ショタコン涙
なんか友達にこの小説書いていることがバレてロリコンだと思われたんだが…。
あまりに咄嗟のことだったのだが、俺の体は勝手に、天使を抱え、ラーニャの手を引き安全な場所まで、走ることができた。ロリコン〈スキル2〉が発動したのだ。俺は、これをオートセービングと呼んでいる。
「今のはあんたのスキル?」天使はいつもより1段と弱った声でそう言った。
俺が頷くと、「馬鹿にして、ごめんなさい。何回も助けてもらっているのに私…。」
柄でもなく泣きそうな勢いだ。
女の子の泣いている姿は、嫌いだ。
自分が無力だという事を、痛感しなければならないからだ。
しかし、無力な俺は何て声をかけたらいいのかわからないまま、宿に帰って来てしまった。
夕食になっても天使は食堂まで降りてこなかった。
ラーニャに状況を聞いてみても首を横に振るばかりだった。
俺のせいだ。俺に女の子2人、守る力すらないから…。
「あまり自責しないで欲しいのです。」ラーニャは心配そうに俺を見る。
ラーニャにまで心配をかけてしまった。
俺は、舌を噛みしめ、今出せる最大の笑みをラーニャに見せた。
その日の夜は、いつもよりも時間の進み方が緩やかな気がした。
それ以外は、ただただ静かな夜だった。
俺は、ここ三日間の出来事について考えてみる事にした。
不運の矛先は、天使でほぼ間違いないだろう。そして、不運の規模と度合いは日々増加している。今日に限ってはダンジョン内のしかも第八階層のみの地震だったそうだ。明らかに狙われている。
でも何故天使が標的なのかわからなかった。
人為的?いや、ダンジョンの天井を落とすなんて、神でないと不可能だ。
考えれば考えるほどわからなくなってくる。
そういえば、天使は下界に落ちてから、テレパシーや飛行能力が使えなくなったと言っていた。
それも何か関係しているのだろうか。
だが、もう今日は寝てしまおう。明日のことは明日考えればいい。
だが、俺の行動はあまりにも軽率だった。
次の不運は深夜の、2時くらいに起きたのだ。
けたたましい音と暑さに飛び起きた俺は訳がわからないまま周囲を見渡す。
絶句する。あたり一面に黒い煙が充満している。…火事だ。
俺は震える全身を無理やりとめて、ラーニャと天使のいる部屋に猛ダッシュする。
廊下に出ると、赤く燃え盛る炎が行手を阻もうとするが、躊躇せず飛び込んでいく。
廊下に出たところで、ラードセルを部屋に忘れた事を思い出す。
「戻るか…いや、ここはラーニャ達の安全を優先すべきだっ。」
部屋を開けると、ラーニャと天使は手を握り合い、部屋の火の届かない隅にいた。
「ゼロ…!」
天使とラーニャは少し安堵した表情を見せた。
俺は、ラーニャ達のところへ駆け寄った。
この炎のなか、2人を連れて一階まで降りていくのは不可能だ。どうする…。
ラーニャは咄嗟に窓を指差す。
「それだ!!」俺は窓を強引にこじ開け、ラーニャと天使と手を繋いで飛び降りた。
俺が下敷きになれば、骨の1、2本で助かりそうな高さだったのが不幸中の幸だ。
だが、天使が必死に羽を羽ばたかせてくれたおかげで骨を折る事なく着地することができた。
茫然と燃える宿を見ている間に野次馬ががやがや集まりだした。
宿のエルフも無事に脱出できたようで、燃えるホテルを見上げていた。
「大丈夫か?」俺はラーニャに話しかける。
ここ最近貯めたお金が全て燃えたのだから大丈夫なはずはない。
だがラーニャは、「ゼロさんのおかげで無事なのです!ゼロさんこそ酷いやけど…。だけど今は、天使ちゃんに声をかけてあげるべきだと思うのです。」
この見た目で、こんな状況で、自分より俺や天使の方を心配しているラーニャは俺よりも遥かに大人だった。
ラーニャには気を遣わせたり、迷惑ばかりかけてしまっている。
天使の元へ向かうと天使は完全に塞ぎ込み石段で蹲っていた。
「大丈夫か…?」
「私のせい。私のせい。私のせいなんでしょ!!!」
流石に気がついていたようだ。
「私さえいなければ…。」
「それは違う。」俺は天使の手をとり、目を見てそう言った。根拠はない。これはスキルでもない。
ただこれが正解な気がしただけだ。
沈黙が流れる。俺は恥ずかしくなって目を逸らす。
「何か心当たりがあるんじゃないか?」
沈黙を打開しようと俺はこんな事を聞き出した。
天使は、「そもそも天使は天界の生き物。下界に堕ちた天使は存在してはいけないの。人間に観測されちゃいけなかったの」
と言った。彼女が頑なに名乗らないのも天界の決まりなのだろう。
これまでの不運もこの世界の天使を除外するためのシステムということか。
だけどそんなのはおかしい。
「天使が存在してはいけない世界なんて間違っている。俺が、この世界をただしてみせる。」
世界の覆し方。そんなものは存在しないと思うだろうが、この世界では違う。
この世界の創造主を殺してしまえばいいのだ。
天使は否定すると思ったが笑い出した。
「馬鹿すぎっ。この世界のどこにいるかわからない存在を敵に回すの?たとえ見つけ出しても世界の概念、理全てがあなたを殺しにかかるわ。」
「俺は、ロリのためなら何だってできるんだぜ?」
天使は少し頬を赤く染め、微笑むと立ち上がり、涙を拭った。
そして天使の輪っかを手にとり、
地面に叩きつけた。
唖然とする。何してるんだこの天使は!?
輪っかは粉々に砕け散った。
月のかけらのように綺麗な破片は地面に吸い込まれるかのように消えていった。
彼女の羽もみるみる消えていき。美しい金の髪も黒く染まっり天使らしいものは全て無くなってしまった。
「おい、天使本当にこれでいいのかよ。」俺は天使に言った。
これが彼女なりのケジメのつもりなのだろうか。
確かにリングを取り除いて仕舞えば世界から狙われることはなくなるだろう。だけど、それは自分の種族を誇りを辞めるという事だ。それは多分とても辛いことの筈だ。
だけど天使は、「もう私は天使じゃない。私の名前はフォルテ。フォルテ・エンジェリンク。あなたと同じ人間よ。」
そう言った彼女の表情は、間違いなく世界中のどの天使よりも神聖なものだった。
そもそもロリコンじゃなければこんな作品書かんわな。




