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Deceptive Love  作者: 緋色
第三章:ベルトリオン編
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第四十二話:肉体


 俺たち四人は息抜きにベルトリオンのアトラクションエリアに来ていた。


 世界最大の遊園地でもあり、数百のアトラクションが年中休む事なく稼働し続けている。


 「あのジェットコースター乗ろうよ! この遊園地を一周できるらしいよ!」


 ルビリスが指を指す、様々アトラクションが並ぶ中、一際目を引くものがある、この遊園地の目玉とも言えるジェットコースターだ、全長一万ニ千三百メートル、最高部高度は五百六十三メートルを誇る。


  ◇◇◇◇◇◇◇


 「身長が百五十五センチ未満のお子様はご利用できません」


 ルビリスはアトラクション入り口に置いてあるマスコットの形を模した身長測定器の上で背伸びをしている。


 「ルビリス、お前背いくつだ?」


 「百八十」


 「んなわけねぇだろ」


 俺含めた三人で背伸びしているルビリスを無理矢理押しつぶし測定してみると百五十四だった、俺のスキルでもそう表示されてるし間違いではないだろう。


 「いーやーだー! またギャンブルの時みたいにハブられるのはもういやなの!」


 気持ちもわからなくもないがこればっかはどうしようもない。


 「ごめんねルビリス、並ぶと一時間くらいかかるからその間に他のアトラクションでも乗ってて」


 リリアが地面に座り込むルビリスの目の前にしゃがみ込む。


 それによりルビリスの視界にリリアの胸が大きく映り込む。


 自分との圧倒的な差を見せつけられて腹が立ったのか、リリアの胸を右ストレートで引っ叩いた。


 「痛い! ちょっと何するの!?」

 

 「リリアが煽ってきたー!」


 「え、なんでよ! 謝っただけじゃん!」


 さらに機嫌が悪くなる、が、


 「そうへこたれなルビリス、後で美味いもの奢ってやるから」


 ニグラスがルビリスの頭を軽く撫でると、さっきまで騒いでいたルビリスが急に大人しくなる。


 「‥‥‥貸し一だからね」


 納得してくださったらしく、俺とニグラスとリリアは列へと並んだ。


  ◇◇◇◇◇◇◇


 「暇、あー暇だなー、一センチくらいなら別に誤差でしょ、そのくらい良くない? 皆んな頭岩盤なんじゃないの」


 ルビリスはアトラクションの柵の側にあるベンチに腰を掛けていた。


 通り過ぎる人の波をただただ眺めている。


 すると、人の波にまるで逆らうように進む一人の子供の姿が見えた、見た目から十歳未満のように思えた、だが同行する大人の姿はなく、顔は涙で濡れており、周りの人々は心配するどころかまるで汚いものを見るかのような軽蔑の眼差しをしていた。


 ルビリスはベンチから離れ、その子供の手を握った。


 「大丈夫?」


 子供は困惑している様子だったが、怯えてるわけでも無いようだった。


 ルビリスは返事を待たずに先程座っていたベンチまで子供を引き連れて行った。


 「どうしたのそんなに泣いて、パパママはどこ?」


 子供は涙を袖で拭き取りゆっくり深呼吸し落ち着きを取り戻した。


 「分かんない、妹が途中で居なくなって、探しに行ったきり帰ってこなくて、それで‥‥‥」


 再び目に涙が滲む。

 

 「ほらそうやってすぐ泣かないの、男の子でしょ、シャキッとしないと、ちなみに名前はなんて言うの?」


 「‥‥‥サンネ」


 ルビリスが頭を優しく撫でると子供は笑顔になる、そしてその姿を自分と重ね合わせた。


 ニグっちに撫でられた時の私もこんな感じなのかな〜。


 「サンネ君ね、そうだ、お姉さんが面白いお話してあげるよ!」


 「本当? 気になる!」


 食いついた、ちょろいちょろい、この私にかかれば誰だってイチコロだね、それにゼニー達が帰ってくるまでの暇潰しにもなるし。


 「じゃあ初めにゼニウムっていう変態騎士のお話なんだけど‥‥‥」


  ◇◇◇◇◇◇◇


 「あ、いたいた、ごめんね待たせちゃって、その子は?」


 俺たちはジェットコースターを乗り終え、ルビリスと合流した、最近子供の行方不明者が増えてるらしくルビリスが間違われて攫われないか心配‥‥‥はしてないが、なぜか小さな男の子と一緒に喋っていた。


 「最近の子供行方不明事件の犯人はお前だったかルビリス、まさかそういう癖を持っていたとはな」


 「は!? 違いますけど! ロリコンと一緒にしないでくれる? 迷子の子を慰めてあげてただけ!」


 事情を聞いたがルビリスとは思えない善良を積んでいて感心した。


 「とりあえず迷子センターとかに連れてけばいんじゃねぇの?」


 ニグラスの言う通りそれが最適だろう。


 「だけどどこにあるんだろう、迷子放送とか流れてるところ聞いた事ないし」


 リリアは周りを見渡すがそれらしき建物もない。


 「ここは専門家に任せるのが一番だな」


 このアトラクションエリアにはスティッズという体長が六十から大きいものだと百二十センチほどの人形達があちらこちらを徘徊している、しゃべることは無いが、飲食店の品運びや、行列の統制、もちろん子供を喜ばせたりもする、頼めば道案内もしてくれるという言わばお助けキャラクターだ。


 「あそこの小さいうさぎさんなら手が空いてそうだし、ほら、手を振ったらこっちに来た」


 七十センチほどの小さいピンク色の人形のような見た目をしている、少し左右で歪んでいるが結構可愛い。


 <<ソニア・トレンチ>>


 スキルでも分かるが、名札をつけており一体一体名前がある、不思議なことに小さいものだと可愛いスティッズが多いのだが、大きいものになると急にブサイクになる。


 「コホン、ソニアちゃんかな、この子が親と逸れちゃったらしいから迷子センターみたいなところに連れてってくれない?」


 スティッズは返事をしないが大きく頷き、サンネに丸い手を伸ばす。


 サンネは少し怯えながらもその手を握った。


 「暖かい!」


 すぐにこのスティッズを気に入ったらしく笑顔になる。


 「ルビリスお姉ちゃんありがとう! また今度ゼニウムっていう変態騎士のお話聞かせね!」


 「もちろん、気をつけてね!」


 そしてスティッズに手を引かれながら人混みの中へ消えて行った。


 「‥‥‥変態騎士?」


 俺は先ほどの発言の説明を求めるべくルビリスを睨みつけるが、ルビリスは目を合わせようとしない。


 「‥‥‥私をハブった仕返し」


 「なんで俺だけが害を被るんだよ! ニグラスとリリアもだろ!」


 「だってゼニーしか面白い黒歴史ないんだもん」


 帰ったらこいつのお菓子全部食ってやろ。

 

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