勇者は魔王を倒さない
「ジャクリーヌ! そのままヘルハウンドを抑えててくれ!」
「オウッ! まかせな!」
「シモンは、左から迫ってくるサラマンダーへの魔法攻撃、イザベルは俺とジャクリーヌに補助魔法を頼む!」
「あいよ!」
「よっしゃー!」
ここは、火山奥深くに広がる、通称、溶岩の洞窟。炎を吐く狼、ヘルハウンドを4体相手にしているのは、戦士ジャクリーヌ(女)。彼女の振るう両手剣は、圧倒的な攻撃力をほこり、身にまとうフルプレートは、鉄壁の防御力をほこる。
「戦の神よ、彼らに力を与えたまえ『ヴァルキュリオン』!」
「きたきたきたっー! 一気にいくぜ! ニコラ!」
力付与の呪文を唱えたのは、僧侶イザベル(女)。ハーフエルフで、回復・補助魔法においては、世界で3本の指に入るほどの使い手である。
「凍てつく氷よ、奴らを刃で貫け『ブリザード』!」
体中炎に包まれた大トカゲ、サラマンダーに氷の呪文を叩き込んだのは、魔法使いシモン(男)。人間でありながら、200年に以上生き続けている。『生きる魔法書』とも呼ばれる、伝説の大魔法使いである。
そして、彼らを指揮し、ジャクリーヌと共に戦うのが、勇者ニコラ(男)。歴代勇者の中でも、最も高い統率力を備えているといわれている。
「よし! これで一丁上がり、と」
「今回もうまくいったのう、ニコラよ」
「そうそう、ニコラが指揮してくれると、本当に戦いやすいよ!」
「またまたぁ、そんなにおだてても何も出ませんよ」
「そんなこと言いながら、晩飯おごってくれるんじゃろう?」
「もう、しょうがないなぁ」
「わっはっはっは!」
このパーティーは居心地がいい。ニコラはそう思っていた。いつも笑いが絶えず、それぞれが信頼しあっている。きっと、このままいけば、最終目標である魔王討伐も苦も無くできそうだ。そんな気さえしていた。
「では、さっそく、三種の神器の最後をいただくとしようぜ!」
「奥の宝箱じゃな」
「レッツゴー!」
3人に急かされるように進むニコラ。まさかこの先、あんな事が起こるとは思ってもいなかった。
それは、1つ上の層でおきた戦闘の些細な出来事だった。ゴブリンメイジの放った魔法は、どこかにはずれぶつかった。その反動で、小さな石が転がりだし、勢いがついて落下した。そこには、昼寝中の火ネズミがおり、小石は頭を直撃した。驚いた火ネズミは慌てて走り出し、侵入者用のトラップにぶつかった。さらに……
ピタゴラ状態が奇跡的に起こってしまい、今、宝箱を開けようとするニコラの後頭部に、大きな岩が直撃した。そして、彼は意識を失った。
ニコラは頭に受けた衝撃と共に、前世の記憶を思い出していた。そう、彼は転生者であったのだ。それと同時に、前世で患っていた鬱の症状までよみがえってしまった。それは、仲間への信頼、魔王討伐への気力、築き上げてきた絆、全てを一瞬で消し去ってしまうものだった。
「……ニコラ! ニコラってば! 大丈夫?」
ニコラが目を覚ますと、目の前にはジャクリーヌの顔があった。若干涙ぐんでいるようにも見えた。後頭部には、なにか柔らかい感触があった。どうも、ジャクリーヌは鎧を脱ぎ、膝枕をしてくれていたようだ。
普段なら、ドキドキもののシチュエーションであろうが、ニコラはとくに何も感じていないようだった。
「とにかく、無事でよかった。なかなか目を覚まさんものじゃから心配したんじゃぞ!」
「それにしても、あたしの罠感知の魔法に引っかからないなんて、あの岩なんだったのかしら?」
ニコラは何も反応しない。若干、顔が引きつっているようにも見えた。なんとなく、ニコラが自分たちを拒んでいるかのように直感で思えたジャクリーヌは、心配そうに、ニコラの顔を覗き込んだ。
「なあに、心配いらん。旅の疲れもでたんじゃろう!」
「そうよ! 宿屋で一晩休めば、いつものニコラに戻るわよ!」
「そうね! じゃあ、街に戻りましょう!」
