デパートの本屋にて
初めて投稿いたします。前から自分で物語を作って投稿したいと考えていましたが、長編を作成する自信がなく、短編から始めようかと、色々と考えた末に「枠物語を作ってみるか」と思い至り始めてみました。これが初めての作品です。
独身で一人暮らしの青年である田中修司は、休日の暇つぶしにデパートの本屋に足を踏み入れた。
最近は本屋の数が随分と減り、近所にあった古本屋も無くなった。別に電子書籍が悪いとは思わないが、修司はどちらかと言うと紙の本を読む方が好きだった。
昔は漫画ばかり読んでいたが、歳を重ねていくと自然に文字ばかりの小説も読むようになった。今日も何か面白い物語の本は無いかと、足を運んだのだ。
しばらくは棚の間をぶらぶらと歩き回っていたが、やがて目にとまった本の背表紙を指でなぞり、時折気まぐれに抜き出してはパラパラとめくる。
「最近はとにかく色んな物語が後から後から発表されているなぁ…しかし、題名も随分と個性的と言うか…『酔っ払って井戸に落ちたら異世界でした』って、おいおい」
苦笑しながら目を向けた新刊コーナーには見慣れない題名の表紙がいくつか並んでいた。最近入荷したらしく、派手な帯の付いたベストセラーもあれば、目立たない位置に置いてある本もある。修司の目が、ある一冊の本に留まった。
『とことん女運の悪い男と女ストーカー』。
題名だけ見ると、恋愛小説か犯罪ドラマの匂いがする。手に取って見ると、タイトルと著者名以外何も書かれていない。裏表紙にはあらすじすらなく、ただ「読めばわかる」とある。
修司は眉をひそめつつも、最初のページをめくった。
次から作成した短編の物語を投稿します。