第二十一話:予感
二章スタート!
<<DATE:ヴァルムント歴-996年>>
<<LOCATION:ヴァルムント帝国-帝都ヴァルグラート>>
<<WEATHER:雨>>
「誰が来ている?」
豪華な貴族衣装に身を纏ったご老人は長い城の通路を歩いている。
「はい、すでにグラディオーク公爵、クロウモルド公爵、アークシルヴァン公爵、ファルグリム公爵がご到着されております」
目の前の巨大な扉が開かれる。
中は美しい装飾と主に大きな円卓が置かれており、七つの席の内四つが埋まっていた。
「おや、ヴェルホルク卿、謀略の公爵と言われるあなたまでくるとは思いませんでした」
五つ目の席が埋まる。
「全員とは言わずとも、一度の会議で五人も出席するのはいつぶりだろうな、グラディオーク大公爵殿」
「‥‥‥」
義足の老人は何も発さない。
「ここにはいませんが、ヴォルカニス公爵含め、あなた方のような大公爵の肩書を持つ者は、戦争以外には興味がないと踏んでおりましたが」
「そう牽制し合うな、少なくともここにいる皆は、今回の事件に重きを置いているということだろう」
「ダンジョンの扉の崩壊、謎の鎧の騎士に、国境都市ローデンの城壁内における魔物の大量発生、だが最後のは似たような出来事を数年前に聞いたことがあるな、ヴェルホルク卿」
隻眼の老人は訪ねる。
「瞬襲戦争、ラグセント王国の陸上戦艦二十四隻、飛空戦艦十一隻が、何の前触れもなくケルセナ神聖国の聖都を強襲した戦い」
「あれほどの大艦隊を他国や使徒の目を掻い潜り、進軍させるなど不可能だ、まさに転移したとしか言えまい」
「ですが艦隊は聖都を包囲するように展開していました、あの広範囲かつ的確に、あれほどの人や兵器を転移させることなど、それこそ神にしかできないでしょう」
「‥‥‥戦争の準備をすべきだ」
義足の老人が声を発する。
「‥‥‥本気か?」
「アルヴェスト伯爵が何かに焦りを感じているようだ、前線を駆けるかの英雄が何を感じ取ったのかは我々のような貴族には分からんが、備えることに損はないだろう」
◇◇◇◇◇◇◇
<<LOCATION:ヴァルムント帝国-国境沿い>>
<<WEATHER:快晴>>
十数台の装甲車が国境付近の荒野を走行している。
俺たちは今、城塞都市ガルツェンに向かっていた。
「ケツが‥‥‥割れる‥‥‥三つになってしまう‥‥‥」
あまりの揺れのせいで俺のプリティなケツは悲鳴をあげている。
「我慢しろ、後一時間ほど走ったらキャンプポイントだ」
運転席にキブシル騎士長、助手席にはロベリア騎士長、俺たち四人は後部座席だ。
「おじさーん、私も限界なんだけどー、そもそも何でこんな揺れるわけ? 運転下手くそなんじゃないの? 絶対ロベリア騎士長と代わった方がいいって」
ルビリスが文句を言い始める。
「ハッ、こいつの運転した車に乗るくらいなら恥を忍んでベビーカーに乗った方がマシだ、てか一応言っておくが、ロベリアは第一印象は完璧な女だが、中身は結構酷いんだぜ? 後なクソガキ、俺のことをおっさん呼ばわりしてるがこいつの方が俺より‥‥‥」
ロベリア騎士長のアッパーが炸裂した。
キブシル騎士長の頭が装甲車の天井を突き抜ける。
「‥‥‥黙って前を見て運転しろ」
「ゴホッ、お、おう‥‥‥さっきよりも‥‥‥周りが見やすくなったぜ‥‥‥」
俺は騎士長二人のことを見てみた。
<<キブシル・ヴォルツェン>>
レベル:2624
<<ロベリア・ゼフィロス>>
レベル:2786
流石騎士長、ふざけてても実力は本物っぽいな。
「リリア」
ロベリア騎士長が声をかける。。
「はい! 何でしょうか!」
「あなたも、私よりは血が薄いですがノクシスの血を引いていますね、ご両親もそうなのですか?」
「いや、そういうわけではないです、父親はいないんですが、母親は‥‥‥多分人間です」
多分? どういうことだろうか、リリアのお母さんはめっちゃ強いってこと以外謎に包まれている。
「そうですか、ゼニウム」
「は、はい!」
今度は俺か。
「あなたの祖父の名はもしかして、ストケシア・アルヴェストと言いませんか?」
「は!? マジで!?」
キブシル騎士長の声が車外から聞こえる。
そっか、この人たちも騎士長だし面識があるのか。
「はいそうです、ですがほとんど会ったことありませんし、向こうも俺のことを毛嫌いしてると思います」
「我々は何度も顔合わせをしたことがありますが、お孫さんがいるってことは一度も聞いておりませんでした」
まあ、そうだよな、俺も向こうのことを話そうだなんて思わないし。
「着いたぞ」
小高い岩場に囲まれたちょっとした広場に到着し、俺も騎士たちと一緒にテントを張ったりする、まあ最近のはすごい高性能で、二十センチほどの立方体がボタン一つで十人も収納できるテントへ変身する。
ぶっちゃけただ見ているだけだった。
「てか、そろそろ腹が減ったな、飯はいつ食うんだ、もうすぐ日が暮れるぞ」
ニグラスのいう通り、ずっと装甲車に揺られて疲労が溜まったせいで余計に腹が空く。
するとロベリア騎士長が寄ってくる。
「そうですね、そろそろ夕食の準備にしましょう、道中で取った獣の肉もありますし、せっかくですから貴方の騎士団入団祝いも込めて私が料理しましょう」
その瞬間さっきまでの物音や声が一瞬で消え去った。
キブシル騎士長含め他の騎士団全員の動きが止まっている。
「えー!? ロベリア騎士長がご飯作ってくれるの!? やったー!」
ルビリスがはしゃぎ出す。
それを見てロベリア騎士長も笑顔を見せる。
「楽しみに待っていてください、では準備をしてきますね」
俺とニグラス、リリアはこの異変を感じとっていた、それと同時に嫌な予感もする。
「あのーキブシル騎士長、ロベリア騎士長の料理って‥‥‥」
キブシル騎士長や他の騎士団の人が一斉に俺たちに向かって親指を立てる。
「そうだな、強いて助言を言うなら、入団祝いより、入団の洗礼だと捉えた方がいい、まあ頑張れや」
嫌な予感しかしなかった。
二章はギャグ多めで書きたいと思います!