そう言うと、ジャクリーヌはニコラをおぶって街へと向かった。その間、ニコラは一言も言葉を発さなかった。
宿屋に着くと、ニコラは三種の神器を装備したまま1人部屋のベットに寝かされた。
……そして、夜が明けた。
「……どう、ニコラ調子は?」
心配そうに部屋に入るジャクリーヌ。シモンとイザベルもゾロゾロと続く。
「あれ? ニコラいないよ!」
「……ん? 壁になにか書いてあるぞ!」
慌てて壁に駆け寄る3人。そこにはこう記されていた。
『しばらく、修行の旅に出ようと思います。1年6か月後、みんなと出会った桃園で会いましょう。それまで、しばしのお別れです。 ニコラ』
◆◆◆
1人旅に出たニコラは、まず、装備を三種の神器からフルプレートに変更した。
(できるだけ、人と接触したくないからな。これで、ほとんど顔を見られることなく、最低限の物資を手に入れることができる)
次に、言葉を話さない、仲間にできるモンスターを探し始めた。今の状態のニコラにとって、話しかけられることは苦痛でしかなかったからだ。
(モンスターを仲間になんて、この世界では聞いたことがないが、きっと、非戦闘員であるならば可能なはずだ)
前世では、ペットのネコに癒されたことが何度もあった。言葉を話さないモンスターならば、きっと同じような癒しになってくれると考えたのも、その理由の1つであった。
(勇者ニコラの記憶よ、これまでに出会ったモンスターの中から、成長が見込める者たちを教えてくれ……)
ニコラには前世の記憶と、勇者ニコラとして、今まで生きてきた記憶が共存している。その記憶の中から、目ぼしいモンスターを10体ほど見つけ出すことができた。勇者ニコラには『鑑定』のスキルが備わっており、相手のステータスを覗き見ることができたのだ。その10体の中から、初期ステータスが非常に高い、非戦闘員のモンスターを3体絞り込んだ。
(これなら、短い期間で仲間を集めることができるぞ)
その3体は、冒険をはじめた初期の頃に出会ったモンスターばかりであった。様々な苦労もあったが、ニコラは1か月かけて、3体のモンスターを仲間にすることに成功した。
1体目は、ゴブリンのアンネッテ(女)。
ゴブリンは部族ごとに集落が分かれており、部族同士の争いも時折あるらしい。それに敗れた彼女の部族は住処をかえていたのだ。
「ニンゲン! トラレタスミカ、トリモドセ! ソシタラ アンネッテ ヤル!」
族長は、片言ながら言葉を話すことができた。ニコラはその願いを聞き入れ、ゴブリン部族から住処を取り戻すことにした。
精神的に満身創痍なニコラであったが、ゴブリン部族程度には手こずることはなかった。
「ヨクヤッタ、ニンゲン! ヤクソク! アンネッテ オマエノモノ!」
そして、アンネッテは仲間になった。
赤い小鬼のような風体だが、目は意外と可愛らしい。ゴブリンというと槍や斧を振り回して戦うイメージがあるが、アンネッテは魔法の才能があった。しかも、攻撃と回復どちらもだ。つまりは賢者になり得る逸材なのだ。
2体目は、ウルフのレナード(男)。
ウルフは集団で行動する。獲物を取り囲み、狩りを行うためだ。しかし、レナードはどの集団にも属していなかった。なぜなら、狩りがあまりにも下手だったからだ。そんなはぐれウルフなレナードは、簡単に見つけることができた。
「グルルルルル……」
警戒するレナード。そんな彼に、ニコラは大きな肉を差し出し、与えた。
「さっき取ったばかりの、新鮮な肉だ。ゆっくりおあがり」
「クーン、クーン……」
そして、レナードは仲間になった。
ニコラが差し出した肉は、ここに来るまでに森で遭遇したモンスターのものであった。どうも、そのモンスターというのが、この森の主であったらしい。それに気づいたレナードが、ニコラに忠誠を誓ったということらしい。
