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Deceptive Love  作者: 緋色
第三章:ベルトリオン編
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第四十六話:夜の集い②


 ルビリスが作ったクソみたいなすごろくで『腹踊り』というマスに当たってしまったリリア。


 「え、待って、待って待って待って待って待って! 私そんなキャラじゃ‥‥‥!」


 顔を真っ赤にし、何かの間違いじゃないかと何度もマスを数える。


 「まあ、無理すんなよ」


 一人だけ地獄のようなタスクに当たらなかったニグラスが同情し始める。


 「でも、ルビリスはちゃんとやったし‥‥‥」


 「やった結果があれだぞ」


 おいニグラス、余計なことを言うんじゃねぇ、リリアの腹踊りは需要がある! こんな機会滅多にない、何としてでもやらせて見せる!


 「リリア、マスの言うことは?」


 「!」


 リリアは察したようだ、そして俺のことをまるで親の仇かのように睨みつけてくる。


 「‥‥‥絶対」


 よく言った! それでこそリリアだ! 


 リリアは立ち上がりパジャマの裾を両手で掴む。


 「ちょっと! 私の時は見向きもしなかったくせにリリアの時は何でそんなガン見してるの!」


 ルビリスが俺の肩を掴み激しく揺らし始める。


 俺はこれ以上ないほどに目を見開き、獲物を狙う獰猛な獣のように時が来るのを今か今かと待つ。


 「‥‥‥っ、この変態!」


 そして今、天の幕が上がった。


  ◇◇◇◇◇◇◇


 この悲惨な戦いはこの後も続いた。


 『何もなし』


 「しゃあ! ついてるぜ!」




 『状態起こし500回』


 「なんで俺は筋トレばっか当たるんだよおおおお!」




 『右隣の人から激痛足ツボマッサージ』


 「右ってことは、ゼニー‥‥‥、あの、今までのこと謝るから少し優しく‥‥‥」


 「死ねぇええ!」


 「痛ああああああい!!!」




 『黒歴史発表』


 「前の学校で恋愛小説をノートに書くのにハマってて、でもある日、違う班同士で探求内容をまとめたノートを交換して見せ合う授業の時に間違えてあっちのノートを回してしまい、最後の方のページにクラスのみんなから感想を書かれました‥‥‥」


 「ガチなのやめろ‥‥‥」


  ◇◇◇◇◇◇◇


 「やった! ゴール!」


 リリアがニグラスに続きこの地獄から抜け出した。残るは俺とルビリス、ゴールまで残り五マスと三マスだ、そしてゴール直前の二マスはまだ誰も止まっていないため内容がわからない。


 ニグラスはすでにゴールしているため次は俺の番だ。


 「五以上の目を出せば俺はゴールできる、この天才的な脳で計算したその確率は33.333333333333333333333」


 「早よ振れ」


 そんなことはどうでもいい、俺は今必勝法を思いついた。


 そう、出したい面を上に向け、横向きに回転をかけて投げる、こうすることで高確率で狙った面を出すことができるのだ、よくイカサマと言われることがあるが、本当の戦いというものはすごろくボード上では行われないのだ。


 俺はサイコロの側面に人差し指をかけ、構える。


 「行っけええええええ!」


 『六』


 「よっしゃあああああ!!!」


 体に何重にも巻きついていた鎖が砕け散る感覚、圧倒的な解放感に包まれる。


 「‥‥‥ねぇ、それイカサマじゃない?」


 リリアの指摘が俺の胸に突き刺さる。


 「え、いや? まあ、ダメなんてルール、言われてないよね、ね? ん?」


 「うっっっっざ」


 俺は正当性を何度も訴える。




 「じゃあこうしよう、今からルビリスが振ってもし手前の二マスで止まったら、俺も一緒にマスの指示に従う、どうせすぐゴールしてたしこれでいいだろ?」


 せめてもの妥協、これまで幾つもの地獄を味わってきたんだ、ここでもう一回振れと言われ沼るよりはこっちの方が安全だ。


 「まあそれならいいんじゃねぇの?」


 ニグラスも賛成してくれたようだ。


 「じゃあ行くよ? 三以上三以上三以上! えい!」


 ルビリスは祈りを込め立ち上がりながらてサイコロを振り上げる。


 『ニ』


 くそ、二か、だがこれさえ耐え切れば次は確定でゴール、もうここまでくれば一回くらいタスクが増えたところで変わ‥‥‥


 『ふりだしに戻る』


 ルビリスは膝から崩れ落ち、俺は顔を地面に打ち付けた。

 

  ◇◇◇◇◇◇◇


 〜翌日〜


 俺は昨日の肉体的、精神的疲れを取るためにホテルの外のベンチに座り風にあたっていた。


 ここは少し立地が高い場所なので、巨大な遊園地や賭博エリアを一望でき、いつも通り多くの人々で賑わっていた。


 俺はただ黄昏ていた、昨晩のすごろくもそうだが、それがきっかけで今までの疲労を思い出したのだ、ダンジョンに潜っては逃げて、学園での大事件で悲惨な目に遭い、峡谷では化け物に足を焼き切られる、今思い返せば波瀾万丈な日々だった。


 俺はふと、近くを徘徊しているスティッズに目を向ける、動物を模したこの都市のゆるキャラ的な歩く人形だ、大きさは様々だが、目に映ったのは比較的小さなものだった。


 俺の視線に気づいたのか短い足を動かし、俺の隣へ腰をかけガン見してくる。

 

 ブサ可愛いとでもいうのだろうか、左右不均等だが、疲労のせいか少し愛着が湧く。


 俺はスティッズの両脇に手を入れ持ち上げる、思ったよりも重かった、正直中に綿が入った人形を魔法で動かしていると思ったのだが、機械なんだろうか。


 そのまま膝の上に乗せ顔を揉んでみる、なんとも言えない不思議な感触だ、それと同時になんだか不快感を覚える。


 「お前は一体なんなんだろうな‥‥‥」


 俺はついボソッと独り言を呟いた。


 「人間ですよ」


 後ろから声がかかる。


 「は? えっ」


 俺はついスティッズを本能的に膝から押し落としてしまった。


 スティッズは硬い地面に頭を殴打するが悲鳴は一切あげない、だがまるでゾンビのように体を起こす、その遠心力で首が前へと倒れ後部が露わになる、硬い地面にぶつけたであろうその後部から赤いシミが浮かび上がってくる。


 俺は自分の手のヒラをひたすら掻きむしった、今はもう触れていないのにあの感触が鮮明に残っている。


 後ろを振り向くと一人の女声が立っている、白と黒が入り混じる髪色に、男物のスーツを身につけ、シルクハットをかぶっている。


 それと同時に俺の中に大きな不安が芽生える。


 「はじめまして、そしてようこそゼニウム・アルヴェスト、神々の執行者が一人、エミリー・パーカーと申します」


 女性は邪悪な笑顔で一礼した。


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