仕事場到着
いつも通りの道を歩く中肉中背の男が一人
その顔は眉間に皺がより、誰もいないのに威嚇をしているようだった。
その足は重く、足枷をつけて重りを引きずっているようだった。
その心は表情に出ているものとは違い、やる気はなかった。
(こんなにいい天気なのにむさ苦しいおっさん達が集う所へいかなければならないのか。)
そんなことを考えていると足取りが止まりそうだったため何も考えずに歩いた。
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立派なお城のそばにある練習所に着いた。
練習所の門には順番待ちの列が並んでいた。門の入り口には木札があり、それを裏返すことによって本日出勤しているという印になる。ずるをしないように見張りの当番があり、一日中門の監視を行っている。自分はこの当番の日が一番好きだ。一日中ぼーっとする事が出来るからだ。
「おはよう。裏返したら早く練習所へ行きな。」
にやにやしながら近づいてきた今日の当番だ。要注意人物は必ず声をかけることが決まってある。当番の日にその要注意人物の名前を見たから間違いない。この当番も勤勉である。ちなみに、全軍約千人いるうち要注意人物は2人だけである。似顔絵つきだ。
「今日も最悪な一日におはよう。」
頭を下げずにのろのろと歩く姿はやる気を微塵も感じさせない。実際やる気はない。とりあえず、いつもの場所で時間を潰して仕事に励むとしよう。
練習所の中は平地、沼、森。建物、路地、傾斜など、様々な戦闘地域が作ら考えられた場所である。この軍隊では戦闘場所・時間・人数がバラバラな所で活動している。他国からの侵略に対する防衛、自国の犯罪等を取り締まる警備、隣接する魔物が住む森の駆除とにかくこの国では多岐にわたって行動しなければならない。
その中でがらりとした部屋で横になっている兵が居る。朝からのろのろ歩いて部屋に到着するなり、体を地面につけて寝転がっている。その数刻後、ドンドンと大きい足音が部屋へ向かっている。ここにいるぞと存在を示す足音ではなく、怒り露わにして近づいていることがなんとなくわかる。というより習慣で分かる。たぶんあの人だろう。
第10軍隊 練習所隊長 ダグラス・マクスウェルその人だ。