レナードは四足歩行の狼である。しかし、仲間から見捨てられるほどに狩りが下手な……だが、それには理由があった。彼には『武器所持』というスキルがあった。狼なので武器を手に持つことはできないが、武器を器用にくわえて、前足や後ろ足で攻撃することができる。そうすることで、隠れた本当の力を発揮できるのだ。いってみれば、手足を加えた5つの武器をもつ、戦士だったのだ。
3体目は、ハーピーのサンドラ(女)。
ハーピーは群れを成し暮らしている。季節により住処を変えながら、である。そのおおよその場所はわかっていたため、サンドラがいる群れを見つけるのは、難しいことではなかった。しかし、彼女はそこにはいなかった。
ハーピーは上半身が人間の女性、下半身が鳥、手が翼というなりをしている。サンドラは、突然変異種だったらしく、手も翼もあった。それにより、だいぶ前に群れから追放されたらしいのだ。
思いつく場所を探し続けたニコラであったが、サンドラを見つけ出すことはできなかった。いた痕跡もほとんどなく、あきらめアンネッテとレナードの待つ、拠点に向かっているときのことだった。
「明日で1か月。区切るには丁度良いタイミングだったのかな……ん? なんだあれは!」
それは、体中傷を負ってうずくまるハーピーであった。
「大丈夫か?」
思わず手を差し伸べるニコラ、顔を上げ、手を伸ばすハーピー。
(よく考えたら、ハーピーに手があるはずが……)
そう、彼女はサンドラだったのだ。サンドラは優しく微笑み、手をつかんだ。
そして、サンドラは仲間になった。
サンドラは空を飛びながら、得意の弓矢と補助魔法を行使することができた。しかし、彼女1人では、空に浮かんでいる狙いやすい的でしかなかった。アンネッテとレナードという仲間を得たことで、力を発揮できるはずだ。
傷ついたサンドラを抱えて、拠点に戻った。仲間探しの旅に向かう前に、人里離れた山中のぼろ小屋の回収を依頼していたのだ。
翌日、サンドラの傷は、前日に行った処置とニコラの回復魔法により、完璧に治っていた。そして、拠点の前にニコラと、ゴブリン、ウルフ、ハーピーのゆかいな仲間たちが勢ぞろいした。
「これで、仲間、拠点が揃った!」
アンネッテ、レナード、サンドラの3体は、意外と仲良くやっているように見えた。ちなみに、拠点回収の金は、三種の神器を質にいれて手に入れていた。
「それでは次に、アンネッテ、レナード、サンドラ! お前たちの育成だ!」
「ヴァヒ!」
「ガウッ!」
「ピピィ!」
言葉は伝わっていないはずだが、なんとなく伝わっているようにも見える。名前に関しては、名付けられた(スキル『鑑定』で見える)名前であるわけだから、理解しているのかもしれない。
育成の際問題になるのは戦闘時だ。今の状態のニコラでは、足手まといにしかならない。攻撃力に関しては問題ないのだが、判断力、記憶力において、鬱状態であるため、常人の足元にも及ばない。そのため、戦闘は仲間頼みでないと無理なのだ。
ここで登場するのは、またもや勇者ニコラの記憶。3体の仲間が圧倒的に有利で、経験値のおいしい敵の居場所を思い出す。
初陣は、あっけなく終わった。もちろん勝利でだ。初期レベルでは倒すのが難しい、リザードマンを選んだニコラであったが、勝利以上のものも発見することができた。
まずは、レナード。敵を発見するや否や、間合いをを詰め、壁となった。くわえた短剣で敵の攻撃をいなし、複数の敵に詰められた際には、後ろ足で蹴とばし、適度な距離を保つ。狩りが下手だと追い出したヤツらがこの光景を見たら、度肝を抜くことになるだろう。
次に、アンネッテ。初級魔法ながら、火・氷・雷といろんな属性を使いこなした。攻撃、けん制とレナードの動きを見ながら的確に、だ。今回は回復魔法を使う必要はなかったが、きっと問題ないだろう。
最後は、サンドラ。正直、彼女には度肝を抜かれた。戦闘開始時は、空からの支援を行う程度だったのだが、しばらくすると、レナード、アンネッテに指示を出し始めたのだ。それは、歴代最強ともいわれる、勇者ニコラの統率力をも上回るものであった。
