表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

第2話 アタブラで遊ぶおはなし

前回までのお話!

俺、根田村は桜坂と遊ぶべく桜坂の家に遊びに来たのだ。そこで桜坂の攻撃「オレンジ麦ティー」を食らい瀕死状態となった俺に桜坂は言い放つ。

「アタブラしようぜ!」

アタブラとは、アタックブラザーズというバトルゲームの略で、相手を場外へ吹っ飛ばせば勝ちのシンプルで楽しいゲームなのである。現在はいそいそとアタブラで遊ぶ準備を進めており、そろそろ終わりそうだ。さて、勝敗はいかに!?というかすでに瀕死状態なんですがね。


なんて夕方アニメの冒頭のような紹介をした根田村ですどうも。誰に向かって紹介してるんだろうね。ワカラナイナー。

なんて考えているうちに、アタブラの準備が終わったのでさっそくはじめていこう。


俺はいつも使っている黒いマントの丸っこい剣士キャラを使うことにしよう。素早い攻撃で、相手を翻弄できるので一番得意なキャラなのだ。対する桜坂は、カウンターが強い女神のようなキャラだ。カウンターに成功するとダメージを受けること無く、素早く相手に反撃できる。またこのキャラは、物理攻撃だけでなくこちらが投げたアイテムや撃った弾なども問答無用で反射してくるので注意が必要だ。そういえば、桜坂とアタブラするのは初めてだな。どのくらいの実力をもっているのか楽しみだ。

キャラ選択が終わったので、次はステージ選択だ。俺は、いつも平坦でギミックがないステージを好んで選んでいる。どうやら桜坂も同じようで、キャラクターもステージもサクッと決まった。ステージが決まったので読み込み画面に入り、ゲーム機がバトル開始の準備を進めている。

「この負け無しの格闘王と呼ばれた根田村様に勝てるかな?負けちゃう?」

「勝つさ」

そう颯爽と勝利宣言をする桜坂の表情は、自信に満ちあふれており勝利を確信している余裕が見て取れた。あれ、これヤバイのでは?そう思ったとき、アタブラのナレーションによってゲーム開始のかけ声がかかった。


まずは先手必勝。うおりゃあああ!!!

俺は開始と同時に、桜坂へ突っ込んでいき攻撃を仕掛けた。が、惜しくもカウンターを食らうのであった。

うん、想定内想定内。今の攻撃はわかりやすかったからね。気を取り直して再度攻撃を。

カウンターで返された。

うん、まあまあまあ。ホイッと。

カウンターで返された。

んー、それっ。

カウンターで返された。


「は?」


2回連続くらいまでは、まあわかる。4回だよ?4回連続だよ!?動体視力狂ってるんじゃないの???ま、、、まあ?まだまぐれの可能性もあるし?

俺は攻撃を続けた。その結果がこれである。


俺の蓄積ダメージ:334

桜坂の蓄積ダメージ:0(ノーダメージ)


「なんでやあああ!!!阪神関係ないやろおおお!!!」

俺の心のモヤモヤとツッコミと、その他もろもろを乗せた雄叫びが部屋に響く。

「根田村の攻撃がわかりやすいんだよ」

そう言ってきた桜坂が操作する女神は、さっきから動いていない。というかそもそも動こうとしていない。カウンターのみに集中しているようだ。言うなれば、桜坂流武術は完全カウンター型といったところだろう。俺の操作する剣士はダメージのせいでほかほか煙が上がっている。おそらく息も絶え絶えだ。対する女神は涼しい顔で全く動いていない。この女神強すぎるだろ。女神じゃなくてラスボスの魔王にすら思えてくるぞ。

この剣士まだレベル1なので、魔王と戦うのは早すぎます。レベル上げに帰っていいすか?

さすがに攻めの手段を変えないと、勝機は見えない。そうだ、アイテムだ。アイテムを使おう。

幸い魔王(女神)は動かないのでアイテムは取り放題だ。このゲームにはバトルをサポートしてくれる様々なアイテムが、ランダムでフィールドに降ってきて早い物勝ちで使うことができる。中でも強力なのは、赤と白で彩られているボールだ。投げて地面に激突すると中からモンスターが出てきて、一定時間相手を攻撃してくれたりバフをかけてくれたりと手厚いサポートが期待できる。運良く俺の近くに3つも落ちてるから、神様に感謝だ。

いくら桜坂といえど、3種類の攻撃を同時に受けたらカウンターどころではないだろう。おまえの敗因は動かなかったことだ!残念だったな!


