サボることに命を賭ける
くっそ久しぶりに続きを投稿しました。つーか前書き後書きに2万文字も書く奴いるの?
第10軍隊は怪我をした兵士や前線から離れて書類仕事に追われた後現場復帰のための訓練所である。
そこの隊長であるダグラスは大柄で立派な髭が特徴の軍人である。元々はこの第10軍隊はダグラスが入隊したときは存在していなかった。この第10軍隊こそダグラスが発足させたからである。
ここで鍛えられた者は、ほぼ最盛期の身体のキレが戻り、それぞれの軍隊で活躍の声が多くあげられる。
しかし、この空き教室にいる人物は全くと言っていいほど訓練に参加しない。何時までたっても10軍隊から抜けられずにいた。いや、抜けようとしていなかった。彼にとっては特に何もしない日が続くことは最上の仕事であったためである。
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木製の扉が原型をなくして吹き飛んできた。
「貴様というやつはあああああああああああああああ!今日こそ逃がさないいいいいいいいいいいいいいい!」
「ちゃんとこの場所を練習所で申請した?じゃないとまた、給料から引かれるよ。」
「余計なお世話じゃああああああああああああ!」
右手に持った両手剣を片手で青年に振り下ろしてきた。大きな音をたてて、床に大きな穴が開いた。青年は寝ながら片足で器用に移動して躱した。
「避けるなあああああああああああああああ!」
「嫌だよ。痛いじゃん。」
左耳をほじりながら、話をしている青年にブチ切れて今度は両手で振り回した。しかし、青年はギリギリで躱していく。寝ながら移動している姿は追い詰められているようで情けないが、青年は半分目を閉じた眠たそうな余裕の顔であくびをしている為、そこまで悲壮感はない。みているこっちが眠くなる。
「いい加減にしろおおおおおおおおおおおお!」
「そんな事いってもねぇ。よけなきゃ危ないし。」
そう答えたのもつかの間、入り口から二人の兵士がやってきた。
「隊長!それ以上暴れるとここの修復が大変になりますから抑えて!」
「うるさいいいいいいいいいいいいいい!!」
二人の兵士はダグラスの腰を両脇からおさえて動けなくした。
「離せええええええええええええ!こいつは俺がやるうううううううう!」
青年は二人の兵士に抑えられているダグラスを見てニヤニヤしていた。
「お前も寝っ転がってないで、隊長に謝るなりここから移動するなり何かしろ!!」
「あー、そうですね。ゴホン。」
すると青年はやる気のない声でさらに寝そべった。
「ウワー、一般市民ノ自分ガ魔物ニ襲ワレテ腰ガ抜ケテ立テナイヨウ。兵士サン。タスケテー。」
「・・・テメーふざけているのか?」
注意を促した兵士とは別の兵士がイラついている。
「マヌドは手を緩めるな!隊長が暴れるだろう!お前も遊んでないで早くしろ!」
「遊んでなんかいませぇーん?真面目に演技してまーす(^_^)v」
「・・・気が変わった。マヌド。お前右から回り込め俺は左から回る。手を離せば隊長は突撃するからそれと同時に移動だ。わかったな?」
「おうともよ。」
「あれー(゜ε゜;)」
この空間に青年の味方等ひとりもいなかった。当然でもある。兵士二人が目線で合図をして、手を離した。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
猛烈な雄叫びとともにダグラスが青年へ突っ込んでいく。そのまま手にした両手剣を振り下ろし周囲に床の素材である木片が散らばる。
その音と同時に入り口の方から諭すような声が聞こえてくる。
「そんな隙だらけの攻撃では捕まえることなんか一生無理ですよ。隊長さん。それではあばよだなん。」
青年はいつの間にか入り口から堂々と出ていった。
「逃がすかあああああああああああああああ!」
ドシドシと地響きにも似た足音で部屋を後にした隊長。部屋には二人の兵士が残った。
「今の奴の動き見えたか?マヌド。」
「・・・全く。というよりお前の方へ逃げていったのにわからなかったのか?」
「隊長が攻撃したときまでは奴はそこにいたんだがな。その後に横をすり抜けていったという気配さえ俺には感じなかった。」
静寂と化した部屋から出た二人はため息をしつつ。隊長の後を追っていった。