ロリコンダンジョン
5話目です!
アルファポリスでもあげてます!
(アルファポリスの方が2話ほど早く更新されてます。)
食事を終え、外に出るともう真っ暗だった。
夜の街並みは、昼の様子とは打って変わって、多くの冒険者で賑わっており、昼とは違った景色だった。
雲には赤と青の二つの月らしきものが紫色の光で街を照らしている。
ラーニャが言うには月は天使の国らしい。
あの(略)天使(以下略)もワインを片手にあの月から俺を見下ろしているかと思うと腹立たしい。
俺たちは、この近くに安い宿があると言うラーニャの提案を採用しそこに向かうことになっている。
「ところで、お前の村にあった三大武器ってどんなんなんだ?」
「あれは武器、大装吹という特殊素材でできた防具なのです。」
ほう、どこか親近感の湧く名前だ。ランドセル以外は意外とまともな武器なのかもしれない。
「着きました!」とラーニャが言った。
見ると、そこは木造三階建ての少し古臭いが良い雰囲気の建物だった。中に入ると、受付に女エルフがいた。
見た目はロリ。
ニワカロリコン共は喜んで飛びつくかもしれないが、俺のような知識のあるロリコン…いや、紳士なら知っている。エルフはとても長生きする生物だということを。
すなわち、この目の前にいるエルフは100歳を超えている可能性はザラにあるということだ。
いくら童顔といえども、100歳を超えていれば、それは俺基準ロリとはいえない。
「今晩、泊まって行くんかい?」
女エルフはこちらに気が付き、はなしかけてきた。
「ああ、2人分の部屋を取りたいのだが…」
すると女エルフは資料をペラペラと見たのち、「済まねえな、お客さん。今日は空き部屋が一つしかねえんだ。」といった。
…いやいやいや、流石にそれはまずくないか?お約束といえばお約束なのだが元いた世界なら普通に逮捕案件なんだが。
動揺して手がプルプルふるえる。
チラリと横目でラーニャを見ると特に気にしている様子がなくキョロキョロと辺りを不思議そうに見渡している。
それを見ているとだんだん年上の自分だけ緊張していることが恥ずかしくなり、勢いでOKしてしまった。
宿の外観からして内装もそこまで期待していなかったのだが、ちゃんと清潔で良い部屋だった。
残念ながらベットも2つあり、安堵する。
交代でシャワーを浴びた後、俺とラーニャはベットの上で明日の予定を立てることにした。
「当面の目標としては、やはり資金集めだな。」実は、ご飯も宿代もラーニャがお礼という名目で奢ってくれているがとてもこの世界に転生した時から所持金が0だなんて言えない。ゼロだけに…。
とにかくお金が必要だ。
効率の良い資金集めについて尋ねてみると、ダンジョンに行って素材を回収しそれをギルドに売るのが最も効率が良いらしいのだが、今の俺の戦闘能力は計り知れない。
言い換えれば、ただのランドセルを背負った不審者かもしれないし、伝説の宝具ラードセルを持った、勇者かもしれないということだ。
ダンジョンに行くかどうかラーニャに聞いてみると、一層付近であれば、そこまで強い敵モンスターもおらず安全だったというので、明日はダンジョンにいってみることになった。
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目を開けると、見知らぬ天井があった。
隣のベットで気持ちよさそうに寝ているラーニャを見て昨日の出来事が頭をよぎる。
「俺は本当に異世界に来たんだな…」と今更、異世界に来たことを思い出す。
朝の日差しがカーテンの隙間からラーニャの頬を照らしていた。
昨日は死んだり、天使にあったり、リツやラーニャとであったり、ラードセルをもらったりと散々だったが、今までの生活では体験できなかったことがたくさん起こりなんだかんだ楽しかった。ロリと一緒に寝たのも含めて。
一生かかってもこの世界には退屈しなさそうだ。
俺はラーニャを叩き起こし、顔を洗い、干しておいた上着を着て、ピカピカ光る赤いランドセルを背負いラーニャと一緒に宿を後にした。
言うなればピカピカの異世界一年生だ。
ギルドで朝食を取った後、俺たちはギルドにダンジョン調査許可をとりに行く。
「昨日の今日で、もうダンジョンに潜るのね」と受付嬢のリリアは言う。
「ああ、ダンジョンが俺を誘うからな」
とラーニャがいる手前イタイことを言ったものの、リリアはクスクスと笑っていた。
「じゃあ頑張ってね、一文なしのゼロくん」
すっかり顔が赤くなってしまった俺は許可証を受け取ると、出口へ向かった。
ダンジョンに着くと、街の陽気な雰囲気とは打って変わって、不気味なほど静寂な雰囲気が漂っていた。別世界だ。
勇気を振り絞り中に入る。
「楽しみなのです!」とラーニャは張り切っているが、ダンジョン内は意外と暗く、一度入ったら抜け出せなさそうな気さえした。
だが、「怖かったら、来なくて良いんのですよ?」なんてラーニャに言われ、全然怖くないし、余裕だ。というしか無くなってしまい。とぼとぼダンジョンに入って行った。
ダンジョン散策中に驚いたことは2つあった。
それは、ラーニャが見た目に反して、強いということだ。そのおかげで第一階層だけの探索のつもりだったが、気が付けば第五階層付近まで進んでいた。
2つ目はラードセルの性能だ。
暗いところでも、蓄光効果があり松明の光に反応しラーニャの目印になるだけで無く、冠(ランドセルのパカパカする部分)を開けると4次元空間になっていて倒したモンスターの素材を収納するのにとても役立った。
第五階層の最後のモンスターを討伐すると、俺たちは撤退することにした。
ラーニャも満足そうだった。
問題が起きたのはそれから10分後のことだった。
帰路を進んでいたはずなのに、あきらかに見たことのない景色が続くのだ。
道中に現れるモンスターも同じ五階層のはずなのに明らかに強くなっていき、ラーニャもかなり苦戦するようになってきている。
そのまま二時間ほど過ぎ彷徨い続けた結果、いつの間にか大きな扉の前まで来ていた。
その扉はとても禍々しい雰囲気が漂っていてRPGゲームで言うとろの、ボス部屋そのものだった。
しかし、来た道を引き返そうにも、先は見えないし、前に進むしかなさそうだった。
「まだ、戦えそうか?」俺はラーニャに尋ねる。
ラーニャは「まだまだいけるのです!!!」と笑みを浮かべたが、明らかに顔には疲れが滲み出ている。
俺とラーニャは、2人、目をあわした後、うなずき、力を合わせ目の前の扉をこじ開けた。
いかがでしたか?
次回は初のボス戦です!