ショタコン災難
次の日、俺らは資金を集めるべく、ダンジョンに向かった。
天使は面倒くさいから行きたくないなどと言い出したが、もともとこのパーティは、ラーニャの村の三大武器を買い戻すために発足されたパーティなので有無を言わさず引きずり出してきたわけだが、戦闘センスは、さすが天使というべきか、ラーニャに引けを取らない活躍ぶりだった。
何なら俺が空気だった。
かくいう俺も、ラーニャか天使が近くにいればそこそこの力を解放できることが分かり、七色に光るランドセル…間違えた、ラードセルを振り回し、戦う。
だが、この天使、俺がラードセルを使用するたび、くすくすげらげらと笑ってくるものだから、やりにくい。
俺を馬鹿にした天使の話を聞き流している時、ドスンという鈍い音と共に、「きゃっ…」という天使の声が洞窟内に響く、俺はとっさに振り向き、周囲を確認する。
…そこには、地面に伏した天使の姿しか無かった。転んだだけのようだ。俺を馬鹿にするのに夢中になりすぎたのだろう。
しかし、この堕天使、その後もトラップというトラップにかかり、森では虫に襲われ、街ではひったくりに遭い宿に帰った時にはぐったりお疲れのようだった。
「大丈夫か?」俺は流石に気の毒に思えてきて声をかけた。
「大丈夫よ。今日は、たまたま運が悪かっただけ。もしかしたら悪運を全部使いきれたかもしれないわ」と複雑な笑みを浮かべながら言った。
次の日、ロビーに集合した時には、すっかり元気になっており、いつもの調子を取り戻したようだったので、安心した。
ところが、この日はこの日で、天使がここ一週間で貯めた金を落としたり、天使のご飯だけが腐っていたりと相変わらず不幸なことが続き、少し、暗い雰囲気が漂い始め、俺はこの日はダンジョンには行かず、自由行動という事にした。
俺が1人行動している間、特に不運なことは起こらなかった。午後ラーニャと合流し、今日1日の事を聞いてみたが、特に不運なことは起こらなかったようだ。
俺はこの不幸は天使が関係しているのかもしれない考えた。理由は分からないが、不幸の対象は基本的に天使からだった。
リツが言っていたことは本当かもしれない。
ラーニャには一応、今日1日のことは伏せておくように言った。
不幸が自分のせいだと気づいたら、俺たちから距離を取ろうとするのではないかと考えたからだ。
残念ながら、天使と再会した後も不運な出来事は起こり続け、それもどんどんエスカレートしていっているように思えた。
天使がきて3日目になった。流石に資金が尽きてきたので、ダンジョンに潜ることになった。
天使から目を離したくなかったので、連れてくる。
比較的順調に攻略していき8階層まできた。
「ふう、ようやく8階層かそろそろ引き返そう。」
「そうですね」とラーニャはも賛同する。
「ほら、天使、帰る…」と俺が言い終わる間に地震が起きた。
「やべえ!!結構でかいぞ!?」大きな揺れで立っていられない。
そして、大きな音を立てて天井が落盤した。