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動物たち

作者: 田沼意次

目が覚めるとそこには、ナイスバディーな裸体を私に見せ付けるかのように眠る若い女の子と一緒に寝ている私の夫がいた。


 私は夜11時には就寝して、朝7時に起きて朝食を作るという生活を10年前から続けていた。しかし、昨日は昼から大学時代の友人たちと酒を飲んでいた。

 酒は強い方でもないためなかなかに酔ってしまい、まだ6時だというのに寝てしまった。私の体内時計は割と正確なようで、ぴったり8時間の就寝時間になるよう午前2時に起こしてくれた。夫はいつも1時に帰ってくると言っていたので、なんとなく夫を見てみたくなり夫の部屋に行ってみたらこのざまである。

 夫とは職場で出会った。今時職場結婚なんて気まずいのではと思うかもしれないが、うちの会社では案外多かったのでそんな気持ちも湧かなかった。しかも、当時は私も夫も20代後半という微妙な歳であったし結婚願望も人並みにはあったので付き合い始めてから一年も経たずに結婚した。だからと言って恋愛感情がないわけでもなかった。もっと顔がよく収入が良い男もいたはずだった。それでも夫の包容力や謙虚なところなど日本人らしい一面に惚れてしまった。どこか本物の愛を感じてしまったのだ。まだまだ乙女だったのだろうか。

 それからは仕事を辞め専業主婦という立場と化した。また子づくりにも励んだ。しかし、子供は3年たってもできなかった。つくれなかった。不妊症だったのだ。わかった時は、泣いた。ただ泣いた。そこからは不妊治療を始めた。酒はやめ、8時間睡眠を心がけ、食事ではタンパク質を多く摂取した。性交もほとんど毎日行った。最低でも2年はかかると言われたが、なんとか頑張ろうと思い毎日を過ごした。3年が経った。夫が諦めてしまった。不妊治療は夫もしなければならなかったため夫も3年間治療をしてきたのでめんどくさくなったのかもしれない。しかし主な理由として考えられるのは性交の機械化である。子供を産むという目的のために性交をすると愛がなくなりやる気が出なくなるのだ。しかもそれを毎日である。それでは性交が苦痛になるのも仕方ないだろうと思った。私も3年が経つうちに子供が欲しいとは思わなくなってきたのだった。その日から半年が過ぎた今日、こんな出来事が起こってしまった。

 二人はぐっすりと寝ているため起きる気配は微塵も感じられなかった。私は台所へ行き包丁を取り出した。右手に包丁をもち廊下を歩いている時、私は本当の幸せを感じた。私はいまだけは神なのだ。そう錯覚した。夫の部屋のドアを開けた。夫の心臓と浮気相手の心臓に標準を合わせ、私はこう言った。

「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!」

 包丁は見事な弧を描き二体の動物を殺していった。

 私はスマホを取り出し、付き合っている男に連絡をした。

「貴方は私のいうことをきいてくれる?」

 果たしてどんな返事が来るだろうか。楽しみだ

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