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Deceptive Love  作者: 緋色
第五章:ヴァルグラート編
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第八十五話:殲滅


 「第二防衛ラインまで撤退しろ!」


 「大砲だ! 大砲を持ってこい!」


 「艦隊に座標を通達! 一斉砲撃だ!」


 「ダメです! 通信が遮断されています!」


 聖騎士達の美しい純白の鎧は、雨と泥により最早見る影もない。炎や稲妻が竜巻を起こし、兵士を飲み込んでいく。複数の巨大な影が大地を轟かせ前進する。聖騎士の剣も魔法も、戦艦の砲弾ですらその防壁を貫くことはできなかった。


 それは十メートル程の巨体、漆黒の装甲を身に纏っている。右手には大剣が握られ、左手の甲には大盾が取り付けられている。淡い球状の光りがこの機体を覆い外部からの干渉を遮断する。掌から放たれる対軍魔法が戦意を打ち砕き、炎を纏った大剣が悲鳴を斬り裂く。


 守護者(パラディン)、前回の大戦で失った戦力の穴埋めとして作り出された対神兵器。


  ◇◇◇◇◇◇◇


 「動作パラメーター正常値、魔力核温度安定‥‥‥クックック‥‥‥クハハハハ! 素晴らしいぃ! そう! これこそが私の求めた理想だ!」


 ラケナリエは両手を広げ歓喜する。数百年の研究の末、遂に彼自身が納得する結果を出すことが出来たのだ。


 「ふぅ、やっと納得してくれたのね。これでまたダメだったらどうしようかと」


 キクエラはホッと胸を撫で下ろす。発明者には拘りがある、彼女もそれをある程度理解していたが、ラケナリエは数百年間も答えを探し続けていた。二年後に大戦が迫る中、今回の実験が失敗していれば次は無かっただろう。


 「今までの魔導兵器は魔力を付与できても、大きさや素材によって容量限界がありました。ですがこの守護者(パラディン)は特殊な魔法回路構造により魔力伝導率を極限まで高め、最大二十四時間限界を超えた性能を引き出すことが出来ます。あの指輪の解析が功を奏しました」


 「でも後二年で量産が間に合うのかしら」


 「元々製造できる数は限られています。ラインは既に整えておりますので、半年も有れば十分ですよ」


 スクリーンには守護者(パラディン)が陸上戦艦の艦砲や船首を両断し、数多の飛空戦艦を撃墜していく映像が流れていた。既にこの戦争の結果が決まったも同然だった。


 「‥‥‥数十年前に試験用の機体がヴァルムント帝国の騎士によって破壊されました。ですが今となっては手も足も出ないでしょう。一方的な虐殺が行われるだけです」


 ラケナリエは今までの失敗の数々に思考を巡らせる。実験には失敗がつきものだ、それは長い経験から彼も痛感している。それでも、この時代の矮小な人間に自身の偉大なる研究物が破壊されたことは許容できなかった。だが、その人間を見返す機会が来ないことも理解しており、こうして口に出して自身に言い聞かせることしか出来なかった。

 

 「長い道のりだったわね。でも、私達の戦いはまだまだこれからよ」


 「そうですね。ラグゼントの王にオルドニア王国を任せるとして、我々はケルセナ神聖国と‥‥‥レイナ・キリシマですか、出来ればもう会いたくないですね」


 ラケナリエは軽く溜息をつき、レイナの怒りに染まった顔を思い出した。キクエラは少し俯き胸に手を当てる。


 「レイナとは長い付き合いだけれど、あんな穏やかで優しい魔法使いが神の手先だなんて到底思えないわ。アニスもエヴァンシールも神のことになるとすぐ事を急ぐんだから」


 「どうやら私の知るレイナ・キリシマと貴方の言う人物は別人のようですね。私がローデンで見た彼女は地獄の炎に包まれた怒りの化身ですから」


 「あら、心当たりはないの?」


 「心当たりしかないですね」


 即答だった。ラケナリエ本人もレイナの怒りを買った理由は痛いほど承知している。だが指輪の回収のためにローデンを襲撃した事は、命令に従っただけであり彼の意思ではない。


 「どちらにせよ、今は監視段階です。決定的な証拠が見つからない限りは、執行者とは断定できませんから。オルディギウス公爵の目をもう少し早く発見出来たならば、話は変わったのでしょうが」


 ラケナリエの言葉に少し引っかかる部分があった。


 「決定的‥‥‥ね。生き残った勇者一行の人達にとって、決定的とはどの程度のものなのかしら」


 「例え証拠が出なくとも、それが友であったとしても、あの方々なら不安の芽は摘むでしょう。特に彼女は命よりも重いものを失いました。魂が死に、肉体だけがこの世に留まっている今でも、神に対する憎悪は収縮することを知りません」


 キクエラがスクリーンから離れると巨大な画面が黒一色に染まる。この戦争は終わったのだ、次に備え視点を変える必要がある。刻一刻とタイムリミットが迫る中、皆僅かに緊張を感じていた。


 「この世界の行く末は、彼女の手にかかっているわ。はぁ、あんな若い子が背負っていい責任の重さじゃないのに、出来ることなら私が変わってあげたい‥‥‥」


 だがそれは叶わないことを彼女自身も理解していた。


 「お優しいのは結構ですが、あれは彼女にしか務まらないことです。我々が出来ることは少しでも彼女の負担を減らすこと。今は信じましょう、あの偉大なる公爵の娘を」


 ゼルファリス連邦国とケルセナ神聖国の戦争はたった一日で終結した。六倍もの軍勢を討ち破ったこの戦争は歴史的な偉業になるだろうが、その名声が未来へと届くかどうかは誰にも分からなかった。


キャラクター紹介①

<<ゼニウム・アルヴェスト>>

性別:男

種族:人間

誕生日:7/7

身長:173cm

体重:54kg

称号:なし

スキル: 天啓の瞳(オラクル・アイ)

好きなもの:母親、母の手料理、友人との何気ない会話、剣術

嫌いなもの:祖父

ーーーーーーー

黒髪の冴えない少年、正義感は人並み以上に強い。幼少期に父を失い、祖父によって母と共に国境都市ローデンに追放された。一応貴族の家系。若さあってか自身の欲望には忠実で男の子って感じである。剣術は得意だが魔法の才能は全くない。



こんな感じで書いていこうかなと思ってます!

八十五話でやることじゃない‥‥‥

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