5 入学式後のダラダラ
あの後、とりあえずW組の授業クラスを聞いて、オーマの指示により俺達は教室に帰ることになった。結局入学式らしいことは何もなかったけど。
「はあ~やっぱりここが落ち着くな。」
シーテがぐでーと俺の制服の背中をひっぱる。
背中からふわりとシャンプーの香りがして、背中に汗をかきそうだ。
「そいやシキ。」
「ん?」
「さっきの、入学式の時、何で謝ったんだ?」
「あぁ、それは、」
「イサァ。」
イサァって随分と伸びた声だなぁ。シャンプーのいい匂いまでさせやがって。
「どうしたシーテ。」
「イサ、外の自販機でお茶を買ってきてくれてもいいぞ。」
「はい?」
「外の自販機でお茶を買ってきてくれてもいいんだぞ?」
「いやいや、別に大丈夫ですよ。」
「ジュースでもいいぞ。」
つまり買ってこいってことね・・・。
「何飲みたいんだよ?」
「ラムネ。」
「それ、自販機にないやつな。」
「ラムネェ。」
どっかにいそうだなラム姉って。
「分かったよ、見てくるから。なかったら似たようなもの買ってくりゃいいのな?」
「やだ。そしたらお茶がいい。」
「はいはい。」
「イサ。」
「あっシキ、ごめん、すぐ買ってくるからそしたら聞かせてくれるか?」
「・・・うん。」
シキが入学式からどこか暗い顔なのは気になるけど、今は早くラム姉を買ってこないとな。
「おい、イサ。」
教室を出ようとしたところで、オーマが俺の肩をつかんできた。あぁ、もうめんどくせぇ。
「なんだよ。」
「俺にはコーヒーな。あと、ラム姉は買ってきたら犯罪だぞ。」
「わーったよ。・・・!?」
待てよ、何でこいつ、俺の考えてたことが分かるんだ!?おいおいおい、こえぇよ。ホラーだよ。サイコキネンシスだよ。あれ?なんか多くね?サイコ・・・サイコキ・・・もうどうでもいいや!!
「5分でラム姉な。」
何言ってんだよこいつは!?もういいやもういい!!さっさと買いに行こう!
教室を出て急いで外の自販機へと向かう。
ってか、外の自販機ってどこよ!?
俺まだここ来て日が浅いどころじゃないんだけど!?
あぁえっと、ラムネがなかったらお茶で、オーマはコーヒーで、マツカとシキにはオレンジジュースとかでいいかな。
うん、あれ・・・?シーテはラムネで、オーマはコーヒー・・・ブラック?ゼリー?牛乳?なんだっけか?聞き忘れたんだっけ?で、シキとマツカはオレンジジュースだったか?
いや違ったな。シーテはお茶で、オーマはコーヒーゼリーで、シキとマツカはオレンジジュース?
そもそもこれって先生に怒られないか?
もうどうでもいいな。何かに似たようなの買って、さっさと帰ろう。
そう思いながら、とりあえず近くにスーパーと自販機があることを願って走った。