ロリコン降り立つ。
2話目です。
目がさめ周囲を見渡すと、どうやら俺は森に送られたらしい。逞しい木々の隙間から漏れる木漏れ日が心地よい。
こうのんびりと草の上に寝転がるなんていつぶりだろうか。
起き上がって近くにあった池を覗き込んでみる。そこには、懐かしい顔が写り込んでいた。どうやらありがたいことに10年くらい若返っている様で、顔まわりの小皺がなく感動した。
どうりでさっきから右腕が闇に力と共鳴して…。おほん。
再び周りの風景を見渡してみたが、ありきたりな自然豊かな風景で未だ異世界にきたという実感はいまいち湧いてこなかった。
だが、北のほうにものすごい存在感を放つ城壁が見えたのでとりあえずそこへ向かうことにした。距離はそう遠くないようだ。
城壁へ向かう道中俺はあの少し生意気天使に与えられた特殊スキル<ロリコン>の使い道を模索していた。
インベントリを開いてみたがぼんやりと何か書かれてはいるのだが読めない
。そしていつのまにかクラスが勇者からロリコン勇者に変わっていた。
これもスキルの効果なのだろうか。
するとさっきまでぼやけていた文章の一部が読めるようになった。
<スキル1>
あらゆる面でロリコンに関する恩恵を受ける(好感度を除く)
…このスキルの使い道は皆目検討もつかない。好感度こそ必要だろう!?
戦闘ではまず役立たないだろう。
とほほ、俺の異世界ライフどうなるんだ…。
スキルに頼らず自分の力でやって行かなければならないかもしれないな。
勇者は勇者だし、ステータスも他の人間に比べれば多少は高いはず…。
そうこうしているうちに、城門の前まで来た。
城門の前には屈強そうな門番の兵士がいたので話しかけ入国したいという旨を話すと、門番兵は快く手続きを行ってくれた。
さらに手続きの間、門番からはこの国に関する色々な情報を教えてもらった。
この国の名はアーランド王国という国で、アンノウン地方最大の国家、魔王軍と最前線で戦っている国ということだ。
転生まもない俺をこんないかにも終盤チックな街に送り込んだあの生意気駄天使には少し腹が立ったが、ここでは文句も言えまい、俺はグッと怒りを堪えた。
入国手続きを済ませると、城門をくぐった。
目の前に広がったのは、冒険者や町人などで賑わう城下町だった。
こんな光景を見て心躍らない奴なんていない。
ついに俺は異世界に来たんだ!!!。
ここから俺の伝説が始まると思うとワクワクが止まらなかったが、ここ入ったん落ち着いて、門番に教えてもらった通りギルドへ行き登録申請をしに行くことにした。
と言うのもギルドに登録するだけでご飯の割引が効いたり、クエストを受けることができたり、保険がついたりと登録して損することはないらしい。
ギルドに入ると、俺の想像通りtheギルドといったような内装の木製の机や椅子が広がっており、ピカピカと光る鎧を纏った強そうな冒険者たちが食事をしたり話したりしていて賑わっていた。
圧倒的場違いな雰囲気に飲まれ動けないでいると、「よお、見かけない顔だな新米冒険者か?」と声をかけてくれる声で、動けるようになった声のする方を見てみると、俺と同じくらいの年齢の好青年が、立っていた。
彼リツと名乗る青い髪の青年は周りの冒険者と比べると、腰のあたりの短刀くらいしか武器はなく、かなり軽装備だったのだが、冒険者らしい。
俺は、初めてこの街に来て、冒険者ギルドに登録したいと言うと受付の場所を教えてくれた。
どうやら悪いやつではないらしい、この世界について知らないことが多すぎるので、仲の良い冒険者ができるのならかなりラッキーだ。
受付にはリリアという若くてポニーテールの似合うたわわの豊富な受付嬢がおり、ギルドカードを作成してくれた。
「では手数料の銅貨10枚いただきます。」
俺はポケットに手をつっこみ、暫くゴソゴソさせると、そのまま硬直した。
「おい、どうしたんだ。また固まってるぞ」とリツが言う。
お金が…ない。
普通転生主人公って金貨の何枚か初期費用でもっているべきだろう。
あの糞生意気駄天使はきっと今頃天界で笑い転げているに違いない。
お金が払えないというのは結構恥ずかしい。
結局、リツに支払ってもらうことになったのだが、俺の顔は恥ずかしさで真っ赤に赤面しカタコトな言葉しか話せなかったので終始リリアは吹き出すのを我慢しながら手続きを行っていた。
やっとのことでギルドカードを手にした俺は、リツにこの仮は必ず返すと約束したのち、別れギルドから出た。
ギルドカードにあと名前さえ書けば完成なのだが、一応、新たな世界に来たことだし、あたらあしい名前が欲しいと思った俺は、かっこいい名前は何かないかと考えてみたが、イマイチピンと来るものが思いつかなかったのでとりあえず保留にしておくことにした。
次は、行ってみたかった武器屋に行って見ることにした。
やっぱ異世界に来たからには、かっこいい鎧やマントを見に纏い大きな剣や、弓矢を担いで町を歩いてみたいだろ?
もちろんそんな金なんてないが。見るだけでもみたかった。
街並みを観察しながら武器屋に向かって歩いていると、小学生3年いや4年生の女の子が叫ぶ声が聞こえた。
なぜロリコンでもない俺が声だけで年齢の判別が付くかって?さあ俺に聞かれてもわからない。
だが確かに叫び声は、俺以外にも聞こえたはずなのに周りの人々はまるで聞こえていないかのようだった。
それが何故だか考えるよりも先に体が動きだした。
なるほどこれがスキル<ロリコン>なのか!?全身にパワーが漲るのを感じる。
恐らくロリの悲鳴が聞こえたのも、今体が動いているのもスキルによるものだ。
インベントリには<スキル2>ロリの危機を察知し通常の三倍の力を得ると文字が浮かび上がっていた。
年齢がわかったのは?これも恐らくスキルのせいに違いない!!
裏路地に入ると、いかにもというような3人の禿げた頭の冒険者が女の子を囲っているのが見える。
まずは話をっと思ったがスキルのせいだろうか、体が止まらない。
気づいたらその冒険者三人を殴り飛ばしていた。
自分でも信じられないパワーで、冒険者三人は壁にめり込んでいてピクピクと痙攣している。
え?僕何かやっちゃいました?(ノルマ達成)
…どうやら俺のスキルはロリが困っていたらとてつもない力を発揮することができる様だ。
……勇者にこの能力、いる…?
紳士な俺は幼女に早く帰る様に告げたあと、そそくさとその場を離れたのだった。
いくら俺だって、助けたからにはそれなりの見返りをよこせなんて、ついさっきお金を貸してもらった分際で言えるはずもないからな。
いかがでしたか?
来週も読んでくれるとうれc。