行っていて欠席をしている事もあるが、今回の定期会議は久々に全員参加である。
以下はその会議で発言された会議録の一部抜粋をご紹介しよう。なぜならとある青年についての処遇を決める会議でもあったのだから。
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「・・・以上が今月の王が参加する式典の概要だ。何か質問はあるか?無ければ会議は終わりになるが。」
「ちょっと会議の内容と違うことなんだがよろしいか?」
「いいですよ、ダグラス。どのような案件ですか?」
「他の者には何となく分かると思うが、奴の件です。」
「奴というのはスピアのことですか?」
「すみません。奴を更生することは我々では出来ませんでした。はっきりいってお手上げです。このままでは儂は頭に血が上りすぎてフラフラになって死んでしまいます。」
「・・・鬼のダグラスにそこまで言わせるとは、つまり今日この場で他の隊への異動をお願いしたいという事か。」
「ええそうです。もう限界です。」
「すみません。自分スピアさんって人よく知らないんですけど、どういう人ですか?」
「・・・・・・・・・」
「えっ、何で沈黙しているんですか?みなさん。」
「いや、お前の自分以外についての無知にびっくりしていただけだ。」
「それじゃあ、俺から教えようかな。スピアっつうのは、生まれは大通りの弁当屋があるだろ?あそこの次男だ。軍隊に入ったのが確か10年以上前位かな?『神童』って当時は言われてたな。」
「今の自分ってことですね。」
「いや、今のお前よりも圧倒的に強かったな。何故なら入隊して一週間で当時の隊長をすべてに勝ったからな。」
「そんな人がいるんですか?なら何故この会議に出席していないんですか?」
「それは、奴が権力や責任というものが大嫌いで、もしも隊長になるくらいなら他国へ行くなんて言ったからだ。」
「・・・今のその人強いんですか?」
「3年前の世界軍事大会で奴は一人で3回戦まで進んだ。それくらい強い。しかも倒した中に帝国12神将がいるチームをやぶっている。」
「半端ないすっね。そのチームって何人ですか?」
「5人だ。しかも全員が12神将だった。」
「それくらい強いなら負けた理由は何だったんすか?疲労ですか?それとも、強いチームと当たったんですか?」
「不戦勝だ。奴は『面倒くさくなった』と一言のこして帰国していた。」
「本当に自由な人っすね。」
「まあ、そういう事もあって他国への戦力を増強させないため、どうにかここで運用を考えているところが今現在の状況だ。」
「なにか案のある奴はいるか?」
「それじゃあ、俺んとこに任せてもらおうかな?」
「ドンペリ第四隊長ですか。繋がりは今まで余り無かったと記憶しているが・・」
「確かに余り話している姿を見られていないと思う。一応奴と俺は同期なんだぜ?第四隊長になってからほとんどあってなかったからな。」
「あなたが立候補するという事は彼をあの地へ向かわせるつもりですね?」
「もちろん。奴は追い込めばきちんと仕事をするタイプだからな。というよりやらなければならない責任を乗せないと絶対に仕事をしない奴だ。」
「責任ですか・・・」
「俺の考えは奴に最西端の門に小屋を建ててそこに一人で住まわせる。」
「最西端って、あの森の入り口でですか!?」
「あの入り口って兵士が常時5人以上24時間365日いる所ですよね。」
「そうだ。だからこそ奴はきちんと仕事をしなければならない。仕事をしないと住民に即被害が出るからな。」
「住民は怒りませんか?」
「最初は数人で事を当たるつもりだ。そして時期を見て奴を一人にする。その間に住民に納得してもらう。」
「まあ、彼がこの国で一番防衛を得意としている人だしいいんじゃないかな?」
「それでいいかなダグラス隊長。」
「はっ!」
「以上で会議を終了する。ダグラスとドンペリは奴を引き継ぐ話を詰めておいておくように。それでは解散!」