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学園Wの俺ら  作者: 祭狐
8/16

8 夜とお店とクマ

んん・・・

頭いてぇな・・・あっ、そいやぁさっきシーテに顎でグリグリされたんだっけか。

ゆっくりと目を開けると・・・って!?何で俺、寝てたんだ!?


「あっ起きたんですね。」


後ろから、優しく声をかけられる。

何か聞いたことあんなあ、この声。


「イサくん?大丈夫ですか?」

「ん?あぁ、うん大丈夫だよ。」


と言いながら首だけ回して後ろを見ると、・・・首しか回んないんだけど!?


「何これ!?」

「イサくん?」

「首しか回んねえぞ!?」

「あぁ、それは結んであるから。」

「何に!?」

「イスに。」

「何が!?」

「イサくんの手足が。」


下を向くと手足が縄跳びの縄みたいな、っていうか明らかに縄跳びの縄だろこれ!!とにかく俺の手足が椅子に縛られている!!


「イサくん落ち着いて。」

「いや、落ち着けないだろ!この状況で!!・・・ってあれ?生徒会長さん?」


さっきから俺に話しかけていたのは、あの入学式で一度だけ見た、生徒会長さんだった。

眼鏡をかけていて、いかにも賢そうな見た目の生徒会長さん。

けどなんか、


「あんさ、生徒会長さん?」

「はい?」

「なんか、遠くありません?」

「何がでしょう。」

「うーんと、俺と、生徒会長さんの距離?」

「あぁ。」

「・・・ん?」

「はい。」

「あと、俺首しか回んないんで、とりあえず俺の前に来てもらっていいですか?」

「はい。」


「はい。」と答えた生徒会長さんは、壁に沿って、壁のギリギリを辿りながら、俺の前方の一番遠い所に座った。


「・・・うん、いやだから、遠くありません?なんか。」

「そっそんなことないですよ。」

「いやいや!」

「いやいや。」


何なの!?この会話!!


「うーんと、じゃあ生徒会長さん。」

「はい。」

「今さらな質問いいかな。」

「はいどうぞ。」

「ここさ、どこ?」


そう、ここどこ!!?何で生徒会長さんがここにいるの?とか、生徒会長さんとの距離がどうして遠いの?とか、そんなことよりだなあ!?ここ!!そう、そのここってどこ!?


「イサくん、それは…」

「うん。」

「言えない!」


バッと生徒会長さんが顔を赤くして顔を隠す。・・・はっ!?何で!?何を恥ずかしがってるの!?


「うっうん?あの、恥ずかしがるとこじゃないよね?」

「ひゃぁ。」


「ひゃぁ」って何!?ひゃぁって!!何かチョー恥ずかしそうだなおい!!俺まで恥ずかしくなってきたぞおい!?


「あの、生徒会長さんって男だよな?」

「…はい。」

「随分とかわいい声出すんだね。」


いやいや、そうじゃねえだろ俺!何言ってる!?


「じゃなくて!ここ、どこ…ってん?」


俺の足に何かがコツリと当たった。下を向くと、・・・これは、ラムネの瓶?


「もしかしてここ、ラム姉・・・じゃなくてラム先生のお店?」

「!?どうして分かったんですか!?あっ…!」

「やっぱそうか。」

「…言えません。」

「今さら!?もう今さら過ぎだろ!!逆にここまできて誤魔化すのもすごいな!!」

「…そうですよ。」

「何で不貞腐れるの!?」


何か訳が分からんけど、とにかくここはラム先生の店だっていうのは分かった。で、あとは、


「今何時?」

「どういうフリですか?それ。」

「ん!?」


どういうフリデスカ?どういうイミデスカ?どういうフリ?フリ!?どういうフリがあるのそれ!?


「うっうーん、普通に聞いてるんだけど。」

「あぁなんだ。」


あぁなんだ!?


「八時です。」

「…あぁ八時か。ん?ってか何で俺ここにいんの?あと、生徒会長さんも。」

「たまたまW組の前を通りかかったら、」

「うん。」

「教室でイサくんが一人倒れてて。」

「うん。」


あいつら、倒れてる俺のこと放置したのね・・・。


「大変だと思って、」

「うん。」

「急いでここに運んだんです。」

「誰が?」

「僕が。」

「へぇぇえ。」


生徒会長さんの腕を見る。うん、男の割に細い腕・・・俺この人に運ばれたの?