その様子を目のあたりにしたニコラは、あまりのすごさに、本当に腰が抜けていたようだった。
その日の夜、3体は藁の敷かれたベッドでぐっすり眠っていた。しかしニコラは眠れずにいた。眠たいのに眠れない、そんな日々が1か月続いていたのだ。鬱による不眠症である。
「あー……今日も眠れないのかぁ……」
ニコラは無自覚に呟いた。すると、今の声で目を覚ましたのか、アンネッテがそばに寄ってきた。
「ごめん、起こしてしまったのか……眠れなくてねぇ……」
アンネッテは頷いたような素振りをみせると、藁のベットに戻っていった。
「……そうか、アンネッテには言葉は通じないんだっけね……」
そう呟くと、ニコラは瞼を閉じた。しかしそれは、眠りに繋がることはなかった。しばらく、そのままでいると、耳元から不思議な歌が聞こえてきた。
「ラーララー♪ラーララー♪」
目を開けると、そこにはサンドラがいた。その歌を聞いていると、ニコラは瞼が自然と重くなるのを感じた。……そして、ニコラは眠りについた。
翌朝、ニコラは1か月ぶりの眠気のない朝を迎えた。さっそく、昨晩のことを振り返ってみる。
(たしか、アンネッテに話して、それから、サンドラがやってきた。そして、不思議な歌、そう、眠りの歌を歌ったんだ……)
ニコラはしばらく考えると、何かに気づいたように手を鳴らした。
「そうか! アンネッテは言葉を理解することができるんだ! そして、それをサンドラに伝えたんだ!」
ちょうど横にいたアンネッテは、うんうんと何度も頷いている。
「モンスター同士の意思疎通もできる! そういうことだね! アンネッテ!」
アンネッテは更に頷いた。よく考えてみると、昨日の戦闘で、サンドラが指示を出していた。意思疎通ができなければ不可能なことだったのだ。
これで、戦闘はサンドラに任せることができる。戦闘と不眠の問題は一気に解消した。
2か月後、アンネッテ、レナード、サンドラは、ニコラとほぼ同等の力を持つほどに成長していた。平均レベル55といったところだ。普通のRPGなら、ラスボスを余裕で倒せるレベルだろう。
「よし! これで、やることは一通り終わった。あとは残りの1年3か月をゆったりと過ごすだけだ。あえて言えば、家事全般の面倒を見てくれる執事でもほしいなぁ」
家事は、ニコラの仕事であった。物をつかめないレナードはともかく、アンネッテとサンドラにはいろいろと教えてみたのだが、行える家事は全くなかった。
「まあ、モンスター討伐兼食料調達をやってくれるのだから、とても有難いんだけど……」
贅沢な悩みを呟いているうちに、3体が起きてきた。朝ごはんの時間だ。
アンネッテ、レナード、サンドラは、毎日どこかへ出かけては、モンスターを狩ってくる。たまに、どこまでかわからないが、遠征に行って2・3日帰ってこないこともあった。いつの間にか、更にレベルもあがり、この世界にはアンネッテ、レナード、サンドラの3体をとめられるヤツなどいないのでは? と思うほどになっていた。
そんなある日……アンネッテ、レナード、サンドラが1体のモンスターを連れてきた。
瞳は赤く、頭からは山羊の角のようなものが生えており、体はところどころ鱗のようなもので覆われている。翼や尻尾があり、それはドラゴンのもののように思えた。鱗のない胸元の形状から、女であることは一目でわかった。
「ははぁ……どうか我を、いえ、わたくしめを……使用人に、いえ、奴隷にしてくださいませ、ご主人様」
そのモンスターは、いきなり土下座したかと思うと、そう懇願してきた。
(もしかして、この前『執事でもほしい』といってたのを、アンネッテが聞いていたのか? まあいい、ちょうど、ほしいと思っていた逸材がやってきたんだ。しかし、こんななりのヤツに、家事全般ができるのだろうか?)
