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第1話 記念すべきはじめのおはなし

俺の名前は根田村。どこにでもいる普通の高校生だ。


ある日の下校中、黒ずくめの男の怪しげな取引現場を目撃した。取引を見るのに夢中になっていた俺は、背後から近づいてくるもう一人の仲間に気づかなかった。俺はその男に毒薬を飲まされ、目が覚めたら・・・


なんて経験はするわけもなく、正真正銘ぱっとしない高校生ですどうも。


いやーしっかし、天才って良いよね。憧れちゃうよ。俺も平成のシャーロックホームズとか称されてちやほやされたいぜ。事件に巻き込まれるのはごめんだが。。。

そんな憧れを持つ俺は、特筆するような特徴はなく没個性が服を着て歩いているような、そんな高校生だと自負している。

ああ、分かっているさ。分かっているとも。俺には何か才能があるわけじゃない。普通の生活を送って普通に死んでいくことしか許されない残念な人間ですよーっと。

でも、そんな俺にも最近楽しみができた。今日は土曜日で友人の桜坂の家に向かっているのだ。桜坂とは最近友達になったのだが、彼と繰り広げる会話は心地良い。相性が良いのかな。なんだかちょっと照れちゃうねぐへへ。


そんな楽しみを胸に、俺は足早に道を進んでいった。


見慣れた一軒家の呼び鈴をポチッと。ぴんぽーん

「はい、どちら様ですか?」

この聞き慣れた声は桜坂だ。あ、桜坂の家の呼び鈴を鳴らしているから当然だし、ご家族も桜坂なはずだから桜坂じゃ分からないか。まあそんなことは良い。今は返答しなければ。

「根田村と申します。あなたは今幸せですか?今入信すると御利益がある壺が」

「あっ、結構です。」

カチャ。

セリフの途中なのに切られてしまった。諦めず呼び鈴ボタンをもう一度押す。ぴんぽーん。

「はい」

「壺が19800円のご提供でぇぇぇす!!!」

「怪しい勧誘やめろ。というか、勧誘なのかテレビショッピングなのかどっちかに絞れよ。」

「まあいい、鍵は開いてるから上がってきて。」

カチャ。


テキトーにあしらわれてしまった。まあ確かにずっと家の前でコントをやるわけにもいかないか。ご近所さんに勘違いされて警察なんて呼ばれたらたまったもんじゃない。なんて言い訳すれば良いだよ。状況を正直に説明したら、警察の人も困惑しちゃうよ。


上がってきてとのことだったので、部屋に来いってことだよな。桜坂の家は一軒家で、あいつの部屋は2階にある。子供は2階って誰が決めたんだろうね。ちなみに俺も2階だ。そんなことを考えているうちに、桜坂の部屋の前についたのでノックをして部屋に入った。


「こにゃにゃちゅわなのだ」

「はいこんにちは。まあテキトーな場所に座ってよ。」

あれ?冗談が無視された?まあいいか。小さめなローテーブルの周りに2つクッションが配置されている。俺は片方のクッションの上に座らせてもらうことにした。

「今飲み物取ってくるよ。麦茶かオレンジジュースどっちが良い?」

「じゃあ間を取ってオレンジ麦ティーで」

「新しい飲み物を開発せんでよろしい!」

そう言うと、桜坂は部屋を出て下の階へ降りていった。


少しすると、桜坂はお盆の上に2つのコップをのせて戻ってきた。コップの中身はオレンジジュースと麦茶だ。桜坂のやつ、気を利かせてくれて俺に選ばせるつもりだな。で、残った方を自分が飲むと。まったく、優しいやつだよ。

「根田村はこっちね」

と言いながら片方のコップをテーブルに置く桜坂。あ、選ばせてくれるんじゃないのね。まあいいけど。


俺の前に置かれたのはオレンジジュースの方だった。正直どっちでも良かったから特に気にしない。喉が少し渇いていたのですぐさまコップを手に取りオレンジジュースをいただく。

「うぐっ!」

オレンジジュースを口に含んだ瞬間、俺は思わず吹き出しそうになった。

「ナニコレ、甘い?苦い?酸っぱい?」

「何って、オレンジ麦ティー」

「おいおい、冗談を本気にするやつがあるか!俺の期待を返してよ」

「あー、冗談だったのか。全くキガツナカナッタナー」

全く気持ちのこもっていない棒読みだ。前言撤回、優しさの欠片もなかった。うぅぅぅ、、、たまに見るドS桜坂。恐ろしや。。。グラスをよく見てみると、一般的なオレンジジュースよりも若干黒いような気がする。もう少し早く気づくべきだった。

「あ、残さず飲むんだぞ。もったいないだろ」

ドSめ。もったいないと思うなら、最初から作るなよなー。まあ俺が言い出したことなんだが。仕方ない、責任を持って飲むか。だが、今はまだそのときではない。後でいただくとしよう。


ところで今日は何をするんだったかな。遊ぶ約束をして桜坂の家に来たのは良いが、何をするかまでは決めていなかった。聞いてみることにしよう。

「さて、今日は何をするのかね?」

「そいうえば決めてなかったな。テキトーにアタブラとかでいいんじゃね?」

アタブラことアタックブラザーズ。多くのゲームキャラがゲームの枠を超えて一堂に会するバトルゲームだ。ルールは至ってシンプル。相手を場外に吹っ飛ばせば勝ちだ。多種多様なキャラクターがいるが操作もシンプルになっていて、格ゲーバリに複雑なコマンド入力などは求められない。そのため、初心者でも十分に楽しめる大変素晴らしいゲームだ。こんなゲームを作ってくれた神こと、桜ー、、、っとなんだっけ?まあいっか。お偉いさんには感謝感謝だ。


「分かった。アタブラにしようか」

「次回!根田村死す!ゲームスタンバイ!」

「ネタバレ次回予告やめろ」


そんなこんなで俺たちはアタブラを遊ぶべく、いそいそと準備を進めるのだった。

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