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Deceptive Love  作者: 緋色
第三章:ベルトリオン編
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第四十話:権能

初の推理(?)戦っぽいのを書いてみました。


 リリアはその賭けに乗るのは危険だと理解していた、異様な雰囲気を放つこの女性がただ単にゲームをしたいなどと思っているはずがない、必ず何か裏があると。


 「‥‥‥私がそれに乗ることで得られる利益は?」


 無謀な賭けはしない、意味のない賭けはしない、そう自分に何度も言い聞かせる。


 「利益ですか、その返答はこの都市では無粋ですよ? 利益が確定する賭けなどそれはギャンブルではありませんから、ですがそうですね、もし貴方が勝ったのなら特別に今の十倍の金貨を差し上げましょう」


 目の前の女性は笑顔のまま表情ひとつ変えない、もし彼女が言ったことが事実なら勝てば六千ゴールド、借金返済に必要な金貨の六割を一日で手に入れられることになるが、懸念点もある。


 「もし負けたら?」


 「もちろん全て金貨は没収です」


 私の入れ替えスキルなら相手がどんなイカサマをしようとも勝てる自信がある、けどあまりにも代償が大きすぎるし、それにこの人、見てるだけでなんだか嫌な感じがする。


 リリアは思考を巡らせる、このゲームに罠があることはほぼ確信していた、相手も似たようなスキルを持っているかもしれない、そして、無謀な賭けをするべきではないという結論に至った。


 「どうです? お相手願えますか?」


 女性が左手を差し出してくる。


 「‥‥‥良いですよ、そのゲーム、お受けします」


 肯定、その言葉を口にした時リリアは違和感を覚える。


 あれ? 私ってこのゲームを受けるつもりだったっけ。


 「けど、周りの人が近くて集中できないので少し離れさせて貰えますか?」


 女性が指を鳴らすと、黒服の男達が観衆を机から遠ざける。


 リリアは再び席につき、目の前の女性はディーラーの立ち位置へ移動し、テーブルの上のトランプを流れるように手に取る。


 「引き続きポーカーにしましょう、特別ルールとして何回でも手札を変えれるというのはどうでしょうか、そうすればつまらない結果で勝敗が決まることはほとんどありませんし」


 「わかりました、ですが私がかき混ぜても良いですか?」


 また違和感、警戒は常にしているはずだ、なのにこの感覚は何だろう。


 「もちろん構いません」


 リリアはトランプを受け取りしっかりとかき混ぜる。


 カード自体にイカサマはしてなさそう、となると腕に仕込んでるか、もしくはスキルかな。


 トランプを返すと同時に女性は一枚一枚配り始める。


 その一手一手を観察するがおかしな点は見当たらない。


 「では貴方からどうぞ、リリアさん」


 今の私の手持ちはワンペア、だけれど私のスキルなら自分の手持ちと山札のカードを入れ替えられるから正直なところ変える必要がない。


 「私が山札から自分で引いて良い?」


 「構いませんよ」


 スペードのストレートフラッシュを狙う、この時点でスキルを使い必要なカードを一度揃え、そして五枚全ての手札を山札の一番下の五枚のカードと入れ替える。


 そして山札の一番下から入れ替えた五枚の手札を捨て、山札から五枚引く。


 違和感。


 「では次は私が」


 というと相手の女性も手札を全て捨て、山札から五枚引く。


 変なところはないかな、でもきっとどこかでイカサマを使ってくる。


 「さあ、次は貴方の番です」


 リリアは手札を五枚捨て、再び山札から五枚引く。


 「次は私ですね」


 相手は四枚捨て、山札から四枚引いた。


 何を企んでいるんだろう、何回でも手札を交換しても良いルール、肝心なのはどのペアを狙うかと言うこと、だけどストレートフラッシュやフォーカードを狙う場合は、どの数字を、どの記号を狙うかがかなり難しい、なぜなら相手が自分の狙っているカードを捨てる可能性や、手元に持っている可能性がある、だからせいぜいフルハウスやフラッシュあたりだと思うんだけど。


 違和感。


 リリアは再び五枚捨て、五枚引く。


 相手の女性は今度は三枚捨て三枚引く。


 リリアは少しでも多くのカードを捨て、相手の選択肢を減らしていく。


  ◇◇◇◇◇◇◇


 「では私は一枚だけ交換します」


 女性はトランプを一枚捨て、山札から一枚引く。


 リリアはトランプを五枚捨て、五枚引く。


 ここまでイカサマをしている様子はない、まあしてるのは私なんだけど。


 「私はもう変えませんので、引き続きリリアさんが変えてもらって構いません」


 そのセリフと共に、リリアの脳裏に一つの大きな疑問が浮かび上がった。


 あれ、何で私はストレートフラッシュを? 


 リリアは捨てられたカードの山を見る、だがそこにはリリアの頭の中に浮かんだ五枚のカードの姿は存在していなかった。


 え、待って、そんなことあり得るの? 


 「どうしました? 貴方の番ですよ」


 女性は常に笑顔を崩さない、だが今の彼女の笑顔はリリアの危惧していることを確信させるものだった。


 「私ももう大丈夫‥‥‥」


 手札の五枚を山札の一番下の五枚と入れ替える。


 何で最初に気づかなかったの! 精神魔法? いやでも魔力の流れに違和感は無かったし‥‥‥!


 心臓の鼓動が速くなる、手に汗が滲み、カードの端が少し柔らかくなる。


 「ではリリアさんからオープンしてください」


 リリアは端の曲がったカードをゆっくりと机の上に表向きで出す。


 「スペードのストレートフラッシュ‥‥‥」


 周りから歓声が響く、だがそれはリリアの不安を増大させる燃料源となった。


 相手の女性も手札を机に広げようとする、それにつれリリアの鼓動がより一層早くなっていく、最初から感じた嫌な予感、突如脳裏に浮かび上がった見落としていた選択肢、相手が何を出すかは確信していたが、そうはならない運命につながるということを強く祈っていた。


 だがその祈りは一瞬にして打ち砕かれた。


 「ロイヤルストレートフラッシュ」


 「なっ‥‥‥!」


 さらに大きな歓声が巻き起こり、この場を震わせる。


 「良い勝負でしたよリリアさん」


 そう言い終えると女性は机から立ち去ろうとする、黒服の男達が積み上げられた金貨を回収するが、リリアはただそれを傍観することしか出来なかった、圧倒的な消失感と悔しさが込み上げてくる。


 「やっぱり‥‥‥!」


 リリアは女性を睨みつけるが、女性は笑顔でリリアに振り向く。


 「お互い様ですよ」


 この人、私のスキルを見抜いてた!?


 女性は仮面の男と共に人混みの奥へと消えていくと同時に、様々な負の感情がリリアの心を埋め尽くす。


 リリアは何も言葉を発することなく、右手で机を叩きつけた。


リリアと戦った相手のスキルわかりますか?

ぶっ飛んだ能力ですけど結構めんどくさい制約があります。

少しでも面白いと思ってくださった方、

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎評価お願いします!

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