「使用人にしてもいいが、家事をやったことはあるのか?」
「今の立場になる前は、主君の世話係をしておりました。炊事・洗濯・トイレ掃除、それから、夜のご奉仕までなんでもいたします」
ニコラは夜のご奉仕という、男ならば誰でも夢見るキーワードに反応しなかった。以前より症状は回復していたが、雀の涙程度で、まだまだという状態であったからだ。
「それならば、雇うことにしよう。夜の奉仕はいらないので執事としてな! 名はセバスとする」
セバスは執事として、家事全般を完ぺきにこなした。ニコラが何か話を聞いてほしいと思ったときには、さりげなく近くにより、そうでないときは、そばを離れた。そう、執事としての心配りも完ぺきだったのだ。
アンネッテ、レナード、サンドラとの関係も良好であり、2か月もたつ頃には、セバスのいない生活など、あり得ないほどの存在になっていた。
◆◆◆
期限の1年6か月がやってきた。ニコラは約束の場所、みんなと出会った桃園に仲間と共に向かった。
「よっ! ジャクリーヌ、シモン、イザベル! ひさしぶり!」
「ニコラ、元気になったようじゃの! よかったよかった!」
「ほんと、心配したんだよ! ねっ、ジャクリーヌ!」
「……ああ」
シモンとイザベルは変わらないが、鎧を脱いだジャクリーヌの顔は、妙に赤かった。
「それにしても、ここまで元気になるなんて! 1年6か月の間に、なにかいいことでもあったの? ニコラ?」
「そうじゃ、そうじゃ! なっ、ジャクリーヌ!」
「……ああ」
ジャクリーヌの顔は、さらに赤くなった。
「ああ、新たな仲間ができたんだ! そのおかげもあって、こんなに回復することができたんだ!」
「なになに! もったいぶっちゃって! あの小屋の中に待たせてるんでしょ? はやく紹介しなさいよ!」
「そうじゃ、そうじゃ! のっ、ジャクリーヌ!」
「……ああ」
扉が開き、仲間がでてきた。
「紹介するよ! アンネッテ、レナード、サンドラだ。見ての通りアンネッテはゴブリン、レナードはウルフ、サンドラはハーピーだ!」
ジャクリーヌ、シモン、イザベルは驚きのあまり、開いた口が塞がらないようだ。
「モ、モンスターを仲間にしてしまったのか! ニコラ、お前というやつは!」
やっとジャクリーヌの口から、言葉らしい言葉が飛び出した。顔の赤みも戻ったようだ。
「……にしても、モンスター……いや、アンネッテ、レナード、サンドラだったの!」
「よろしく、アンネッテ! よろしく、レナード! よろしく、サンドラ!」
イザベルはブンブンと握手を3つ交わした。
「そして、あと1人、彼をなくして元気を取り戻すことなどできなかった。これからもずっと必要な存在……セバスだ」
ニコラは空を見上げた。あわせて、ジャクリーヌ、シモン、イザベルの3人も空を見上げる。
「なにか、こちらに向かって飛んできておるようじゃの」
「あの翼、ドラゴンの翼じゃない? ジャクリーヌ?」
「執事のような服を着ているぞ! ん? 赤い瞳に山羊の角がある!」
セバスは3人の前に降り立った。
「執事のセバスです。どうぞよろしく。」
ジャクリーヌ、シモン、イザベルは驚きのリミッターが超えてしまったのか、立ったまま気絶してしまったようだった。
「……って、それ魔王じゃん!!」
しばらくして、意識を取り戻したジャクリーヌ、シモン、イザベルは綺麗にハモって叫んだ。
そして、魔王討伐の旅は終わった。
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