表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

私たちは、アイドルです。

 西暦20XX年、かつて若者の街として栄えていたシブヤの中心に立つこのステージに、私は立っている。


 「来たぞ!ラブリネスだ!」


 どっと歓声が湧いた。ステージ中央の沈んでいた床がスポットライトで照らされ、ゴウンゴウンという機械音とともに上昇する。


 「美波ー!!!!!!」


 「さつきー!!!!!!」


 「里帆ー!!!!!!」


 ライトの下に立つ3人の少女に、次々と掛け声が向けられる。



 美波と呼ばれた少女は、リーダーの高田美波だ。スラッと手脚が長く、肩にかかるくらいの黒髪が、白い肌に映えている。


 その左に立つのが私、野田さつきだ。我ながら、くりっとした大きな瞳、端をキュッと結んだ小さな唇、高い鼻。人形のような顔立ちで、男女ともにファンが多い。


 そして最後の1人は、真部里帆だ。褐色肌に金色に艶めく長い髪が特徴的だ。その小さな身体のどこから出すのかと思うほどの声量で、振り付けのアクロバットはほとんど彼女が担当するという、アクティブな最年少メンバーだ。



 「今日もたくさんのイイネお願いします♪」


 美波が言った。


 "あいどる⭐︎バトル"は、このイイネの数が鍵となる。


 イイネを貰うと攻撃ゲージが貯まり、決まった数に達すると、振り付けに合わせて攻撃を繰り出すことができる。


 1曲が終わるまでに残っていた総HP残数が多いグループが1ゲームを獲得し、全5ゲームのうち3ゲームを先取したグループが勝者となる。


 ただし、これはその場限りのバトルではない。その戦績によってアイドルは、最上位のランク5から順に、5つに区分されるのだ。


 私たちラブリネスは今週デビューが発表された新人アイドルで、1番下のランク1だ。


 とは言え、私たちが所属する事務所は、小さいながら抱えるのはトップアイドルばかり。私たちへの注目度はデビュー前から高かった。



 「絶対勝とうね!」


 やる気に満ちた顔で里帆が言った。


 「バカね。あんたが前みたいにバク転失敗しなかったら勝てるわよ。」


 相変わらず、情熱的な赤い衣装に似合わないクールな口ぶりで、美波が返事をした。


 ムッとした顔で里帆が睨む。



 やれやれ、と私が首を傾げていると、反対側のステージのライトが点灯された。


 入場曲が流れ出すと、さっきよりも大きな歓声が上がった。


 今日の対戦相手が現れたようだ。拳にぐっと力を入れた。 




 それも今や1ヶ月前の話。


 私たちはランク1で停滞し、"期待外れ"と呼ばれていた──


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