第二話:何気ない日常①
キャラクターの名前は色々考えて作ったんですが
自分でもたまに間違えるんですよね(。-∀-)
「何度も言ってるように魔法には色々な種類があってね〜、一般的な魔法は威力によって五段階に分けられてるよ〜、風魔法だとウィンド、ストーム、テンペストみたいな感じでね〜、一番下は生活魔法で、ニ番目は対人魔法って呼ばれてるよ〜、じゃあ三番目はなんだったかなチタニス君」
「はい! 対軍魔法です!」
流石我らがクラスリーダー、その名に恥じぬ回答だ。
「ピンポ〜ン、せ〜か〜い、流石だね〜、じゃあ四番目は? スウィーピアさ〜ん」
「はい、決戦魔法です」
美しい、流石ですスウィーピアさん。
「いいね〜、じゃあ最後の五段階目は〜? ルビリスちゃ〜ん」
「はーい! 災害の魔法でーす!」
しね、しんでしまえ、あわよくば一生背中が痒くなる呪いにかかれ。
「うんうん〜、まあといった感じで‥‥‥」
今はお昼前の四限目、学校で超人気を誇るレイナ先生による魔法の授業なのだが、電車の中で起きたあの人生最大の屈辱が全く頭の中から離れない。
どうやって復讐しようかということしか頭の中にない。
あの女の茶色い頭が視界に入っただけで怒りと悲しみと絶望と‥‥‥まあ色々な感情が湧き上がってくるのだ。
まあそんな感じで葛藤していると。
「じゃあ〜さっきから険しい顔してるゼニウムく〜ん」
「うぇっへーい‥‥‥!?」
やばい何も聞いてなかった、どうしよう!?
「あっれれ〜もしかして聞いてなかったの〜? 悪い子だなぁ〜、まあ将来魔道士志望じゃないから退屈かもしれないけど〜必修科目だからさ〜先生の声聞いてると眠くなっちゃうよね〜ごめんね〜」
レイナ・ナガシマ先生、学校一の人気を誇る先生、ふにゃふにゃした今にも寝そうな喋り方が特徴、黒髪ロングで見た目は俺たちと同じくらいの年なんだが、本人曰く俺たちよりずっと年上らしい、昔はすごい魔法使いだったんだとか。
信じている生徒はほぼいないが、俺はそうは思わない、なぜなら見えないからだ。
「まあ〜、あんまり授業を聞いてないんだったら〜チューベリー先生に補習を頼んであげるからいつでも言ってね〜」
「そ、それだけはご勘弁を‥‥‥」
この人可愛い顔しといて、しれっとめっちゃ怖いこと言ったんだけど。
クスクスという笑い声が教室のあちこちから聞こえて来る。
あーそーだ、笑え、笑いたいやつは笑えばいい、こっちは地獄を体験してきたんだ、この程度何も感じないのさ。
だがルビリス、お前はダメだ。
◇◇◇◇◇◇◇
キーンコーンカーンコーン
チャイムが鳴り授業も終わった。
学食を買いに行く生徒は一目散に食堂へ駆けていく。
今日はお母さんがお弁当を作ってくれたのでそれを教室で食べる。
うまい、いつもうまいが今日は特にうまい、今までの嫌なことが全部吹き飛ぶような感覚だ。
「なんかあったのか」
後ろの席から声をかけられる。
ニグラス・イヴァノフ、背が高くオレンジっぽい髪色、普段から制服を着崩していたり、普段の強めの言葉遣いから不良っぽく見えるが、いや言ってしまえば不良なのだが、なんだかんだ優しいやつで、俺の親友でもある。
俺と同じで騎士を目指している、いわばライバルってやつ。
「いろいろ‥‥‥あったのさ‥‥‥」
「?」
親友同士ってのは多くを語らなくても伝わるもんなのさ、いや、やっぱり伝わってほしくない。
今度は前から声がかかる。
「ゼニウム、ニグラス、今日の午後の騎士科の授業取ってるだろ? 早く食って準備しに行こう!」
「来週はダンジョン探検だからね、私も早く行っていっぱい鍛えたい」
チタニスとリリア、チタニスはさっき言った通り我らがクラスリーダー、カリスマ力あり、なんでもすぐにこなすいわば天才だ、特に槍術の腕は一流で、普通に戦場で戦えるレベルと言ってもいいだろう。
スウィーピアさんは渡さん。
リリア、金髪ショートの女子、ルビリスの悪いところを全部抜き取ったような明るい元気な性格で、双剣術の使い手、見た目は人間だけど少しだけノクシスの血が流れてるから実際はハーフノクシス、闇夜のエルフらしい。
ちなみに俺とニグラスは剣術。
「そうだな、今のうちにしっかりやっとかないと、来週痛い目みそうだし」
最後まで取っておいたたまご巻きを食べ、支度をする。
「あ、そうだリリア、少し話がある」
「ん? 何?」
◇◇◇◇◇◇◇
どうしても2人きりで話をつけたいことがあった。
そうラブレターの内容の件。
「例のラブレターの件なんだけどさ、ルビリスにボロクソ言われたんだけど」
「え〜、でもあれ以上に愛を伝える表現なんてなくない? かなり良いと思ったんだけどな〜」
「いやそうだけどさ‥‥‥」
リリアはまともで良い子なんだが、たまにぶっ飛んでる時がある。
「ていうかさ〜、そもそもゼニウムが下駄箱間違えなければ済んだ話じゃないの? そんなドジ踏まなければそもそもルビリスにすらバレなかったでしょ、あ、まさか私に八つ当たりしようとしてるの? ひどい! 人でなし! セクハラ!」
「そこまで言ってないだろおおおおおおお!!!」
なぜこうも話が飛躍するのか。
「あら、なんだか楽しそうね」
鳥の囀りのような美しい声が耳に響く。
「あ! スウィーピア!」
リリアがスウィーピアに抱きつき、彼女はリリアの頭を撫でる。
おい、そこをどきたまへ。
「ゼニウム君、体調大丈夫? 朝から調子悪そうだったけど」
天使だ、社会的に抹殺された惨めな俺のことをここまで心配してくれている。
「は、はい、もう大丈夫です‥‥‥」
緊張して言葉が出ない。
「あ、そういえばあの手紙の件なんですが、あれは‥‥‥いたずら?」
うっ‥‥‥
いっそそうしてしまう方が良いのではないのだろうか。
リリアはこっちをずっと見つめている。
「いや、その‥‥‥そうです!」
もういいや!
「そ、そうだよね、ごめんね変なこと聞いちゃって、じゃあ2人ともこの後の授業頑張ってね」
そうして薄暗い廊下の奥の方へ行ってしまった。
「意気地無し」
リリアの蹴りがより自分を惨めにたらしめた。
誤解の内容にあらかじめ申しておきますと
この作品は恋愛ものではないです!