ウサギの耳を持っている。
___私は、中学生の時に学校でイジメを受けていた。
理由は? 未だによく分からない。
急に、私がイジメの対象になったからだ。
それまでは、クラスの中でイジメられている女の子がいた
のだけど? 私は見て見ぬふりをしていた。
その女の子がイジメられている事を私は知っていたのに
助けようとは思わなかった。
毎日、その女の子は? 学校に来ると上履きがない。
教室に入れば、みんなから冷たい視線を感じる。
教科書には、落書きや悪口が書かれている。
トイレに入れば、上から水をぶっかけられる。
毎日毎日、辛かったはずなのに、、、。
その女の子は、学校を一日も休まずにきていた。
*
___でもある日、ばったりと学校に来なくなった。
来なくなった理由は? その女の子が転校するということだった。
その女の子の親が、娘が学校でイジメを受けていると知って。
早速、娘を転校させる事にしたらしい。
それまで、その女の子は? 親にさえ学校でイジメられている事を
言わなかったのかと、、、。
そう思うと、私の心は締め付けられる痛みを感じた。
___私は、その代償なのかもしれない。
私は、その女の子の後釜となる。
今では、その女の子の気持ちがよく分かる。
こんなにイジメられる事が辛いのかと。
今まで、私と仲が良かったクラスの女の子も私がイジメられる
ようになってからは? 話さえしてくれない。
・・・まるで、元々友達じゃなかったように。
私を無視するようになった。
___この学校では、誰も私を助けてくれない。
担任の先生も、他の先生も、教頭先生も校長先生も。
みんなグルだから。うちの学校でイジメはないと決めつけている!
イジメられている人がいても。
みんなが居ないと言えば、居ないという訳だ!
私は、親にも相談したのだけど、、、?
私の両親は、私の話を信じなかった。
誰も私の話を、ちゃんと聞いてくれない。
*
___それでも、
私は、中学校を無事に卒業できた。
高校は? この学校の子達が誰も来ないような高校に決めたからだ。
田舎にある高校を選んだ。
そこでは、楽しい学校生活を過ごすことができた。
誰も私の事を知らない、一から私は友達を作り楽しんでいた。
・・・でも?
私がイジメを受けた後遺症が残っていたのか?
ウサギの耳を持つこととなる。
何処に居ても、何をしてても誰かが私の悪口を言っているように
感じるからだ。友達と仲良く話しているのに。遠くの方で私の事
を少しこちらを見ただけで、私の悪口を言っているように感じる。
また、私はイジメに合うのか?
もう、イジメられたくない!
今度、あんな事があったら? もう私は、生きていけない!
私の中に、恐怖が充満する。
誰か助けて! 私を自由にして!
*
___私は、高校も無事に卒業できた。
高校は? 中学生の時と違って! 楽しい高校生活で友達も
たくさんできたし! 仲がいい“親友”と呼べる友達も数人できた。
イジメとは? まったく無縁の生活を送ることができたのだ。
だけど? 私は大学まで行く気もなく。
高校を卒業したら? 就職する気でいたのだ。
___仕事は?
小さな会社でOLの仕事。
私は、また一から自分の人生と向き合って頑張るつもりだった。
・・・だが?
その就職した仕事場に、中学の時に私をイジメていた女の子が
いたのだ。私は顔が青ざめるのを感じていた。
また、ココでも私はこの女性にイジメられる。
悲痛と悲しみに暮れていると? その女性が私の方に近づ
いてきて、こう言った。
『・・・あの時は、本当にごめんなさい。でも? ああするしか
なかったのよ! そうじゃないと、今度はわたしがイジメられる
から。本当にごめんなさい。』
___女性が私に、深く頭を下げて謝ってくれた。
彼女も、本当は苦しんでいたのかもしれない。
泣きながら、私に謝る女性を見て、私はこの女性を
許すことにした。もう、昔の事だ!
今は、私も女性も社会人になり大人の女性になった。
もう、この事は終わりにしようと思った。
___女性とは? 職場で一番話す仲になった。
何でも話せる良き、友達に、、、。
不思議なモノなのだけど? 中学生の時は、イジメられる側と
イジメる側だったのに、今では “親友に” 。
___少しずつだけど?
私の耳は? ウサギの耳じゃなくなっている。
雪解けのように、ゆっくりと私の蟠りが溶けていく。
今では、普通の女の子。
___私の人生なのだから!
精一杯! 後悔なく、生きていきたい!
それが、私の夢になっている。
最後までお読みいただきありがとうございます。