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Deceptive Love  作者: 緋色
第一章:ローデン編
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第十五話:枯葉

注:衝撃的な展開(作者が書きたかった展開)が含まれます。

  

 こんにちは皆さん、僕の名前はゼニウム・アルヴェスト、今、世界一幸福な男です。


 何故かって? よくぞ聞いてくれました。


 それは世界一美しいスウィーピア・ラドミール様とお付き合いを始めたからです。

 

 えへへへへへへへ。


 空いた口が塞がらない。


 「なんだその気持ち悪い口は、飢餓の咆哮者(ゾルグアーヴ)みてぇだな」


 「おい、あんまそういうこと言わないでくれ、トラウマなんだ」


 友達二人の声が後ろで聞こえる。


 「やあ、ニグラス君、チタニス君、ごきげんよう、今日はまるで噴水から噴き出る水が掃除されて綺麗になったかような日だね」


 「その意味のわからないかつ間違ってる言葉遣いやめろ、寒気がすんだが」


 「昨日の出来事はルビリスから聞いたよ、いい感じなんだって?」


 「へへ、えへへ、えへへへへへへ」


 もう一度言おう、空いた口が塞がらない。


 「こいつもうダメだ、完全に浮かれてやがる、チッ、こういう肝心な時にルビリスはいねぇし」


 「ルビリス、彼女はとてもいい子だよ、身長と胸と器は小さいが顔は大きい」


 普段はあのムカつくニヤケ顔を思い浮かべただけで怒りが溢れ出てくるが、今日はそんなことどうだっていい、世界は美しいんだ、あの女神(スウィーピアさん)がそれを教えてくれた!


 「最後のはわからないが、ゼニウム、マジで今日変だぞ」


 前三つはわかるんだチタニス君。


 「こいつマジで一回ぶっ飛ばした方がいいんじゃねぇの?」


 背中から殺意を感じる。


「おっと、この後スウィーピアさんと用事があるからここでお暇させて貰うよ、お二人も愛を知れば今の俺の気持ちが分かるさ」


 「チューベリー先生のケツで圧死しろ」


 俺は逃げるように廊下へ向かう。


 教室を出た瞬間、誰かと肩がぶつかる。


 「いて‥‥‥リリア?」


 「‥‥‥ごめん」


 リリアは俺に顔を向けずそのままどこかへ走って行ってしまった。


 何だったんだ?


  ◇◇◇◇◇◇◇


 「‥‥‥どうやら気づかれていないようですね」


 学園の中庭に一つの人影が降り立つ。


 それは、この学園には持ち込むことが許されない曲がった善意を孕んでいた。


 「ふむふむ、魔力圧は良好、ビーコンやゲートも問題なし」


 白衣のポケットから取り出した機械を弄ぶ。


 「全ては大義のため、さあ始めましょう! この世界の存続を賭けた最後の戦いを!」


  ◇◇◇◇◇◇◇


 あれ、あれあれ、ポケットに入れていたスウィーピアさんから貰ったペンダントがない! 


 制服の胸ポケットやズボンのポケット、靴の中、念のためパンツの中も探したが、出てきたのは石ころ一つだけだった。


 やばいやばい俺の家の家宝が! 国宝が! たった一日で紛失するなんてありえない!


 いつだ? いつからない? さっきまではあったはずなのに!


 もしここで無くしたのがバレたら‥‥‥離婚!? 


 いや、焦るな俺、冷静になれ、そもそも結婚はしてない、付き合って一日目だ。


 この天才的な脳みそをフル回転させて一つわかったことがある。


 「‥‥‥やばい」


 「どうしたの?」


 背後から美しい声が囁く。


 「ス、ススッスススッスウィーピアさん!?」


 後ろには、この薄暗い廊下は似合わない女神が立っていた。


 「い、いや〜午後はチューベリー先生の授業だからちょっと怖くて」


 俺は必死に誤魔化そうとする。


 「プッ‥‥‥フフ‥‥‥アハハハハ!」


 スウィーピアさんが大きな声で笑い出す。


 何が面白いかわからなかったが、初めて見たその笑顔はとても可愛らしかった。


 「いや、ごめんね、ダンジョンであんな怖い思いをしたのに、未だにチューベリー先生が怖いだなんて可笑しくて」


 彼女の首には、俺が今持っているはずだったペンダントと同じ種類のものが掛けられていた。


 「あの人はベクトルが違うんですよ、でも、もしあんな怪物がまた襲ってきても絶対に守り切りますよ、あなたを」

 

 「ゼニウム君‥‥‥」


 これ今がチャンスじゃないか? さっきまでは一方的に俺が付き合ってるって妄想してたけど、今こそそれを現実にするべきだ!


 「ス、スウィーピアさん」


 俺は息を呑む。


 正直あの時の怪物たちと向き合った時よりも緊張している。


 だが俺はもう迷わないって決めたんだ。


 「スウィーピアさん! 俺と、お付き合いしてください!」


 彼女の顔を真っ直ぐと見つめる。


 最初は少し動揺していたけど、その後に見せてくれた笑顔は俺を確信へと至らせた。


 彼女はゆっくりと口を開ける。




 その瞬間、聴き慣れない音と共に、俺の顔に暖かい液体のようなものが飛んできた。


 それを手で拭き取って見てみると、指は真っ赤に染まっていた。


 「‥‥‥え‥‥‥?」


 もう一度彼女の方を見る。


 巨大な刀身が彼女の腹から突き出ており、その周りから赤い液体が滲みだし、純白の制服を染めていく。


 「え‥‥‥あ‥‥‥チタニス‥‥‥君‥‥‥助け‥‥‥」


 弱々しく手を伸ばすが、それよりも早く突き刺さった刃が天へと切り上げられる。


 血飛沫が噴水のように吹き荒れ、俺の顔や制服に降りかかる。


 スウィーピアだったものは、上半身が真っ二つに裂け、俺にもたれ掛かるが、そのまま横へと滑り落ちていく。


 残酷な現実が、俺に本当の世界の姿を映し出した。


こういう鬱展開を自分で書きたいと思ってました!

もし、良いと思って下さったら、是非とも⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎評価お願いします!

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