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Deceptive Love  作者: 緋色
第五章:ヴァルグラート編
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第八十二話:成長


 <<LOCATION:ヴァルムント帝国:帝都ヴァルグラート>>

 <<WEARTHER:晴れ>>


 五日後に行われる公爵会議の影響か、国内に限らず他国からの観光客も帝都に溢れかえっている。珍しい食べ物や道具を取り扱う出店が増えている。


 今日は週に一回の休日であり、ゼニウムは何も考えず帝都を散歩している。普段ならばレイナの元で他二人と共に修行をするのだが、今回は彼女の都合が合わなかった。だがある程度は推測できる。リリアの面倒を見ているのだろう。


 歩いていると小さな出店が目につく。ここは大通りからは離れているが賑わっていないわけではない、真っ直ぐ歩けない程には人がいる。どうやら魔道具店の様だ。


 店の前に見慣れた人物が立っていた。腕を組み商品の品定めをしているのかと思ったら、店主と何やら会話をしているようだ。


 「ねぇこれ本当?」


 「もちろんだとも。ワシが若い頃、カダスの奈落っつう場所で拾ったんじゃ。効果は確認済み、信用して良いぞ」


 変わった灰色の宝石が組み込まれたペンダントを手に取りじっくりと観察している。


 「ふーん、ちなみにいくら?」


 「当時の価格だと金貨百枚だったが、お嬢ちゃんほど可愛い子は滅多にいないし、これは何かの縁として特別に金貨十枚で手を打とう。服装からして優秀な魔術師とお見受けする。そんなお嬢ちゃんならこの値段が破格だということも分かるじゃろ?」


 あの口説き文句からして確実に詐欺であろう。本来ならば相当自尊心が高かったり馬鹿でもない限りは引っかからないが、残念ながらあいつはその両方に当てはまる。


 ゼニウムは止めに入ろうとすると彼女が口を開く。


 「‥‥‥分からない」


 お、流石にあいつでも騙されないか、止めに入る必要はなさそうかな。


 「分からないなぁ、何で私の可愛さで金貨十枚なわけ? 今お婆さんの前に立ってるのは転生の美女にして未来の大魔術師、ルビリス・リンドベリ様なんですけど。そこはむしろオマケもつけて無料で差し出すのが筋ってものでしょ!」


 やっぱ止めたほうが良さそうだ。


 「え、いや、は、え???」


 店主も余りに無茶苦茶な返答で困惑している。


 「ほらはーやーく! はーやーく! 私の時間は生い先短いお婆さんとは違って貴重な」


 「ライン超え」


 「ブフェッ!」


 ゼニウムはルビリスの頭に拳骨を喰らわす。ルビリスは頭を押さえ地面へと座り込むと、自身に何が起きたか確認すべく辺りを見回す。


 「いったーい! 私の優秀な脳細胞がいっぱい死んだー! 世界の財産がー!」


 「使ってねぇだろ」


 その声に反応しルビリスが上を見上げると目が合った。


 「え、ゼニーじゃん! 何でここに居んのさ!」


 「こっちのセリフだよ、こんな所で何してんの?」


 「え、いや、それは〜その〜」


 歯切りの悪いルビリスを横目に店へと視線を移す。見たことのない多種多様な魔道具が揃っているが、どちらかと言えば骨董品という表現の方が近いだろう。ゼニウムは自身のスキル、天啓の瞳(オラクル・アイ)を用いて商品の鑑定を行う。すると予想通りほぼ全てが商品説明とは異なっており魔道具でも何でもないただのガラクタだった。


 「それもただのガラクタだぞ。一体何が欲しかったんだ?」


 ゼニウムはそのペンダントが置かれてたであろう場所に書かれた商品説明を読もうとする。するとルビリスがものすごい速度で間に入り込む。


 「ストーーップ! ゼニー! 悪いことは言わないから今日は帰って! 女の子のプライベートに踏み込まないで!」


 普段は見ないルビリスの必死さから更に興味が湧く。


 「ふーん、お婆さんこれどんな魔道具なんですか?」


 視線を出店の中に向けるとお婆さんの姿はなかった。周りを見回すと、先程のお婆さんはその体から繰り出されるとは到底信じられないほどの速度で逃走し人混みの中に消えた。ゼニウムが騎士の格好をしていたので詐欺で捕まるのを恐れ逃げたのだろう。


 「‥‥‥とりあえずそこ退けよ」


 「やだ! 絶対やだ! お願いゼニー今日だけは本っ当にお願い! 女の子に優しい男の人ってかっこいいよね! だから、ね! わかるでしょ?」


 さっきの詐欺師と同じ手法使ってきやがった。こいつとお婆さんも似たもの同士ってことか。だが日頃の恨みもあるし、何よりルビリスがこれほど嫌がっているのが非常に気になる。


 「あ、あっちにニグラスが!」


 「え、嘘! どこ!?」


 その隙を見逃さずルビリスの背後へと周り商品説明の書かれた紙を商品棚から引きちぎる。


 「‥‥‥えーっと、『気になるあの子に近づくKEYになる! 身に着けると周囲からの好感度アップ! 貴方も薔薇色の人生を歩もう!』」


 やかましいわ。せめて宝石の色赤にしろよ、枯れてるやん。  


 ゼニウムは振り返りルビリスの方を向く。


 「さて、詳しい話を聞こうか」


 顔を両手で覆い崩れ落ちているルビリスに不敵な笑みが向けられた。

 

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