私のマスター 序章その2
「何、どういうことなの?」
話が全然分からない。
「うん、あのね、選ばれたというのはねこの世界を救う様に私達の神様がマスターを選んだんだよ。」
なになに、一個も分からない。
選ばれた?
第一マスターって何だよ。
僕は確かに桜々ミクを好きだったけどマスターになった覚えはない。
「あ、あのさ、一つ一つ頭を整理させたいんだけどマスターって何?」
ミクに聞く。
「え、そ、それはマスターがマスターだからだよ。」
何だそれは。全然答えになっていない。
「これ以上は勘弁してマスター。言えないこともあるんだよ。」
そう落ち込まれると、こっちもこれ以上聞き出せないと諦めるしかない。
そもそも、桜々ミクにマスターと呼ばれるなんて最高じゃないか。
ご褒美といっていい。
ただそっちは問題でも何でもない、気になっただけだ。
「いやそれはいいんだけど、この世界に選ばれたっていうのは?」
「うんそれは私たちの神様が説明してくれると思うよ。」
その時上空で何かが光った。
何しろ真っ暗な場所にいたから眩しいったらない。
さっきまで真っ暗な場所で、桜乃ミクの周りだけ明かりがあって見えていたのだ。
眩しいと思いながらも、薄目で上を見上げると桜乃ミクの頭上にこの世のものとは思えないほど美しい人がいた。
いたというか浮いている。
ローブの様なものを身にまとい髪は金色で長い。
なんでだろう、実在感がないというか一目でこの人が神様なんだと分かった。
「ミク、この子がそうですね。」
透き通った美しい声で彼女は言う。
「はい、私が気付きましたら目の前にいました。」
僕に対するのとはうってかわって丁寧に受け答えをしている。
「あ、あのか、神様ですよね。僕これからどうなるんでしょう。」
これはどうしても聞いておかないといけないことだった。
「マ、マスター、相手は神様ですよ。」
そんな事は分かっているが、そっちの神様であって僕にとっては
関わり合いのない事だ。
そんな事より早くここから返してほしい。
「どうなるかですか、それはあなたに期待しているんです。」
女神様はそう言い、哀しそうに微笑む。
「あなたは少し苦労をするかもしれません。それは申し訳なく思っています。その代わりではないんですがミクを好きにしてください。」
そう言って女神様はミクの方を向く。
「頼みましたね、ミク。」
「はい、お任せください。」
そう言ってミクは自分の胸をたたく。
「それでは、二人共どうか頼みますね。」
そう微笑みながら女神様は言うと、辺りが光に包まれた。
その眩しさに吸い込まれる内、結月修一はいつの間にか意識を失っていた。
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