俺はすぐさまボールを3つ地面にたたきつけた。女神の方に投げることもできたが、反射されるとたまったもんじゃないので、自分の足下に投げる。俺はそんな単純なミスをする男ではないのだよハッハッハ!

さて、俺を助けてくれる愛しのモンスターちゃん3匹は?


鳴き声とともに金魚っぽいモンスターが3匹並んではねていた。


「根田村が外れ枠を3回連続で引いた!?」

隣で桜坂が大爆笑を始めた。

桜坂の爆笑と金魚っぽいモンスターの鳴き声×3が合唱を始めた。うるせえ。特に金魚!てめえはだめだ!

その金魚は3匹並んで、息ぴったりと言わんばかりにダンスを披露している。どっかのピンクボールかよ!

それにしても外れ枠を3回連続か。俺、運悪くね?

さっき神様に感謝すると言ったな?あれは嘘だ。文句言ってやるぞ神。首を洗って待っておけよ!

桜坂の爆笑が落ち着くのを待ってから、ゲームを再開する。


しかしどうするか。周りにもうアイテムは無いし、普通に突っ込んでもカウンターで返される。何か名案はないかと頭を巡らせていると、状況が一変した。

俺の操作する剣士が場外へ飛ばされたのだ。


「へ?」


瞬時に意識をゲームの方に向けて注意深く見ると、ようやく理解できた。

魔王(女神)が動いて、攻撃を仕掛けたのである。


「はあああああ!?!?!?」


「ゲームセット!」

そのまま俺は場外へ吹き飛ばされ、ゲーム終了の合図がナレーションによって行われる。


「おまっ!、桜坂は動かないんじゃないの!?」

「いつから俺が動かないと錯覚していた?」

「ぐぬぬぬぬぬ」

「さて、さっきの威勢はどうしたのかな?えーっと、《《勝ち無しの敗北王》》さん?」


桜坂はやってやったと言わんばかりに、嫌な笑みを浮かべており俺を煽ってきた。卑怯だぞ!ただ、負けは負けだ。悔しいが受け入れるしかない。


画面は、キャラクター選択画面に戻っていた。気を取り直して2回戦といきたいところだが、勝てる気がしない。正直、桜坂には使うキャラを変えてほしいのだが、勝てないから変えてーは無粋な気がする。その辺のマナー的なものは、俺もわきまえているつもりだ。勝機がなくとも、何度か続ければ発見があるかもしれないし頑張ってみよう。


「キャラ変えるよ」

「えっ、てっきりそのままかと思ってた」

「だってあまりに一方的なんだもん。それにいろんなキャラを使った方が楽しいじゃん」


桜坂あああああ!そういうところだぞ、良いやつめ!人として見習いたいぞ。

そうやってそれぞれキャラを選び直して、ステージを選択して2回戦スタート。

桜坂が選んだキャラは、剣士の。。。あれ?このキャラってたしか。。。


カウンター使えるよな。


このゲーム、カウンターが使えるキャラは1人ではないのだ。

あのー、これ、さっきと流れ変わんないんですけど。勝機見えないんですけど。そう思いながら、隣に座る桜坂の顔を一瞥。

桜坂は不適な笑みを浮かべていた。


桜坂あああああ!そういうとこだぞ!悪いやつめ!人としてどうかしてるぞ。

勝敗は予想通りだった。


それから何戦やっただろうか。キャラを変えてもなお、桜坂に勝つことはできなかった。俺は今、帰路についている。空をみると、太陽も仕事を終えて帰宅途中のようだ。今日の終わりを告げてくる太陽、肌をなでる冷たい風。楽しさの後の静けさが身に染みて、少し寂しさを感じる。

今日もなんだかんだ楽しかったな。


俺は口に残るオレンジの酸味や麦茶の苦みをかみしめながら、家に向かって歩いて行く。そして心でつぶやいた。


もう桜坂とアタブラはやらない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