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Deceptive Love  作者: 緋色
第三章:ベルトリオン編
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第三十八話:休憩


 ルビリスの分のドレスも買い、俺たち四人はホテルへと向かった。


 最初は周りから低くみられていたが、公爵から貰ったチケットを見せた途端、ホテル中の職員が大集合し歓迎してくれた、それを見てルビリスが調子に乗ったのは言うまでもないだろう。


 「ここがお部屋となります」


 「‥‥‥まじすか」


 驚いたのはその広さだ、入り口から見える部屋だけでも鬼ごっこができるほどだ、しかもこれと同じくらいの部屋が他に三つもあるらしい、そして計算されて設置されているであろう家具、椅子も机もソファーも本棚も、一目で見ただけでブランド品であることがわかる、奥の部屋のベッドに関しては巨人族が寝るんじゃないかと思わせるくらいでかい。


 「お食事は中央の机に設置されている魔道具から手配可能です、二十四時間対応となっておりますのでお気軽にご利用ください、この部屋へ運ぶこともできますし、ご希望でしたら宴会場を貸切にもできます、ではごゆっくりおくつろぎ下さいませ」


 部屋のドアが閉まる。


 「‥‥‥ぃやっほーい!」


 ルビリスや俺はフカフカのソファーに飛び込む。


 そのソファーの包容感が今までの疲労が一気に吹き飛ばした。


 「ベルトリオン最高! 公爵万歳!」


 「ねぇねぇこのスイーツすごい美味しいそう! せっかくだし頼んでみようよ、全部タダなんでしょ!?」


 「浮かれてんなぁお前らは」


 「一部屋しか取れなかったのが懸念だったけど、これだけ広ければ心配なさそう」


 リリアとニグラスは荷物の整理を始める。


 お泊まり会は何回かやったことがあるが、やはり人間性がよく表れる、リリアとニグラスは親ポジション、俺とルビリスは子供ってところか。


 「もう外へは出ないよね、ならお風呂入ってこようかな、シャワーくらい部屋についてるでしょ」


 リリアがスーツケースから化粧品を取り出す。


 「シャワーどころか露天風呂までついてるぜ」


 ニグラスは整理を終え、空いている椅子に勢いよく腰を下ろす。


 「せっかくだしルビリスも一緒に入る? 髪とか乾かしてあげれるけど」


 「入るー!」


 ソファーから飛び降りようやく荷物整理を始める。


 こうしてみるとまじで親子みたいだな、俺は邪魔者がいなくなったこのソファーを満喫してから支度をしようと思う。


 「ゼニー?」


 急に名前を呼ばれ顔を上げると、ルビリスがニヤニヤしながらこちらを見ている。


 「何?」


 「やっぱー、ゼニーって男の子だし? 抗えないものもあると思うんだよね、でも、いくら私がナイスボディだからってお風呂場覗いちゃダメだからね」


 「へっ」


 失笑してやった。


 「子供用のドレスしか着れないお子ちゃまボディを誰が見ようとするんだよ、お前の貧相な体を拝むくらいなら着せ替え人形の服脱がして遊ぶ方がマシだ!」


 「‥‥‥キショ」


 あまりにも気持ち悪い発言だったのか、ルビリスがゴミを見る様な目で俺を見つめる。


 俺はロリコンじゃないから、体はルビリスに何の反応も示さないのさ、俺の俺を奮い立たせたいなら生まれ変わって出直して来いってんだ。


 「じゃあ私は?」


 「え‥‥‥?」


 リリアの急な発言にこの場が凍りつく。


 彼女は自信満々な顔で体に手を当て返答を待っている。


 え、リリアさん? あなたその発言の意味分かってます? 結構すごいこと言ってますよ。


 服屋で見たドレス姿のリリアが頭の中に浮かび上がり、その瞬間俺の全身が反応する。


 「え、それは、その‥‥‥」


 恥ずかしくて言えねぇよ、なんて答えりゃいいんだよ!


 「え、リリアってもしかして結構そっち系なの? 意外」


 思わずルビリスがリリアに尋ねるほどだ。


 「そっち系って? 私はただ‥‥‥あ!」


 お気づきになった様だ、リリアは結構ピュアなのかもしれない。


 顔を両手で多い赤らめた顔を隠す。


 「今の‥‥‥なしで‥‥‥」


 そう言うとルビリスの手を握ってそそくさと風呂場へ向かっていってしまった。


 「で、結局どうなんだ?」


 ニグラスがニヤニヤしながら俺に尋ねてくる。


 「そう言うお前はどうなんだよ」


 「俺は内面派だから特に何も思わねぇぞ」


 え、意外なんだけど。


 「今度はお前が答える番だ」


 いくら親友であるニグラスであっても彼の目の前で直接言うのは恥ずかしい、だが、前にも言ったとおり親友同士は口で語らなくとも伝わるものだ。


 俺はゆっくりとソファーを立ち上がりニグラスの前に立つ、そして、


 「‥‥‥これが答えだ」


 俺は勢いよく自分のズボンを下ろした。


  ◇◇◇◇◇◇◇


 「はぁ生き返る〜」


 やっぱりお風呂最高〜こんなに大きお風呂入ったのいつぶりだろう。


 ‥‥‥


 あああ! 何でさっきあんなこと言っちゃたんだろう! まるで私が誘ってるみたいじゃん! 絶対お母さんの普段の言動が移ったんだ! 


 リリアはお風呂へ顔を沈め現実から逃れようとする。


 「はぁ、初日から気まずいなぁ」


 「イエーイ!」


 ルビリスが露天風呂へと飛び込み、激しい水飛沫が飛ぶ。


 「ちょっとリリア、プールじゃないんだから」


 「良いじゃん私たちだけだし〜」


 ルビリスは泳ぎながらリリアのそばへとやってくる。


 「じ〜〜〜」


 「ど、どうしたの?」


 リリアが質問を投げかけると、ルビリスは立ち上がりリリアの横へ勢いよく座る。


 「何でリリアはそんなにお胸が大きいのかな〜って、私なんて昔からちっとも変わらないし」


 少し不機嫌そうに足で水面を何度も叩きつける。


 「胸が小さくてもルビリスは可愛いよ」


 「そう言うことじゃないの! 煽ってるでしょ!」


 ルビリスはリリアに背後から抱きつく。


 「待ってルビリス!  あはは、ちょ、くすぐったいから! やめて!」


 「やーだよ、私を煽った罰としてこのムカつく胸を私に移植してやるー!」


 暴れる二人の周りを水飛沫が飛び散る、その一滴一滴が水面に触れると同時に綺麗な円を描く。


 ‥‥‥後()()()()()、その先にルビリスやニグラス、ゼニウム達と一緒に楽しく笑って過ごせる世界は存在するのかな。


 皆んな、特にゼニウムは、きっと私のこと嫌いになるよね。


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