表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Deceptive Love  作者: 緋色
第一章:ローデン編
16/67

第十六話:始まり

キリが悪くてちょっと文字数が少なくなってしまいました。

謝罪m(_ _)m


 先ほどまで美しく輝いていた女性は、無残な姿へと変わり果てる。


 「ス‥‥‥ウィーピア‥‥‥さ‥‥‥ん‥‥‥?」


 返事は帰ってこない、美しい声はもう響かない、あの輝かしかった目は光を失い虚空を見つめている。


 目の前には、人型でありながら左右不均等で、複数の腕が生えていた怪物が佇んでいた。


 首はなく、その代わりに手のひらが生えており、その中心にある巨大な黒い目は、絶望する少年を見下してい。


 <<斬獄の異形(ヴェルグレア)>>

 レベル:1200


 俺は突きつけられた現実を理解できず、思考が止まる。


 「あ‥‥‥あ‥‥‥」


 彼女だったものを腕で拾い上げるが、先ほどまでの暖かい温もりは感じられなかった。


 怪物はその少年を嘲笑うかのようにその場を去って行ってしまった。


  ◇◇◇◇◇◇◇


 『緊急事態! 緊急事態! これは訓練ではありません!』


 耳を刺すような警報音が学園中、いや、この都市全体で鳴り響く。


 周囲からは悲鳴や爆発音が絶えずこだましている。


 「はぁはぁ‥‥‥クソ! なんなんだこいつら、どこから湧いて来やがった!?」


 「リリア達も無事だといいんだけど‥‥‥!」


 ニグラスとルビリスは学園の廊下を駆け抜ける。


 その道には無残な生徒の姿と、恐怖のあまり隅で踞り、すすり声をあげている者が後を絶たない。


 「ていうかこいつら、なんでこっちが手を出すまで襲ってこない‥‥‥!?」


 「なんか、意図的に攻撃をする人としない人を区別しているように感じるよ!」


 目の前に怪物と、今にも切り刻まれようとしている一人の生徒が一人がいた。


 「誰か助けて!」


 「チ‥‥‥剣術(ケイロス)天翔剣(てんしょうけん)!」


 剣を大きく振りかぶり、上から振り下ろすが、複数の腕の一本に握られていた大剣が、それを防ぐ。


 「な‥‥‥!?」


 助けを渇望した生徒は、希望から一瞬で絶望へ落とされ、そのままバラバラになる。


 「クソ‥‥‥」


 ニグラスが距離をとる。


 「クラッシュカース!」


 青紫色の光がルビリスの杖から放たれ、血濡れた怪物を包みこむ。


 動きが鈍くなった。


 「剣術(ケイロス)雷刃閃(らいじんせん)!」


 怪物は一筋の稲妻に貫かれ、その場に倒れる。


 「よし、まずは一体だ、この調子で頼むぜルビリス!」


 「任せて! 魔石のおかげか魔力も有り余ってるよ!」


 突如、教室の壁が吹き飛び、中からもう一体の怪物がルビリスの背後に現れる。


 「ルビリス! 後ろだ!」


 「え?」


 大剣が彼女に降りかかる。


 すると今度は天井が崩れ落ち、上から巨大な影が怪物の上に降ってくる。


 「ふん!」


 怪物は巨大なケツに潰され、弾け散る。


 「もぉん、この子も私の(ケツ)を受け止めれなかったのねぇ」


 その姿は普段よりも大きく、かつ頼もしく見えた。


 「チューベリー先生!」


  ◇◇◇◇◇◇◇


 「何が起きてる!?」


 チタニスは槍を片手に、逃げ遅れた生徒がいるのではないかと勇敢に辺りを捜索していた。


 辺りに飛び散る血や肉片、それがより一層に彼のトラウマを鮮明なものにした。


 「俺はもう‥‥‥あの時とは違う!」


 彼は足を奮い立たせ、懸命に前へと進んでいる。


 「!」


 目の前から怪物が一体こちらへと向かってきていた。


 彼は槍を強く握り、矛先を向け、怪物は荒れ狂うように体を振るわせ、彼へと切り掛かる。


 「槍術(ドラクス)飛燕穿(ひえんせん)!」


 槍を回転させながら相手を貫く連続突き。


 槍と大剣が火花を散らし、ぶつかり続ける。


 「うおおおおお!」


 彼は全力を振り絞り、剣撃の嵐を撃ち落とす。


 彼の凄まじい連続突きが、少しづつ怪物の肌に切り傷をつけていた。


 いける!


 金属が砕ける音がした。


 彼の視界を何かが横切る。


 「え?」


 それは自分が使っている槍の矛先だった。


 大剣が彼の肩を抉る。


 「うわあああああ!」


 チタニスは地面に倒れ込む。


 肩が燃えるように熱い、手で押さえるも血が溢れ出し、再びあの日の光景を物語る。


 「く、くるなぁ! あっちへ行け! あああ‥‥‥痛い‥‥‥痛いよおお!」


 折れた槍を振るうが怪物には届かない。


 怪物と目が合った、手のひらにあるその巨大な目は‥‥‥笑っていた。


 その瞬間彼は理解した‥‥‥逃げ遅れたのは‥‥‥自分だったと。


 彼は背を向け、走り出そうとするが、バランスが崩れる。


 大剣が彼の右足を貫いていた。


 「う、うわあああああ!」


 そして怪物は、彼の腹にもう一本の刃を突き刺した。


 「あああああ!」


 彼はその突き刺さった刃を両手で抜こうとするが、びくともしない。


 少しずつ意識が薄れていく。


 その刹那、頭の中に、あの時助けてくれた友の姿が浮かぶ。


 「ゼニ‥‥ウム‥‥‥リ‥‥‥リア‥‥‥ニグラ‥‥‥ス‥‥‥ルビ‥‥‥」


 最後まで彼は助けが来ると信じ、周りに目をやるが、誰も現れることはなかった。


 「みんな‥‥‥たす‥‥‥け‥‥‥」


 怪物の足が彼の顔を踏み潰し、その声を掻き消した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