「うん、も一個聞いていいかな。」

「はい。」

「何で保健室じゃなかったんだ?」

「・・・確かに。なんか、自然の成り行きで。」


自然の成り行きで、保健室じゃないんだ。へぇぇ。う~ん?俺がおかしいのかな?最近の子はこんなもんなのかな?

人が倒れてたらタクシー呼んじゃうのかな?


「で、イサくんこれ、途中で通り過ぎた保健室の先生から渡された手紙です。」

「おう、ありがとう。・・・うん?」


通り過ぎた?いや、通り過ぎないで!?そこに俺を運んでよ!!何故通り過ぎたんだ!?

まあ、もう言っても仕方ないけどさあ。

手足を縛られている俺のために生徒会長さんが、俺の方に手紙を開いて見せる。


「これ、ラム先生からじゃん。」

「そうなんですか?」

「うん。」

「読んでください。」

「えーと、イサくんへ。さっきはごめんね。まあそれはいいとして、・・・いいのかよ。えっと?今日のイサくんの言葉とても胸にきました。これから私も担任として、毎日ちゃんと、Wクラスに行こうと思います。」

「おぉ。イサくんすごいですね、ラム先生の気持ちを変えるなんて。」

「まあ、毎日来るなら良かったよ。で、えっと?ということで、イサくんに私のお店をお願いしようと思います。好きに商ってもらっていいのでよろしくね。ラムより。・・・はい?」

「なるほどぉ。」

「いや待てよ?そしたら俺は学校に行けなくないか?」

「ダメですよイサくん。クマの世話しに行かないと。」

「うん、そうだけどさ。」

「つまり、イサくんはこれから、朝に学校に行って、クマの世話をして、その後すぐお店を開いて、お昼辺りに学校に行ってクマの世話をして、またお店に戻って、夕方お店を閉めて、夜またクマの世話をして、帰宅する、ってことじゃないですか?」

「うん、サラッとスケジュールしてくれるのは嬉しいけど、生徒会長さん、それだと俺、学校にクマの世話しかしに行ってないよな?」

「本当だ。まあ、頑張りましょうね。」

「いや、何で頑張る方向になってんの!?拒否権は!?」

「あるんですか?」

「ないんですか!?」

「まあまあ。」


と言いながら生徒会長さんが寄ってきて、俺の手足の縄をほどいた。


「何でほどいたの?」

「手紙読んだからです。」

「そのために縛られてたの?」

「はい。」

「で、あの手紙の内容知ってたからここに運んだんだ?」

「えっ!?てっ手紙は読んでません!!」

「ウソ言え。」

「ほっ本当です!」

「本当のこと言ってごらん?ラム先生には言わねえでやるから。な?」

「・・・そうです。」

「はあ。もう、マジでこの学校なんなんだよ。」

「イサくん。」

「もう俺何でこの学校選んだんだっけ?」

「イサくん。」

「Wクラスとか意味わかんねえし。」

「イサくん。」

「もう本当、」

「イサくん!」

「何!?」

「クマの雄叫びが学校から聞こえます。」

「クマの雄叫び!?」

「きっとお腹を空かせてるんだと。」

「あっそうか俺が世話人なんだっけ?」

「そうですよ。」

「はいはい、行ってきますよ。まだ学校空いてるんだろ?」

「はい、大丈夫です。」


はあ、クマの雄叫びが学校から聞こえるって・・・普通に七不思議だぞ・・・。

まあもう驚かねえけどさぁ。

皆さん気づいた?いや気づかなくてもいいんだけどさ。

そもそも皆さんって誰だろ。俺までおかしくなってきたかな。

それよりもそう!!

まだ一日目、終わってないんだぜ!?

本当何なのこの世界!!



名字がない理由を書いてなかったです。

すみません(笑)

次話に書く予定ですので、本当すみません。

次話もよろしくお願いします!

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